チートクラスによる異世界攻略
二番目の騎士
魔法は現象を呼び出す技術だ。
体内に巡る属性と現象を共鳴させ、魔力によって引っ張り上げる。
例えばセンサーと採掘機器。
例えば検索と出力。
例えば餌と罠。
魔法で起こる現象の大小は使用された魔力によって変化する。
消費魔力×属性値だ。
だが、大きな魔力を扱うにはそれに見合った現実へ介入する為の、書き換えるべき情報が必要になる。
試合は仕切り直し。
鳶を治療が終わると姫護衛の騎士が前に出て来た。
「次は僕がお相手致します。ですが、僕はあの方と違い助言なんて器用な事は出来ませんから悪しからず」
「こっちは私に行かせてくれ」
切り出したのは忍。
「女性が戦うと言うのは見逃せない。先に俺に行かせてくれ」
だが、それを正人が止めた。
正人は正しい事をする事に余念がない。
正人が正しいと思った事をするとき、俺達は止められない。
「まってくれ、女だと言って侮る事は許さないぞ? 私が行く」
「いいや。俺は認めない」
邪険な空気が漂う中、元気な声を上げたのは光だ。
「こうゆう場合はやっぱりあれだね」
俺もそれにのっかとく。
「まあそうだな」
「「じゃんけん!」」
ポン。
結果正人の勝利である。
「次は私だからな!」
「なら次は絶対に回せないな」
正人はそう言って歩いて行った。
鉄が弾き飛ばされた木刀の一本を持って騎士と対峙する。
「君は何のために戦う?」
「正義の為だ」
「誰にとって?」
「俺自身と仲間たちのだ」
「ああ、そうか。どうやら僕が思っているよりも君達はずっと強いみたいだ。だから手加減はしないよ?」
「当然。俺は唯正人」
「僕は姫護衛の騎士。ジェクト・クルズ」
2人が対照的に剣を構えた。
「行くよ。《エアバレット》【天之瞳】!」
騎士は魔法を放ち、スキルを発動した。
この世界の特殊能力、スキルには三種類存在する。
まず英語だけのスキル。
次に日本語のスキル。
最後にその両方だ。
英語のスキルは下位スキル、日本語のスキルは上位スキル、そして両方が固有スキルだ。
つまり、王護衛の騎士とは違い、この騎士は固有スキルを持っている。
騎士の掌から放たれた圧縮された空気は弾丸の如く正人に飛来する。
「【瞬の最速】」
瞬間的に正人の速度が爆発的に上がる。
これだけを見れば前の騎士のスキルと同じような気がするが、正人のスキルの内容はかなり違う。
【瞬の最速】は文字通り最速だ。
スキルを使用した時に行っていた行動を終わった事にするスキル。
走り出せば1秒もかからずに50mを走り切り、剣を振り下ろせばそれを目視する事は不可能。
正人は騎士と鼻さき数センチの場所に現れた。
正人が消えた場所と現れた場所の間に会った圧縮空気は完全に無視だ。
走る行為の完遂後を引き出した事ですり抜けたのだ。
だが、この能力は連発が聞かないと聞いている。
「そこからどうするつもりだい。剣速で僕が負けるとは思えないけど」
「それについては同意見だ。だが、ここまで近づけば十分【目が苦しい剣】!」
「名前は強そうじゃないな」
これは忠人の言葉だ。
「いや、僕は強いと思うよ」
これはいくらちゃんが言っていた事だ。
【目が苦しい剣】には幾つかの効果がある。
まず、何もないところから光輝く剣を召喚する能力。
そして、その剣を直視した瞳の視力を奪う力。
最後に、剣自体がめちゃくちゃ眩しい事
そして相手の騎士に対してこの能力は完璧に決まった。
視力を奪う事に成功した。
それを確認した正人は木刀を振り上げる。
瞬間、騎士ジェクト・クルズが叫ぶ。
「君たちは忘れていないか? そもそも君達の取柄はそのスキルだけだ。そもそも真剣なら家の最強は負けてはいない。ならば、その固有スキルが君たちだけの特別じゃなくなった時。君たちはの刃は立つのかい?」
そう、ジェクトは正人が突っ込む前、魔法と一緒に固有スキルを発動させていた。
【天之瞳】能力は不明だが、字面を考えれば空から見える光景といったところか。
もし、その視界を持っていると仮定する場合。
「僕の視界は奪えていないよ」
木刀を振り上げた正人に圧倒的な剣速の攻撃が加わった。
狙われた場所は木刀を握る手首、右手だ。
弾き飛ばされる木刀に、それに驚く正人。
その隙は見逃されない。
「僕が彼に負けているのは剣の腕前だけなんだ」
そう言って騎士は正人を剣を大げさに振るう事で吹き飛ばした。
「真剣だったら君は死んでる。次だ」
「まだ俺は負けては」
言葉を続けようとした正人に俺は言う。
心を折ってくれるように。
「いいや。お前の負けだ」
正人は何も言わない。
負けていないとも。
これでいい。
「次は私だ」
忍が前に出る。
正人が弾き飛ばされた木刀を拾い、騎士の元へ歩く。
騎士の剣が自分に、自分の剣が騎士に届く、数歩手前でスキルを呟く。
「【見える剣術】」
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