詩がない物書き。

マッチ棒

前編

現代の世で作家というと多くの人がおそらく小説家と答えるだろう。
それは、どの時代にも言えることだ。

私の名前は、土岐曽良(ときそら)。物書き歴5年の小説家で今は、各地を転々としながら小説を書いている。

これは、そんな私がある地で小説を書いていたときの話だ。

***

その年は、いつもより早くに雪が降っていて私は、小さな古民家を改造した宿屋の一室で推理ものの書いていた。

「何か、いい感じのネタはないものだろうか…」


そしてネタに行き詰まっていた私は、気分転換のため雪の中外に出た。


まぁ、気分転換と言ってもこの雪だ。野良犬や野良猫はおろか、ひとっこ一人いない。

生憎私は、雪国出身なのでこの手の寒さには慣れているが誰もいないというのは寂しい。


と、そう思いながら歩いていると小さな路地を見つけた。

「これは、なにかのネタになりそうだな」

私は好奇心が強いので、暗がりの路地に向かう。

が、路地に入ると、中は思いの外明るかった。

どうやら路地=暗いと考えるのは、間違っていたらしい。

それから、路地を歩くこと数分。

「お!あれは…」

私は、一匹の黒猫を見つけた。
真っ白い世界に佇む一匹の黒猫を。


「こんなところで何をしているんだい?」

黒猫にそう尋ねると、彼女はニャーと言いながら私の足元に寄ってきて首を擦り付ける。

私は、幼い頃から動物に好かれていた。親戚の家に行った時も「この子、人を怖がるのよねぇ」と言われていた秋田犬に顔を舐められ、動物園なんかに行けば檻の中に入っている猛獣が皆私の方を見て尻尾を振ったりと散々だ。

でも、その代わりと言ってはなんだが人には好かれない。

小学校の頃からそうだ。

隣の席になった子には、「無表情すぎてつまらない」などと言われ担任には、「もっと笑いなさい」と言われる有様。

で、それが私が物書きになった理由なのだが。

なので、この黒猫に出会えたのは嬉しかったのだ。

黒猫はしばらく私の足にまとわりついていると、それから私を導くように尻尾を振りながら奥に進んでいった。
















後編につづく↓

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