異世界に召喚されたのでさっさと問題を解決してから

水色の山葵

二話 討伐



 冒険者登録が完了したので早速依頼を受けようと思う。


『称号〈冒険者〉を獲得』
『敏捷性に150の補正』


 うん。
 『システム』がちゃんとしていて嬉しい限りだ。
 これで敏捷性と守備力はこの世界の装備無しの平均の二倍になった。


「あの、俺が受けられる依頼って何が有りますか?」


「常時依頼であれば全て受けられます。シルさんは本日登録されたばかりですのでFランクです。それでは常時依頼以外は無理だと思います。王都の常時依頼ですと近隣の魔物駆除と近隣の採取系依頼がございます。これらはいちいち依頼を受ける必要はありませんので、基本的に牙か耳をお持ちいただければ現金と交換いたします」


 受付の女性が丁寧に説明してくれる。
 なんか拍子抜けだ。
 受付ももっと強面なのかと思ってた。


「ありがとうございます。早速行ってきますね」


「行ってらっしゃいませ」


 外に出るのは簡単だった。
 門番の人にギルドカードを見せる事で通れた。
 名前と年齢しか書かれて無いのだがいいんだろうか。
 外は草原だった。
 常時依頼の対象の魔物は近隣の魔物全てとなっていたので、適当に狩って行こう。
 ターゲットからの火の属性付与の弓での追尾。
 弓術も合わさって、これで死なない魔物はここら辺にはいない。
 鑑定を使うと今倒したのはゴブリンらしい。
 女神の言っていた外的要因とはコイツ等の事らしい。
 つまり全世界の魔物を狩りつくせって事か。
 うん。
 俺に出来る範囲は手伝う事にするよ。


『称号〈魔物討伐者〉を獲得』
『攻撃力に150の補正』
『ファイブ称号ボーナス。スキルポイント200を獲得』
『称号〈女神の兵〉を獲得』
『スキル〈光魔法〉を獲得』
『レベル上昇』
『スキルポイントを10獲得』




 新たなゴブリンを見つけたので鑑定してみると、棍術というスキルが出力されたが、近づかれなければ関係ない。
 即座に射抜き、牙と耳を採取した。
 ストレージに放り込むとゴブリンの右耳左耳と区別されていて便利だった。
 女神に調整して貰わなかったら、かなり不便になっていただろう。
 そのまま狩を続けた。
 ゴブリンとオークとハイラビットが大半だった。
 全て視覚外から頭に属性弓を食らわせるだけで終わった。


 四種類目スライムが現れた。
 鑑定してみると衝撃無効、斬撃無効のスキルが出力された。
 ステータスは平均50だ。
 属性付与で一撃だった。
 だがスライムはどの部位を持ち帰ればいいんだろうか。
 正直べちょべちょで触りたくない。
 ん? スライムの真ん中に紫色の石があった。
 取り敢えずこれを回収しておこう。
 今度はオークを一回り大きくしたような赤い皮膚の魔物を見つけた。
 鑑定結果はオーガ。
 平均ステータス300の化け物である。
 スキルは凶暴化と棍術と巨大化。
 俺は弓を構える。
 属性付与は風。
 速度が上昇した矢はオーガの脳天を貫いた。
 風属性は貫通力も上がるのだ。
 そのまま耳と牙を採取。
 死体はこのまま残しておくとゾンビ化しそうで怖いのでストレージに全部入れている。
 そのまま狩りまくった。
 基本的にはゴブリンが多く五十六匹。
 時点でオーク三十二匹。
 ハイラビット二十匹でスライム七匹オーガは三匹しか居なかった。


 夕日が見えてきたので、弓を仕舞ってギルドに戻った。
 そういえばこの世界の一日は何時間なのだろうか。
 まあ感覚的に二十四時間に近そうではあるが。
 今は食べ物の事以外はどうでもいい。
 ギルドへの道で焼き鳥のような物を何本か買った。
 串はストレージだ。
 ゴミ箱扱いしてごめんよ。
 ギルドに戻ると登録してくれた受付の人がいたのでその人の所に行った。


「あの、魔物の牙と耳ってどうすればいいんすか?」


「それでしたら、ここに出して貰って構いませんよ。ゴブリンは右耳、オークは右の牙、スライムは魔核、ハイラビットは角です」


「解りました。じゃあ出します」


 右耳、右牙、魔核、角。
 あるだけ全部出した。


「あ、オーガはどの部位っすか?」


 あれ、答えが返ってこない。
 どうしたのだろうか。
 目を見開いて俺が出した討伐証明素材を見ている。
 なんか変なもんでも混じってたか?


「おーい」


「あ、は、はい!!」


「どしたんすか、急に大きい声出して。オーガはどの部位ですかって」


「はい。オーガも右の牙です!」


「はいよ」


 右の牙を三本テーブルの上に出した。


「これで全部です」


「はい。精算しますので少々お待ちください」


「解りました」


 今のうちにステータス確認しておくか。


 名前 シル
 種族 人間
 年齢 18
 職業 狙撃手(21)
 レベル21
 体力2100
 MP2100
 攻撃力3250(150)
 防御力2210(110)
 敏捷性3280(180)
 魔力値2100
 スキル 〈転移魔法〉〈神託〉〈記憶保存〉〈弓術〉〈鑑定〉〈隠密〉〈偽装〉〈胆力〉〈ターゲット〉〈追尾〉〈属性付与〉〈ステータス上昇率倍化〉〈光魔法〉
 称号 〈転移者〉〈女神の加護〉〈転生者〉〈冒険者〉〈魔物討伐者〉〈女神の兵〉
 装備 〈旅人の服〉〈旅人のズボン〉〈旅人の靴〉〈旅人のマント〉
 ゴールド 499
 スキルポイント620


 お、スキルポイントが結構溜まってるな。
 何に使おうか。
 こういうのは余らせてもしょうがないしな。
 スキル取って、スキルポイントを増やしやすくするという好循環を狙う。
 取るスキルは決まっている。
 〈火炎魔法〉〈水魔法〉〈聖魔法〉〈回復魔法〉〈魔力消費量半減〉〈必要魔力量半減〉〈無詠唱〉〈魔力制御〉〈魔法付与〉〈鍛冶〉〈木工〉だ。
 火炎魔法は上位魔法なので百ポイントで後は全て五十ポイントだ。
 残りポイントは二十である。
 あと二十の使い道を考える前に受付の女性が戻って来た。
 精算が終わったようだ。


「シル様、ゴブリンが五十六匹で銀貨一枚と大銅貨一枚銅貨二枚。オークが三十二匹で銀貨三枚と大銅貨二枚。ハイラビットが二十匹で銀貨一枚。スライムが七匹で銀貨三枚と大銅貨五枚。オーガですが一匹大銀貨三枚なので大銀貨九枚です。合計、大銀貨九枚、銀貨八枚と大銅貨八枚銅貨二枚になります」


 お金を受け取ると直ぐにストレージに入れた。
 後なぜか「さん」だったのが「様」に変わっていた。


「あの、シル様は何か特殊な技能を持っているのでしょうか?」


「特殊な技能とは?」


 なんだスキルがばれたのか?
 いや隠密をかけてるからそれは無い。
 ならこの討伐数は不自然だったか?
 適当にあしらうか。


「魔法や加護の事です」


「ああ、魔法ならいくつか使えますよ」


 あ、バンバン使ってるストレージが悪かったのかもしれないな。
 いや十中八九そうだよな。
 まあ、魔法くらいは教えといてもいいだろう。


「やっぱり! 凄いんですね」


「まあな。それじゃあ俺はお暇するよ。あ、いい宿知りません?」


 俺は受付の女性に宿屋を聞いてギルドを出た。
 宿屋はギルドから近かったので、直ぐに長期滞在を決めた。
 食事は焼き鳥を結構食べたので、要らないと言ってその日は眠りについた。

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