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戦闘狂の迷宮攻略 〜早熟と模倣でお前のスキルは俺のもの〜

水色の山葵

対談



 今日は隊長に呼び出されてアメリカ大使館までやってきていた。メンバーは俺と寧さんに隊長、それと外務大臣。外交官ですらなく、外務大臣自ら出向かなければならないような用事がこの駐日アメリカ大使館あるのだろう。
 そして、僕や寧さんが呼び出されているのなら内容はある程度予想がつくというものだ。


「君が不明アンノウンか……いや、すまない本当に高校生で少し驚いてしまっている」


「いえ、お気になららず、僕も大臣殿が目の前にいるというのに緊張が隠し切れませんから」


「私は本郷悟ほんごうさとる、よろしく。ああ、君は名乗る必要はないよ不明アンノウンだからね」


「椎名寧です。よろしくお願い致します」


「真鍋弘樹二等陸佐であります! よろしくお願いします!」


 お偉いさんにそう呼ばれるのは少し、いやかなり恥ずかしい。なんだこの羞恥プレイは。隊長さんはダンジョン攻略の功績が認められて二等陸佐に昇格したらしい。


「では本題に入るとしよう」


 ここは大使館の控室で部屋の中には僕、隊長、寧さん、外務大臣の四人しかいない。今のうちに僕や寧さんが呼び出された理由を教えてくれるのだろう。


「今回君たちに集まってもらったのは、そういう要望がアメリカから出されているからだ」


「ん、どういうことですか? 何故アメリカが私たちを呼びだすのでしょうか?」


「単純な話だよ寧さん。協力要請……ですよね、本郷さん」


「ああ、その通りだ」


 今、日本という国はとても重要な立場に立っている。
 ダンジョン最速攻略国。それはつまり、世界で最もダンジョンについての情報を持っている国という事だ。ただし、ネットの情報を見る限り海外の日本に対する心象はあまりよくない。
 数ある国の中で唯一の9層攻略国で更に最近19階層も攻略したとか言い出した国。


 ダンジョンが世界に現れてから一ヶ月が経過している現在、世界唯一の9層攻略国に嫉妬している人間は多い。ま、最も多い意見は日本のダンジョンの9階層だけ難易度が低いって論だけど。


「そこまで検討が付いているのならどんな協力要請かもわかっているんだろ?」


「はい、アメリカのダンジョンを一緒に攻略してほしい、ってところでしょうか」


「君の言う通りだ」


「でも、すぐにアメリカへ行くわけじゃなくて大使館まで来たってことは、まだ何を代わりに貰うのかは決まっていないのではないですか?」


「そこまでお見通しか、流石攻略者だね。それでは僕らの目的も解るね?」


「はい。僕達の目的はアメリカに対してできる限り多くのお礼を引き出す事ですよね?」


「いいや、最大限を引き出した上で一つ下のお礼を貰う事だ。高望みしすぎると身を亡ぼす、覚えていた方がいいよ」


「それは無理かもしれませんね。なんせ僕は冒険者ですから」


「そうだったね。ならば、君の舞台を整える役目が僕の仕事なのかもしれないね」


「そうなる事を願っています。そうなれば絶対に損はさせないとお約束いたしますよ」


「流石の自信だ。最速攻略者」






「なんのお話をしてるのでしょうか?」


「わかんねえ。まああいつらが変人って事は間違いないな」


「大臣にそんな事仰ってよろしいのですか?」


「あっ、絶対言うなよ!」






 隊長が話していた内容は聴覚強化のおかげで丸聞こえだが、大臣も隊長の方を向いてニヤリと笑ったので気が付いているだろう。口の動きを読んだりできるんだろうか。
 その後どういうプランで行くのか大臣と話し合い、客間へと向かった。


「ようこそおいで下さいました。本郷大臣」


「いえ、お招きいただきありがとうございますユース大使」


 その部屋には流暢な日本語を話す大使の他に三人の男女が居た。金髪の男とスキンヘッドの男、そして金髪の女。西洋系の顔つきだから全員アメリカ人なのだろう。




 気をつけろ相棒。こいつら戦闘経験がある。




 なるほど、軍人ってとこか。ここにこのタイミングでいるってことはダンジョンの攻略に関係する人物だから、アメリカの探索者ってとこか。


「それで、そちらのお二方のどちらかがコード不明アンノウンですか?」


「ああ、皆自己紹介を」


「はっ! 真鍋弘樹二等陸佐であります。以後お見知りおきを」


「椎名寧と申します。不明アンノウン君のパーティーメンバーをさせて頂いてます」


 隠形と隠密を解除する。大使がお二方と言ったのは僕の存在が見えていなかったからだ。
 僕が隠形と隠密を解除した瞬間、男女3人が構える。軍隊の近接格闘術か。




 やってみてえな。


 黙ってろよ。




「名乗る必要はないでしょう? 僕がお目当てなんですから」


「君は……いつこの部屋に入ったんだい?」


「他の三人と同じタイミングですよ」


「Did you use your skills?」


 控えていた女が英語で話しかけてきた。


「That's right invisible skill」


 そう言って僕はもう一度隠形を発動する。


(※以下『』内は英語を日本語に翻訳しています)


「アメイジング!」


 そう言って女は目を見開いた。


『9階層はそのスキルで攻略したの?』


 これ以上の情報を与えるプランはない。大臣の方に顔を向けると、頷いた大臣は大使に話しかける。


「それで、そちらのお三方はどなたなのでしょうか」


「ああ、申し訳ありません。彼らは日本語があまり得意ではないので私が代わりに紹介させていただきます。アメリカに作られた冒険者制度の事はご存じだと思います。彼らはそこで他とは比べ物にならない成果を上げた三人です。左からケイ、ジェイ、オリビア」


 金髪の男がケイ、スキンヘッドの男がジェイ、金髪の女がオリビアだそうだ。
 男はとてもいい体格をしている。二人とも190cmくらいあるんじゃないだろうか。
 女の方は身長こそそこまでだが、『俺』が言うにこの中で一番強いのは彼女らしい。


「立ち話もなんですし、皆さまどうぞお座りください」


「失礼します」


 僕達四人がソファに腰かけると大使も座った。冒険者三人は立って話を聞くようだ。


「それでは本題に入りましょう。察しはついているかと思いますが、アメリカのダンジョン攻略を日本の探索者の方に協力して貰いたいのです」


「軍を動かすのは構いません。しかし不明アンノウンを含める二人は未成年の民間人です。二人に協力を強制させる事はできません」


「なるほど。私も日本一の、いや世界一の探索者が予想よりも遥かに若く驚いています。学生ですか?」


「はい。この二人は高校生です」


 大使は難しい顔をする。正直言ってアメリカが日本に言う事を聞かせるのは現在の世界情勢ではそこまで難しい話ではない。
 しかしダンジョン最高攻略国という肩書は、未成年の民間人という言い訳を突破させない程度には日本の力を上げてくれているようだ。


「ですが、この二人はアメリカのダンジョン攻略を手伝ってもいいと言ってくれています」


「それは本当ですか!?」


 身を乗り出す勢いでユース大使は声を張り上げた。それほどまでにダンジョンを攻略したいらしい。


「ええ、この条件を呑んでくださるのならですが」


 攻略中に手に入れたダンジョン内の物品は全て僕に保有権がある。
 僕と寧以外に攻略についてくるアメリカの探索者は1名とする。
 ダンジョン探索中に知りえた僕達の能力やステータスを開示しない。


 僕が考えた条件は三つ。二つ目は絶対条件。一つ目か三つ目はある程度譲渡しても構わないと考えている。


「分かりました。アメリカはこの条件に同意します」


 大使は簡単にそれを認めた。ある程度の値切り交渉があると予想していた僕と大臣はポカンとしたがすぐに気を取り直し笑顔を浮かべる。


「それでは時間の打ち合わせをしましょう」


 数日後僕達はダンジョンへ向かう事となった。その日の話し合いはそれで終了した。どうやら僕や大臣が思っている以上に他国は9階層を攻略したいらしい。










『それで、あの子供達の実力をどう見る?』


『二等陸佐は流石に戦闘経験豊富と言えますが。実際に戦えば負けないでしょう。そして件の二人、巫女ヴァルキリー不明アンノウンですが。巫女の方は大したことはありません、肉体も強いとは言い難いし戦闘経験が多いとも思えません。しかし問題は不明の方です正直意味が分からない。強さも弱さも感じなかった。あれは戦士ではなく、まるで研究者のような感じがしました』


『名前通り不明というわけか。日本が同行を許したのは一名のみ。頼むぞ、アメリカ最強の探索者にして龍の血を引く者、オリビア・ドラゴニア』

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