チートクラスによる異世界攻略
会議『1週間後』
騎士達との件は国王直々に頭を下げさせた。
当然、それに加えて国王が出来るどんな願いも一つだけ聞き入れさせるという権利を要求し獲得した。
納得が言っていない皆も居たが、俺に免じてと言うと何とか収めてくれた。
俺達が召喚されて1週間が経った頃には皆は自分のスキルの事を理解し始めた。
急に得た力に困惑したり増徴する事は避けられ、かなり円満に事は運んでいる。
だが、問題は俺のスキルにあった。
【限界消失】
才能の最大値が消失する能力と言えば伝わるか。
とにかく、色々な能力の限界値が消失するのだ。
別に俺はこの能力を弱いと思ってはいなし、クラスの皆もその意見で統一されていた。
問題は個数と魔法適正値だ。
他の皆はスキルを2つ持っているが俺は1つ。
例えば魔力値と属性値の合計が一番高かった詩羽の数値と俺の数値の差は天と地の差があった。
炎 34/100
水 31/95
氷 26/87
風 32/98
雷 36/100
土 29/89
闇 30/90
光 30/90
魔力値 30/100
詩羽の属性値と魔力値はこうなっている。
人によって最大値は異なるが、詩羽はその内の二つが最大限の100になっている。
これは歴史的快挙らしく、複数の最大値100の人間は伝説の英雄と呼ばれる存在と同格であるとか。
炎 5
水 5
氷 5
風 5
雷 5
土 5
闇 5
光 5
魔力値 5
【限界消失】の御かげで俺の属性値と魔力値の最大値は消失している。
だが、魔法は掛け算だ。
属性値×使用魔力で威力が算出される。
つまり、俺の最大の魔法は詩羽の最低の魔法にも劣るのだ。
何度も言おう。
俺達は俺の能力を弱いとは考えていない。
けれど、事実として今の俺はクラスで最弱だ。
そして、それを良しとしなかった者達も存在する。
国王が居たなら当然貴族も居る訳で、その貴族たちは正解の意思との契約の内容を知っているにも関わらず、俺達を、いや俺以外を取り込むことに必死だ。
吟「って言う状態なんだが、なんか意見の有る奴挙手!」
いくら「ていうかホントに最近この国うざくない?」
忠人「確かに。王と姫の聡明さは認めるが、周りがその考えを理解出来ていないって感じだ」
雅音「私なんて使用人とかに言い寄られるんだから!」
詩羽「私もです。正直止めて欲しいです」
忠人「だな。鳶と光は直ぐ引っかかるんだから気を付けろよ!」
鳶「解ってるでござるよ」
光「僕そんなに簡単じゃないから!」
鉄「信用ならんな」
光「そんな~」
鳶「酷いでござる」
吟「じゃあみんなとしては、どうするのがいいと思ってるんだ?」
いくら「出てくか、国に止めろって直談判」
紫「両方デメリットがあるな。出ていくのは支援や加護を失う事を意味するし。止めろってのは貴族にしらを切られればそこまで。少しの時間は稼げるだろうが勧誘がまた始まるのは目に見えてる」
正人「全く。何故人の迷惑を考えないのか」
紫「自分の利益が一番なんだよ。多分、勧誘してるのは国に居てくれって意味じゃなくて個人的な権力向上を狙っての事だ」
いくら「正解。僕の【見えない場所を見る眼】でそういう話してる貴族はいくつも居たよ。あ、皆にはこの能力使って無いから安心してね」
忠人「なあ、俺に一つ案が有るんだが」
吟「聞かせてくれ」
忠人「俺のスキル【何でも入る箱】は文字通り無限に物を保存しておくことが出来る。そしてこの中ではどうやら時間が停止しているようなんだ」
雅音「凄いけど、それがどうしたのよ?」
忠人「まあ最後まで聞けって。紫は言っただろ? 国の加護と支援が消える事がデメリットだって」
紫「ああ、そう言った」
忠人「だが、実際今受けてるのは物資の提供と国にいる間の安全の保障だけだ。なら俺の【何でも入る箱】に物資を詰めるだけ詰めれば物資の提供は必要ない。国に依存した安全ってのは、百花がボコした騎士達による物だろ? そんな物俺達に必要だとは思えない」
いくら「なるほどなるほど。じゃあ忠人は僕たちに盗人になれって言ってる訳かい?」
忠人「まあ最悪そうなるだろうけど。けどまあ、王に素直に言えば犯罪者にもならずに普通に許可されそうじゃないか?」
忠人「つまり、国王と繋がる事で情報の共有もしようって話か」
吟「そうだな。俺もあの国王なら承諾するように思える」
忠人「だろ?」
吟「だけど、この王城を出て何処に行くんだ?」
忠人「それは考えていない」
吟「了解。皆、どう思う?」
いくら「僕はそれでもいいと思うんだけどさ、情報足りてる? 文化、宗教、産業、僕らはまだ何もこの世界のことを知らないんじゃないかい?」
吟「いや、俺も1度街で生活したいと思っていた。その方が得られる情報に現実性が加わるから」
雅音「そろそろ詩羽コースかな?」
吟「そうだな、みんな何かあるか?」
鳶「異議なし」
光「僕も」
吟「じゃあ詩羽頼む」
詩羽「私は百花と糸羽の意見が聞きたい。二人はここに居たくない?」
糸羽「私は……みんなが良いようにしてほしい」
百花「騎士と問題を起こしたのはあたしだ。だから意見を言う権利なんて無い」
雅音「それは違うわ。私達は二人の事を大事だと思っているからこうしているの」
鳶「そうでござる。我らは仲間でありその1人でも害する奴は敵でござる」
正人「騎士達と件を言えば俺だって同罪だ。それに仲間を助けることは正しい事だ。正しい事は行う価値がある!」
忠人「そういう事だ。ここにお前らを嫌ってる奴なんて、まして意見を言わせない奴なんていねえよ」
沙耶「そうね、私は二人が傷付けられて凄く辛かった。その仕返しは当然の権利よ」
龍哉「嫌なら僕達は全力でそれに答えるよ」
鉄「だな」
紫「俺もだ」
光「当然僕もだよ」
いくら「僕の事も忘れて貰っちゃ困るぜ」
忍「そうだな。仲間が嫌だと言うなら私達は全力で助けるに決まっている」
雅音「だそうよ糸羽、百花?」
吟「二人はどうしたい?」
糸羽「ごめんなさい。もう……ここには居たくないです!」
百花「あたしもだ。皆すまねえ」
雅音「何を謝る事があるって言うの?」
沙耶「そうよ私達は仲間なんだから」
忍「二人に辛い思いをさせていた私達こそが謝るべきなのだ」
糸羽「そんな事……」
詩羽「いいえ、忍の言う通りだわ。この国を出ましょう!」
『決定!!』
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