第36話〜スマホ〜

花凛が家に友達を連れて来た次の日・月曜日の夕飯の時のこと。

「なぁ、花凛。スマホ欲しくないか？」

俺は、花凛にそう聞いた。

何故、そう聞いたのか？と聞かれたら俺はこう答える。

「だって、世の中的にスマホを持っていないと不便じゃないですか。」と。

…別に、小学生のうちから持つ事に意味はないが、持っていた方が友達と連絡を取り合ったりするときにも便利だろうからな。それに加えて、あと半年ほどで花凛は中学生になる。

そんな俺の意見に花凛は、「え！スマホなんていいの？」と尋ねて来た。

「あぁ、持っていた方が花凛も便利だろ？」

「…それはそうだけど…」

すると、花凛は何か言いたそうにした。

(…もしかして、金か？)

「なぁ、花凛。金のことなら心配しなくてもいいからな。スマホ二台分の料金なんて大したことないし。それに、学割というのもあるそうだからな。」

俺は、金の問題はないと花凛に伝える。

すると、花凛はホッとしたような顔で「なら、よかったぁ。」と言った。

…まったく。花凛は子供のくせに時々変な気を使う。

まぁ、花凛なりにこの生活に対していろいろ考えているのだろう。

俺も時々考えるしな。

本当に、あの時の判断が正しかったのだろうか。とか、今の生活が花凛に合っているのか。とかな。

そんで持って、次の日。
俺は、仕事帰りに某携帯ショップに寄って花凛の分のスマホを購入した。

「花凛、昨日言っていたスマホだ。色は、適当に選んだけどこれでよかったか？」

帰宅してすぐ、俺は花凛に購入した白色のスマホを渡した。

主な初期設定は、済ませたけどツリッターやらインストグラムやらのアカウントは作っていない。

そこら辺は、現代っ子に任せる事にした。

「くれぐれも、怪しいサイトとかにはアクセスしちゃダメだからな。」

俺は、初めてスマホを持った祖父母に言うみたいに花凛にそう言った。

一方、花凛も「そんな事、言われなくてもわかってるよ」と、おばあちゃんのような口調で返事した。

それから、俺の連絡先を教えてその日は終わった。

(……とりあえず、これで仕事中も安心だな。)