オタクとロリ

マッチ棒

第76話〜看病〜

2月のある日。目が覚めると、目の前には心配そうな顔でこちらを覗き込む1人の幼女がいた。

***

「ん〜〜…」

朝いつものように目を覚ますと、隣のベッドで寝ている慎の事がふと気になった。

いつもなら、スースーと寝息を立てて寝ているのに今日はなんだか違う。スースーではなく、ウーウーと苦しそうにしている。

………は!?

「慎、大丈夫?誠、大丈夫?」

わたしは、試しに慎の体を譲ってみた。

しかし、彼はまだ苦しそうにしている。

今度は、おでこを触ってみた。

「…!?あっつ!」

なんと、慎のおでこは熱した鉄板のように熱かったのだ。

………どうしよう。どうやら慎は、熱があるみたいだ。

「そうだ!」

と、思いつき洗面器の中に氷水を入れ、さらにその中にタオルを浸し、それを慎のおでこに乗せた。

これで…大丈夫かなぁ?

生憎、わたしは医者の娘ではないのでこの手のことは分からない。でも、とりあえず今は、慎が苦しんでいるのを止めなくちゃ。

それから、わたしは、慎のためにおかゆを作ったり頭のタオルを変えたりと色々した。

で、その甲斐あってか慎は「んー…」と目を覚ました。

***

「慎、大丈夫?」

(……ん?なんで、花凛は心配そうな目で俺のことを見てるんだ?)

訳が分からないので、とりあえず声を出し返事することにした。

「あ、あぁ。大じょ……ごほんっ!ごほんっ!」

結果、俺は大丈夫と言おうとして大きめの咳をした。

「もう…大丈夫じゃないじゃん!慎、熱があるんだから今日は寝ててね。」

そしてそれプラス、幼女に怒られた。

(……そういえば、なんだか頭がボーッとする気がする。)

「あ、でも花凛…」

「ん?どうしたの?」

「会社にだけ連絡させてくれ」

俺は、そう言って会社に連絡する。

(……ハァー。これでまた、残業が増えたな)

それから、花凛は「これ、作ったから食べてね」と言って学校に行くため家を出た。

(…………今日は、1人か…。)

          

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品