オタクとロリ

マッチ棒

第10話〜家族〜

「花凛、ただいま。」

俺は、玄関に入るなりそう言った。

すると、リビングの方からパタパタと足音を立てて1人の幼女がやって来た。

俺が昨日拾った、家出幼女だ。

「おかえり。慎。」

花凛は、嬉しそうに言った。

『おかえり』
ここ最近…と言うか、上京して来てから初めて言われた言葉だ。

俺は、嬉しさを押さえながら洗面台へ行き、手を洗い、寝室で部屋着に着替えてからリビングへと向かった。

「花凛、今夜はブラザーマートの冷凍ハンバーグだ。」

それから、花凛と2人で夕飯を食べ明日のことについて話した。

「明日は、花凛の布団と日用品を買いに行くけど、ほかに買いたいものはあるか?」

俺が花凛に欲しいものを尋ねると、花凛は「わたしは、慎がいればそれで良い」と、恥ずかしそうに答えた。

(くそっ!なんていい子なんだ。)

俺が、某田舎アニメのヒロインだったら「お持ち帰りぃ」してるところだったな。

で、そのあと花凛が「昼間、慎の部屋にあった漫画を読んだんだけど、面白かった。
あの漫画、続きはないの?」と、聞いて来た。

なんとびっくり。花凛のやつ俺の持っている漫画を読んだのか。

基本的に俺の持ってる漫画は、王道な少年誌系からマニアックなタイプまで色々あって、花凛が読んだのは寝室の本棚の一番中心に並んでる『ボクの怪盗学園』と言うタイトルの所謂、ジェンプ系漫画。

ふぅー……。その隣にあった、『破廉恥学園H&H』を読んでいなくて良かったぜ……。

もし、あれを読まれていたら色んな意味で大変だっただろうに。

それはそうと、花凛が漫画を気に入ってくれて良かったよ。

まぁ、昨日の時点でオタク=キモい勢ではないと言ってたし。

それにしても、こうして一緒にご飯を食べて一緒に話していると、本当の家族みたいだな。

少し前の俺であれば、今日のこの時間なんて「明日は、休みだウェーイ!」なんていうノリで、美少女育成ゲームを徹夜でしていたに違いない。

これも全て、花凛のおかげだな。

「わかったよ。その続きも明日買おうか。」

「本当?ありがとう、慎。」

この日は、2人で一つのベッドで寝た。

(勿論、変なことはしてないからな。)

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