聖鎧ザンヴァイル 少年たちの戦場

原作・氷川輝/著・進藤雄太

第四話 救出!

比呂弥はすでに剣を振るう力も残っていなかった。

「無様だな、比呂弥」
 
膝をついたままの比呂弥の眼前にグレートソードの切っ先を突きつけたまま、昇は冷徹に言い放った。

「レグの大いなる言葉を聞かず、我らの邪魔をした報い、その命を以て悔い改めろ」
 
昇は言い切ると、切っ先を向けていたグレートソードをゆっくりと振り上げる。
比呂弥は観念したように目をつぶった。

しかし昇が比呂弥の脳天から両断しようと振り下ろした瞬間、半月状のブーメランカッターが昇のグレートソードを弾き飛ばした。

「何だ!?」
 
振り返った昇の視界には、無数のビームキャノンが迫ってきていた。

「うおおっ!?」
 
昇は直感的に飛び退き、ビームを回避した。

「比呂弥ーっ!」

「アリル……?」

「てやぁっ!」
 
アリルは比呂弥の無事を確認すると、手にした半月状のブーメランカッターを昇に向けて投げ放った。

「小癪な!」
 
昇は肩に装備した収束型ビームキャノンでブーメランを撃ち落し粉々に破壊する。

「今のうちに逃げて! あいつの相手は私がする!」

「無理だ、君の力では昇兄貴には通用しない!」

「その通りだよ」

 昇が再び比呂弥たちの前に降り立つ。

「そんなこと、やってみなければわからないわ!」

「やめろ、アリル!」

「無駄なことを。お前に構っている暇などない!」

 手首に収納されたビームショートエッジを抜くと一気に加速し突っ込んでくる昇。
アリルは翼を羽ばたかせ、一気に空へ上昇し回避すると、肩に装備された速射型のビームキャノンで応戦する。

「そんな攻撃など効かん!」
 
ビームの雨をモノともせず突っ込んでくる昇に、アリルは焦ることなくもう一つ装備されている半月状のブーメランカッターを放つ。
しかし昇はそれも簡単に回避する。

「終わりだ!」
 
ショートエッジで切りかかろうとした瞬間、アリルが能力を開放した。


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