隣の席の山中くんは男の娘!?

マッチ棒

第6話

「え?」

振り返って、スカートを履いた山中がいたので俺は思わず声を出す。

そして俺の声に気づいたのか、クラスメイトは俺と山中の方を見る。

そんな中、山中は顔を赤くしながら「ど、どうかな?咲良井くん」と恥ずかしそうに言った。


とりあえず、俺はこの場所にいるのはいろんな意味でまずいと思い山中の綺麗な手を取り教室を飛び出した。



「ハァ…ハァハァ……い、いきなりど、どうしたの……ハァ…さ、咲良井…」

教室を出て廊下の突き当たり・図書室までやってきた俺たち。

部屋の扉を閉めて高まっている鼓動と気持ちを落ち着かせていると、山中は俺にそう尋ねた。


「ど、どうしたもこ、こうしたも無いだろ。」

息を整えながら答える。

「お、お前がスカートをは、履いてきたからび、ビックリしたんだよ」


言いたいことを伝え終えると、件の山中は目を丸くしていた。そして、こう言った。


「だ、だって……スカートを履けば授業中に寝てても気づいてくれるかなって思ったんだもん…」


スカートの端を抑え、涙目になりながら。

「や、山中……」

あまりの可愛さに抱きしめたいという気持ちが湧いてくる。

すると、頃合を読んだかのようにキーンコーンカーンコーンとホームルームの始を告げるチャイムが校内に響いた。


「あ、チャイムなったしそろそろ戻ろうか」

目の前にいるスカート姿の山中にそう言って、俺たちは教室に急いで戻った。





教室に戻ると、ちょうど担任が出席確認をしている最中だった。

俺たちは気づかれないようにこっそりと後ろの扉から入る。

そして、自席まであと2メートルというところで担任に見つかった。


「おい!咲良井。遅刻したならちゃんと言わないとダメじゃ無いか」


クラスメイトは笑っている。

「は、はい。すいませんでした。」

謝罪をして席に着く。


すると、担任は再びクラスメイトの名前を読んでいた。

「山中」

「はい」

聴き慣れた名前と声がする。


あれ?


と、ここで違和感に気付いた。

なんで、山中は注意されないんだ?



どうやら、山中という奴は居眠りだけではなく遅刻したことにも気づかれないらしい。










つづく

          

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