異世界に召喚されたのでさっさと問題を解決してから

水色の山葵

十一話 魔王



 マップにダンジョンを示す赤い光点が表示される。
 だが、膨大なダンジョンからアーカイブが隠されている物を調べるなんて不可能だ。
 虱潰しに拡大していくのも手ではあるが、それじゃあ日をまたいじまう。
 シルフィーナが死ぬのは明日と言っていた。
 俺が寝たのは昼だったが、やはり時間の流れが違うのか空を見ると夜九時は回っているように見える。
 ノルは寝てしまったようだ。
 さっき大声を出したが、起きてはいない。
 本格的に情報が足りない。


 アーカイブ、女神、天界、天使、悪魔、処刑、外的要因、魔物、ドラゴン、居場所。
 アーカイブの機能とは何だろうか。
 シルフィーナがしていたように世界を正しく導く事。
 では正しくとは何だろうか?
 何を基準に正しいと言っているのか。
 外的要因は排除する。
 それは何のために?
 自己防衛?
 別の次元の魔物の投入には何か人為的な物を感じる。
 そいつは何者だ?
 何故アーカイブを攻撃する必要がある?
 この世界より更に異世界の何者かはアーカイブが邪魔。
 だとすると世界の主導権を狙っているのか?
 それをするだけの技術力が外的要因にはある。
 アーカイブはそれを危惧しているはずだ。
 だから何万人もの異世界人にそれを排除させようとまで動いている。
 アーカイブの存在位置は……
 解らねえ。
 畜生が。
 クソが。
 なんでなんだよ。
 俺が好きになったから死ぬなんて、ふざけてんじゃねえぞ。
 関わり過ぎたとか勝手に決めてんじゃねんだよ。


 いや冷静に考えろ。
 今の思考で俺には分からない事が解った。
 ならわかる奴に聞けばいい。
 『外的要因の個体で知能を有する物は居るか?』


『魔王と呼ばれる7体の上位種が確認されています』


 もしもその魔王がアーカイブ攻略の指揮官のような役割を担っているのだとすれば、そいつはアーカイブの位置を知っているはずだ。
 『魔王の居場所』


『マップに表示します』


 やはり女神の知識はまだ俺のシステムに残っている。
 更新が途絶えただけだ。
 つまりシルフィーナは現在進行形で移動していたために、居場所の情報が更新され所得不可になっている。
 だが、もし魔王が動いていないのだとすれば。
 例えば魔王の城のような場所に常に居るのだとしたら。
 マップには7つの赤い光点が出現した。
 そこを拡大していくと、魔王と魔王の距離がやたら近い。
 円を描くように等間隔で点在している。
 完全に当たりだ。
 つまりこいつらは、アーカイブを包囲する形で陣取ってるんだ。
 ようやく異世界人を呼んだ意味が解って来たな。
 包囲されている現状を打破するために、守る事で限界のアーカイブと数を減らされまくったこの世界の住人、だからそれ以外の力を必要としたわけだ。
 包囲されている状況を外から崩してもらうために。
 この世界の住人に力を与えてもよかったと思うが、世界としては出来る限りこの世界への改変を避けたって感じか。


「ノル、ちょっと行ってくるな。すぐ戻って来るから」


 呟くように書いた書置きを残して俺は転移した。






「グルアアアア!!」


 いきなり魔物かよ。
 名前は、ミノタウロス。
 レベルは80か。
 そこまで強い訳じゃ無いんだな。
 数は多いが。
 アーカイブへの直接転移はやはり不可能か。
 何か結界みたいな物があるな。
 取り敢えず魔王に状況を聞くか。
 結界まで行っては入れませんじゃ話にならん。
 殴り込みじゃ!


「ヘルストーム!!」


 魔力回復速度倍化。
 MP自動回復。
 の効果で4倍。
 魔法は打ち放題みたいなもんだ。


「ヘルストーム! ヘルファイヤバレット! ゴットアクアサークル!」


 獄炎の嵐で範囲的にダメージを与える。
 それに耐えるような個体は獄炎の銃弾が貫通する。
 最後は神水の陣で魔法攻撃無効のやつを浄化。
 死体も一緒に浄化されて消滅したようだ。
 ここら一帯の魔物はかたずいた。
 一応ステータスを確認しておくか。
 職業やスキルポイントも確認してなかったし。
 今からやるのはラスボス戦みたいなもんだ。
 万全を期す。


 名前 シル
 種族 人間
 年齢 18
 職業 魔術師(36)ガンナー(35)暗殺者(1)
 レベル146
 体力14500
 MP16300
 攻撃力19700(3400)
 防御力18960(4460)
 敏捷性16480(180)
 魔力値16300
 スキル 〈転移魔法〉〈神託〉〈記憶保存〉〈弓術〉〈鑑定〉〈隠密〉〈偽装〉〈胆力〉〈ターゲット〉〈追尾〉〈属性付与〉〈ステータス上昇率倍化〉〈光天魔法〉〈獄炎魔法〉〈水流魔法〉〈神聖魔法〉〈回復魔法〉〈魔力消費量半減〉〈必要魔力量半減〉〈無詠唱〉〈魔力制御〉〈魔法付与〉〈超鍛冶〉〈木工〉〈サーチ〉〈危機察知〉〈ディスペル〉〈狙撃〉〈不眠不休〉〈霊感〉〈並列思考〉〈高速思考〉〈多重詠唱〉〈複合魔法〉〈暴風魔法〉〈身体強化魔法〉〈魔力回復速度倍化〉〈MP自動回復〉〈暗黒魔法〉〈超調理〉〈レシピ〉


 称号 〈転移者〉〈女神の加護〉〈転生者〉〈冒険者〉〈魔物討伐者〉〈女神の兵〉〈ダンジョンシーカー〉〈ボス攻略者〉〈ダンジョン攻略者〉〈熟練魔法使い〉〈熟練狙撃手〉〈女神の溺愛〉〈強サル討伐者〉〈熟練斥候〉


 装備 〈旅人の服〉〈旅人のズボン〉〈九頭竜の籠手〉〈九頭竜のグリーブ〉〈旅人のマント〉〈太古の魔法剣(打ち直し)〉


 ゴールド 482、6372
 スキルポイント 4550






 かなりスキルポイントが余ってるな。
 斥候が50になっていたので暗殺者に入れ替えた。
 それでもステータスは上々だ。
 スキルは別段ほしい物もないし1000ポイント消費するパッシブ系を取るか。
 〈獲得経験値倍化〉〈スキル習得率倍化〉〈ダメージ無効1000〉〈全属性耐性〉〈全状態異常耐性〉
 全属性耐性と全状態異常耐性以外は1000ポイントスキルだ。
 この二つは500ポイントなので残り500。
 さて、何に使うか。
 必中を取る事で、狙撃との相乗効果で時空の矢を習得。
 このスキルで矢を放つと壁をすり抜けて目標に当たる。


 目の前には高くそびえる城。
 映画で見たドラキュラ城を思い出す。
 今は一刻も早く、魔王を探す事が優先だ。
 この距離までくればマップのソートを入れ替えてレベルの一番高い個体を探せる。
 マップを見る限り、魔王が居るのは最上階。
 その他にもレベル250以上の奴が5人。
 さて、お前らに恨みはねーが、俺の最強で撃ち滅ぼさせてもらう。

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