チートクラスによる異世界攻略

水色の山葵

歴史



 最初の知能ある生命は人間と魔族だった。
 そして次にその二つの種族のハーフとして亜人が生まれた。
 人間には魔法の才能が有った。
 魔族には多種に枝分かれする、特異な身体能力が宿っていた。
 人間の血を濃く受け継いだ亜人を妖精種。魔族の血を色濃く受け継いだ亜人を獣人と呼んだ。


 人と人に大きな身体的違いが無かった人間は亜人の姿を嫌った。
 多数の枝分かれを持つ魔族は、亜人を受け入れた。
 そんな種族同士の仲が悪くなるのは自然な話だった。


 人間には魔法と呼ばれる特異的な能力と圧倒的な繁殖能力があった。
 だが、魔族と亜人には圧倒的な個の能力が有った。
 亜人に関して言えば、魔族の特異性を人間の魔法を併せ持つ為、完全に各上の存在となっていた。


 そんな二種族を相手にした人間が衰退していくのは必然だった。
 数十年前まで6大陸の内3大陸を支配していた人間の生活圏は、今や一つの大陸を残すのみである。


 この世界に存在する6つの大陸は司る属性が存在する。
 唯一残った人間の大陸は炎を司る大陸だ。
 大陸に付けられた属性は、その大陸において上昇する魔法の属性を示す。
 人間が、大陸の一つを守れているのは攻撃力の高い炎の魔法を強める大陸の加護あっての事だ。


 スキルとは、全ての知的生命が与えられる一種の才能だ。
 才能は与えられる物では無く、得る事が出来る努力と鍛錬の結果だ。
 全ての人間は1つ以上の才能を持つ。しかしそれは魔族や亜人にも適応される事象であり、神からの努力の回答とされている。


 魔法は人の生体機能の一つだ。
 人間として生まれた時点で属性を2~3つ持ち、その属性の魔法を体内の魔力を消費する事で発動できる。
 属性と魔力は数値として割り出す事が可能で、魔法を使用するには1以上の属性値と魔力値が有れば可能だ。
 魔法使いと呼ばれる職業の人間は、この数値が共に30以上の人間を指す。
 更に、その数値の最高値も数値化する手段が存在し、最高は100とされている。
 因みに隠し属性と呼ばれる属性もあるのだが、それはスキルであるため、殆どの人間は使う事は出来ない。




















「これくらいの情報でいかがでしょうか?」


 姫さんがくれた情報はかなり有意義な物だった。
 嘘の可能性は損得勘定を考えれば考えなくていいだろう。
 帰り際に、いくらちゃんが自分の能力【見えない場所を見る眼ワイドビジョン】の詳細を教えてくれた。
 どうやら遠くの景色を見る事が出来る能力のようで、俺達の会話を皆に届けてくれているらしい。


「ああ、満足いったよ。それを城の中から出ないから見て回りたいんだけどいいか?」


「畏まりました。使用人を一人お付けいたしますね」


 そう言って俺と詩羽は玉座の間の外に出た。
 使用人が一人付けられたので案内してもらう事にしよう。
 まだ色々と質問が有るしな。


「まずは図書館みたいな所に行きたいんだが?」


「はい。それでしたらこちらです」


 使用人の男に用件を言うと直ぐに答えが返って来る。
 日本には少ない人材だ。
 使用人なんて実際に居る家を日本では知らない。
 だが、そう考えると文化の違いが心配だ。


 図書室で本を色々な本を読んでみると、やはり技術力が日本とはだいぶ違う。
 魔法と呼ばれる能力やスキルの存在もあるので、かなり特殊になっている。
 魔法使い優位社会とでもいえばいいか?
 かなり実力主義の世界なようだ。
 剣や槍、鉄の防具を装備している事を考えると、低レベルな戦いだとも思えるが、魔法やスキルの存在からくる効率的な戦い方なのかもしれない。


 だが、書物には弓はあるが銃は出てこない。
 問題無く文字を読める事も驚いては要るが、日本との違いの方が驚きが大きい。


「ねえ、こっちに異世界人に書かれた本が有ったよ」


 詩羽が一冊の本を手にこっちに向かってくる。


「見せてくれ」


 本を受け取って見てみると、過去に召喚された異世界人について書かれていた。
 どうやら異世界人は総じて強いスキルや飛び抜ける魔法の才能を持っているようだ。
 小一時間ほど本を読みあさった後、今度は騎士団を見てみる事にした。

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