チートクラスによる異世界攻略
忍の戦い
【見える剣術】この能力を使うと私の目は未来を見るようになる。
右は未来、左は今を見る。
カラーコンタクトを入れたように目が赤くなるのは、分かった時は少しむず痒い物があった。
けど、今は皆を守る事が最優先だと理解している。
正人との試合で見た奴のスキル【天之瞳】、恐らくは真上からの視界だろう。
確かに強力な能力だが、種が解れば怖がる必要もない。
「君は何故剣を握る」
「私の剣は人を殺すために作られた物だ。だが、今の私の剣は大切な人を守る為にある」
「及第点だ。巻き起こる暴風《エアバレット》!」
正人に使ったのと同じ魔法。
けれど、範囲が二倍近く拡大されている。
でもそれは解っていた攻撃。
私の眼は嘘を付かない。
「避けたら君の大切な人に当たるぞ?」
覚悟を問うと、騎士は言う。
身を挺して仲間を守るか、仲間を投げ出して奴を撃ちに行くか。
最適解は回避。だが、よければ皆に当たる。
奴はそう考えているのだろう。
「見くびるな!」
私は迷わず魔法を回避した。
そのまま騎士に突進する。
上段から振るった木刀は横向きに置かれた騎士の木刀に阻まれた。
鍔迫り合いの中、私は言う。
「私が仲間達を信じる事も出来ないような軟弱な人間に見えるか!」
雅音の声が聞こえた。
【無に帰す被弾】それは相殺のスキルだ。
「及第点なんて言った事は謝罪しよう。けれど、僕を倒せなければ意味がないと理解してくれ。巻き起こる暴風……」
魔法詠唱だと。
この接近戦闘の中でか?
「させるか!」
何度も木刀を打ち込む。だが、その攻撃が奴の剣以外に当たる事は無い。
「……荒れ狂う天空 我は命ずる《ストーム》!」
レベル4の魔法だと?
この世界の魔法は中距離から遠距離の攻撃手段のはずだ。
超接近戦闘の中で魔力を意識しながら詠唱を完成させるなど、出鱈目にも程がある。
けれど私の【見える剣術】は健在だ。
動き出しが魔法発動の五秒前なら余裕で回避できる。
足を浮かし、手に持つ木刀を騎士の剣にたたきつける形で振るう。
体重差や込められた力の量から反動によって私の身体が後方へ飛ぶ。
速度が遅い魔法だと言う事は発動前から解っていた。
ならば距離を稼いでしまえば避ける事は容易い。
右に回り込み回避する。
巨大な竜巻の魔法だったが、玉座の間中央で数秒停止したのち掻き消えた。
レットカーペットがズタズタになっている事に相手も余裕が無い事を理解する。
「凍える極寒よ 停滞する時間よ 我は命ずる……」
また魔法がと警戒するが、魔法名は叫ばれない。
「巻き起こる暴風 荒れ狂う天空 我は命ずる」
なんだこれは吟からこんな詠唱聞いていないぞ。
このような詠唱方法はレベル1~6のどれにも当てはまらない。
「《ブリザード》《ストーム》」
見た目はさっきの竜巻と変わらない。段違いなのは速度くらいか。
だが、私の眼は捕らえた。5秒後、私は氷つく。
「二つの魔法の同時詠唱……」
呟いた答えが正解だと確信するまで時間は必要なかった。
レベル4の魔法を2つ同時に発動するなんて考えつきもしなかった。
そもそも考えても実行できる物なのか? 魔法の発動には使用する魔法に合わせて魔力を安定させる必要があるはずだ。
少なくともクラスメイトの誰もそんな事は出来なかった。
私はすぐさま回避を選択する。
五秒先の未来を見れば奴は詠唱していない。
接近戦を狙っているのか?
どうせ私は魔法をレベル1までしか使えない。
私の間合はやはり剣の届く範囲だ。
一気に騎士に接近する。
奴が間合に入るやすぐさま一撃を見舞う。
5秒後の未来に剣が無い箇所を狙うが、私のスキルには5秒後の未来を見た私は考慮されていない。
当然、五秒後の未来を見た私に反応している騎士は見た未来とは別の行動をする。
だがしかし、五秒先を見る事が出来る私が有利な事に変わりはない。
確かに魔法という障害物ありきで考えれば奴のスキルは有効なのだろう。
だが、この距離なら私のスキルの方が強い。
「私の魔法を初見で二度も回避したのは貴方が初めてです。最強の騎士である彼だって最初は完璧に回避できなかった」
打ち合いは激しさを増す。
「だからどうした?」
「いえ、貴方の身体能力や透けて見える実戦経験の少なさからそんな事は不可能だと思うのですよ」
「何が言いたい?」
「貴方が初見で避ける事が出来たのは、知っていたから。初見では無かったからでは無いのかと考えました。ではあなたのスキルは何か? 初見の物を初見じゃ無くする能力、そう例えば未来予知。ではどこまで見えるのか? 1つ、こうやって鍔迫り合いが続いているという事は確定した未来では無い。もしそうなら私の剣が無い場所に剣を振るえばいいだけですから。第二にあなたが何時も驚愕を浮かべるのは決まって魔法を発動する5秒前でした。いかがでしょうか?」
「それが分かったとして、なんだと言うんだ!!」
「貴方も考えたのではないですか? 相手のスキルの種が割れてしまえば大した事は無いと。貴方の敗因は予知に頼り過ぎるあまりに予測を立てる事を怠ったことです」
鍔迫り合いが一気に高速化した。
さっきまで攻めていたのは私だったはずだ。
未来を見る。
見えている。
見えている筈なんだ。
「何故未来がこうもめまぐるしく……」
「簡単です。貴方の未来を見るスキルよりも、私が貴方を観察する方が先の未来が見えると言う事です」
ついに私の剣は弾き飛ばされた。
首元に木刀が触れる感触が起こる。
「私の勝ちです」ジェクトがそう言っている姿が私の視界に移った。
「降参してください」
「ふっ」
最後まで予想通りには行かないんだな。
「どうかしましたか?」
「いいやなんでもない。私の負けだ」
右は未来、左は今を見る。
カラーコンタクトを入れたように目が赤くなるのは、分かった時は少しむず痒い物があった。
けど、今は皆を守る事が最優先だと理解している。
正人との試合で見た奴のスキル【天之瞳】、恐らくは真上からの視界だろう。
確かに強力な能力だが、種が解れば怖がる必要もない。
「君は何故剣を握る」
「私の剣は人を殺すために作られた物だ。だが、今の私の剣は大切な人を守る為にある」
「及第点だ。巻き起こる暴風《エアバレット》!」
正人に使ったのと同じ魔法。
けれど、範囲が二倍近く拡大されている。
でもそれは解っていた攻撃。
私の眼は嘘を付かない。
「避けたら君の大切な人に当たるぞ?」
覚悟を問うと、騎士は言う。
身を挺して仲間を守るか、仲間を投げ出して奴を撃ちに行くか。
最適解は回避。だが、よければ皆に当たる。
奴はそう考えているのだろう。
「見くびるな!」
私は迷わず魔法を回避した。
そのまま騎士に突進する。
上段から振るった木刀は横向きに置かれた騎士の木刀に阻まれた。
鍔迫り合いの中、私は言う。
「私が仲間達を信じる事も出来ないような軟弱な人間に見えるか!」
雅音の声が聞こえた。
【無に帰す被弾】それは相殺のスキルだ。
「及第点なんて言った事は謝罪しよう。けれど、僕を倒せなければ意味がないと理解してくれ。巻き起こる暴風……」
魔法詠唱だと。
この接近戦闘の中でか?
「させるか!」
何度も木刀を打ち込む。だが、その攻撃が奴の剣以外に当たる事は無い。
「……荒れ狂う天空 我は命ずる《ストーム》!」
レベル4の魔法だと?
この世界の魔法は中距離から遠距離の攻撃手段のはずだ。
超接近戦闘の中で魔力を意識しながら詠唱を完成させるなど、出鱈目にも程がある。
けれど私の【見える剣術】は健在だ。
動き出しが魔法発動の五秒前なら余裕で回避できる。
足を浮かし、手に持つ木刀を騎士の剣にたたきつける形で振るう。
体重差や込められた力の量から反動によって私の身体が後方へ飛ぶ。
速度が遅い魔法だと言う事は発動前から解っていた。
ならば距離を稼いでしまえば避ける事は容易い。
右に回り込み回避する。
巨大な竜巻の魔法だったが、玉座の間中央で数秒停止したのち掻き消えた。
レットカーペットがズタズタになっている事に相手も余裕が無い事を理解する。
「凍える極寒よ 停滞する時間よ 我は命ずる……」
また魔法がと警戒するが、魔法名は叫ばれない。
「巻き起こる暴風 荒れ狂う天空 我は命ずる」
なんだこれは吟からこんな詠唱聞いていないぞ。
このような詠唱方法はレベル1~6のどれにも当てはまらない。
「《ブリザード》《ストーム》」
見た目はさっきの竜巻と変わらない。段違いなのは速度くらいか。
だが、私の眼は捕らえた。5秒後、私は氷つく。
「二つの魔法の同時詠唱……」
呟いた答えが正解だと確信するまで時間は必要なかった。
レベル4の魔法を2つ同時に発動するなんて考えつきもしなかった。
そもそも考えても実行できる物なのか? 魔法の発動には使用する魔法に合わせて魔力を安定させる必要があるはずだ。
少なくともクラスメイトの誰もそんな事は出来なかった。
私はすぐさま回避を選択する。
五秒先の未来を見れば奴は詠唱していない。
接近戦を狙っているのか?
どうせ私は魔法をレベル1までしか使えない。
私の間合はやはり剣の届く範囲だ。
一気に騎士に接近する。
奴が間合に入るやすぐさま一撃を見舞う。
5秒後の未来に剣が無い箇所を狙うが、私のスキルには5秒後の未来を見た私は考慮されていない。
当然、五秒後の未来を見た私に反応している騎士は見た未来とは別の行動をする。
だがしかし、五秒先を見る事が出来る私が有利な事に変わりはない。
確かに魔法という障害物ありきで考えれば奴のスキルは有効なのだろう。
だが、この距離なら私のスキルの方が強い。
「私の魔法を初見で二度も回避したのは貴方が初めてです。最強の騎士である彼だって最初は完璧に回避できなかった」
打ち合いは激しさを増す。
「だからどうした?」
「いえ、貴方の身体能力や透けて見える実戦経験の少なさからそんな事は不可能だと思うのですよ」
「何が言いたい?」
「貴方が初見で避ける事が出来たのは、知っていたから。初見では無かったからでは無いのかと考えました。ではあなたのスキルは何か? 初見の物を初見じゃ無くする能力、そう例えば未来予知。ではどこまで見えるのか? 1つ、こうやって鍔迫り合いが続いているという事は確定した未来では無い。もしそうなら私の剣が無い場所に剣を振るえばいいだけですから。第二にあなたが何時も驚愕を浮かべるのは決まって魔法を発動する5秒前でした。いかがでしょうか?」
「それが分かったとして、なんだと言うんだ!!」
「貴方も考えたのではないですか? 相手のスキルの種が割れてしまえば大した事は無いと。貴方の敗因は予知に頼り過ぎるあまりに予測を立てる事を怠ったことです」
鍔迫り合いが一気に高速化した。
さっきまで攻めていたのは私だったはずだ。
未来を見る。
見えている。
見えている筈なんだ。
「何故未来がこうもめまぐるしく……」
「簡単です。貴方の未来を見るスキルよりも、私が貴方を観察する方が先の未来が見えると言う事です」
ついに私の剣は弾き飛ばされた。
首元に木刀が触れる感触が起こる。
「私の勝ちです」ジェクトがそう言っている姿が私の視界に移った。
「降参してください」
「ふっ」
最後まで予想通りには行かないんだな。
「どうかしましたか?」
「いいやなんでもない。私の負けだ」
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
147
-
-
3087
-
-
32
-
-
1359
-
-
1512
-
-
516
-
-
124
-
-
26950
-
-
104
コメント