オタクとロリ

マッチ棒

第7話〜起床(慎編)〜

ピピピピピピピピピピーッ!

いつもと同じ時間に目覚ましは鳴った。

「ん………。」

もそっ

何か腹らへんに違和感を感じる。

なんだ?

「ん………。」

俺は、ゆっくりと目を開けそれを確認する。

!?

「あ!おはよう。慎。」

………。

「……。えーと、…はよう。花凛。」

俺は、驚きのあまりちゃんと挨拶ができなかった。

なんと、横になっている俺の上には馬乗り状態の花凛がいたのだ。

これは……なんと言うか……、いろいろ申し訳ないな。

花凛は、そんな俺の顔を覗き込むようにして言った。

「慎、今日仕事でしょ?いいの、そんなに寝てて?」

……?

何のことかわからない。

俺昨日、何時に目覚ましかけた?
花凛が心配するってことは、少なくとも目覚ましをかけた時間よりは経っていると思うけど……。

俺は、恐る恐る時間を確認する。

『午前6時58分』

…………。終わった……。

時間を確認した俺は、急いで飛び起きダッシュで顔と歯を洗いスーツに着替えた。

「悪い、花凛。今日は家で過ごしてくれ。
服とか日用品は明日買いに行くから。」

「うん、わかった。」

「あと、インターホンと電話は出なくていいからな。」

「うん、わかった。」

「それと、ご飯は冷蔵庫が冷凍庫にあるもの好きに食べていいからな。」

「うん」

一通りのことを伝え、俺はカバンを持って玄関に。

「じゃあ、行ってくる。」

「うん。気をつけてね。いってらっしゃい。」

忘れ物がないか確認し、俺は慌ただしく家を出た。

駅まで道を今日はいつもの二倍で進み、何とか、いつも乗っている電車に間に合うことができた。

(本当、花凛がいてくれて助かった。)

満員電車で潰されながら俺は、ふと思った。

(「行ってきます」なんて言葉誰かに言ったのは、何年ぶりだったけ。)

高校卒業と同時に上京してきた俺は、昨日の朝まで「行ってきます。」なんて言葉言っていなかった。

多分これも、花凛と出会わなければもう一生言わなかっただろうな。

(本当)花凛に感謝だな。)

それから潰されること10分。

会社のある駅に着く頃には、二日酔いの時くらいの頭痛がしていた。

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