異世界に召喚されたのでさっさと問題を解決してから

水色の山葵

四話 迷宮攻略



 ダンジョンを進んで行くと大きな扉に出くわした。
 十中八九ボス部屋だろう。
 俺はステータスを確認する。
 魔法使いの職業レベルは30俺自身のレベルは42まで上がっていた。
 目的のポイントには達していた。
 だが、これからボスだと考えるとどうしても欲しいスキルが何個か有る。
 先にそっちを獲得しよう。
 〈セカンド職業〉と〈サード職業〉だ。
 二つで500ポイントである。
 だがこれで狙撃手と魔法使いを同時に装着できる。
 更に三つ目には斥候を入れて置く。


『斥候レベル1ボーナス。初級の短剣を獲得』
『斥候レベル1ボーナス。スキル〈危機察知〉を獲得』


 〈危機察知〉はかなり有用なスキルだ。
 良しボスへ向かおうか。
 俺は扉を開けてくぐった。


 中に居たのは首を九本持つ龍。
 ヒュドラだった。
 即座に鑑定を発動する。


 名前
 種族 亜龍
 年齢 3
 体力4521
 MP4210
 攻撃力4533
 防御力4632
 敏捷性3512
 魔力値4783
 スキル 〈自動回復〉〈ブレス〉〈硬化〉 


『〈ブレス〉の解析終了』


 これで俺のスキル獲得欄にブレスが表示されるようになる訳だ。
 チート間違いなしだ。


 だが、自動回復は厄介だな。
 確かヒュドラって首を同時に叩き切んなきゃいけないんだったか?
 まあいい。
 確かに強いが、俺は職業を三つつけてるんだ。
 平均ステータスは一万を軽く越える。
 それに俺は俺のやり方で攻めるだけだ。


「ヘルファイヤサークル!アクアレイン!セイクリッドサークル!」


 その全てが永続式の魔法で、その外に出ない限りダメージを受け続ける。
 ヒュドラの自己回復能力と、どちらが協力か勝負してやる。
 勿論外に出させる気は全くない。
 アクアレインを魔法付与した弓を打ちまくる。
 着弾点を中心に圧倒的な量の水の槍が降り注ぐ。
 通常であればそれで消えるはずの炎はどんどん火力を増し、永続の黒い炎がヒュドラを責め立てる。


「ギャユウウウウ」


 ヒュドラも怯んで足が出ない。
 勝敗を分けたのは胆力の差だな。
 ヒュドラは何もすることなく撃沈した。


『称号〈ボス攻略者〉を獲得』
『スキルポイントボーナス30を獲得』
『称号〈ダンジョン攻略者〉を獲得』
『スキルポイントボーナス50を獲得』
『称号〈熟練魔法使い〉を獲得』
『スキル〈ディスペル〉を獲得』
『スキルポイントボーナス100を獲得』
『職業〈魔術師〉を開放』
『テン称号ボーナス。スキルポイント1000獲得』
『称号〈熟練狙撃手〉を獲得』
『スキル〈狙撃〉を獲得』
『スキルポイントボーナス100獲得』
『職業〈ガンナー〉を開放』




 実は設定の項目でステータスアップとスキルポイントボーナスは選択が出来る。
 今回は少しでもスキルポイントが欲しかったので変更しておいた。
 俺のレベルも大幅に上がったようだ。
 特に斥候がレベル40付近まで上昇した事で、スキルポイントが1000を越えていた。
 ヒュドラを倒した事で、迷宮の奥の扉が音を立てて空いて行く。
 この先に何が有るかは知らないが、ダンジョンが続いているなら帰ろうと思う。
 ヒュドラの鱗も手に入ったし満足っちゃ満足だ。
 まあ行くだけ言ってみるか帰りは転移で直ぐだし。


 扉をくぐると台座の上に一振りの剣が置かれていた。
 見るからに高級品なのだろう。
 接近は技術多めにいるから今のとこやる気無いんだけどな。
 まあ貰うけど。
 金にも困ってないし、どうするかな。
 剣をストレージに入れて取り敢えずギルド近くの路地裏に転移した。
 空はもう暗くなっていた。
 ギルドに入ってミーナを探す。
 ミーナを見つけるとあっちも俺を見つけたようで手招きして来た。


「迷宮はどうでしたか?」


「ああ、楽しかったよ」


「楽しい……ですか。新しいですね」


「それよりダンジョンで入手した奴ってどうしたらいいんだ?」


「出せる奴は出して下さい。直ぐに査定します」


「ああ悪いな」


 どっさりと物を出した。
 牙やら鱗やら角とか。
 多分総数は500以上あると思う。
 正直起ききれなかった分は閉まったままなので置けた分は300ちょっとぐらいか。


「くっ。またすごい量ですね。ですが今度は驚きませんから。慣れましたから」


「麻痺とも言うがな」


「えっと、取り敢えずこれ全部奥に持って行きますから。まだあるんなら出しておいてください」


 そう言うと他の職員も手伝って運び始めた。
 俺が奥へ行って出したほうが早いのではないかと思ったが、ミーナが頑張って運んでたので言うのはやめた。
 ギルドに居た他の冒険者からも驚いた声がちらほらと聞こえる。
 目立っているようだ。
 結局今日は終わりそうにないから明日来てくれと言われてしまった。
 俺は徒歩で宿に戻って飯を食べ、〈不眠不休〉を獲得して眠った。


 眠るとまた世界の狭間に来ていた。
 神託は正常に作動しているようだ。


「約束通りまた来たぜ」


「一日一回私に会えるのなんて貴方だけなんだから感謝しなさいよね」


「いやなんだよ。今日はツンデレか? さっさとデレてくれ」


「デレないわよ!」


「いやー昨日は「うん!」って言って出れてたじゃねーか」


「そ、それは。貴方が思ったより優しかったから」


「そりゃ、可愛いは正義でお前は可愛いからな。優しくする以外の選択肢がなかっただけだ」


「貴方、適当に言ってない?」


「そんな冷めないでくれよ。今日も魔物を狩って疲れてるんだぜ?」


「もう。どうしたらいいのよ……?」


「笑顔でいてくれたらそれでいい。まああわよくばって期待はあるけどな」


「じゃあこれで今日は許しなさい」


 不意に近づいた女神は俺の頬にキスをした。
 嬉しいけど全く感知できなかったのはレベル差を感じちまうな。
 景色は虚ろになり、俺は宿屋の一室で目を覚ました。


『称号〈女神の溺愛〉を獲得』
『スキルポイントボーナス1000を獲得』

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