オタクとロリ

マッチ棒

第9話〜職場〜

頭痛する頭を押さえながら、今日も会社に出勤する。

「おう鬼月!」

エレベーターに乗ろうとしたところで、同僚の山口の元気な声が聞こえてきた。

「……。おう、山口。今日も元気だな。」

「だろ?俺の心と息子はいつでも元気だぜ。」

「そうかよ。…俺は、朝から満員電車で潰されてお前の下ネタトークにツッコミすら入れる気にならねぇよ。」

俺が疲れた声でそう言うと、山口は「はっはっは〜!そうかそうか!」と、俺の肩を叩いてきた。

それから2人でエレベーターに乗り、仕事場である6階のオフィスへと向かった。

「じゃ、お互い頑張ろうぜ!」

「……。あぁ、そうだな。」

オフィスの入り口で山口と別れ自分の席に行く。

「さてと………」

自分のデスクにカバンを置き、パソコンを起動させる。

と、マウスを触ろうとしたところで右隣から声をかけられた。

「おはよ!鬼月くん。」

スタイルの良い女性。

「あ、おはようございます。亜耶さん」

彼女の名前は、水無月亜耶(みかづきあや)。
俺よりひとつ歳が上で、会社の同期の1人。
今は席が隣同士で、俺は彼女のことを亜耶さんと呼んでいる。

「どうしたの?なんか、いつもよりも疲れた顔してるよ?」

俺の顔を見て、亜耶さんがそう言った。

「はい。実は、朝から寝坊してさらに満員電車で揉みくちゃにされました。」

事情を話すと、亜耶さんは「そうなのね」と、笑いながら返事した。

(それにしても、今日も綺麗だな。)

俺は、この会社に入った時から亜耶さんのことが気になっている。
あぁ、勿論恋愛的な意味で。

でも、残念なことに亜耶さんには、同い年の旦那がいるのだ。

旦那がいると知ったときは、一週間ほど心が折れていた。

そんなことを思い出しつつ、今日も一時間ほど残業して帰るのであった。


          

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