ダンジョンを造ろう

田中隆司

侵入者

 しばらくシロと戯れていると、コアが突然明滅した。
 何事かと思って見ると、見えないはずの穴が見えた。
 魔力を通して見せたのかな?と疑問に思うけれど、そんな考えは一瞬で消え去った。
 コアに見せられたのは穴をゆっくりと下ってくる小柄で醜悪な生き物。
 世間一般で言われるところのゴブリンだ。
 なんでもう敵が来てるの!?
 パニックに陥りそうになったけれど、シロを強く抱き締めて臭いを嗅ぐことで自分を落ち着かせる。
 相手は雑魚の代名詞みたいなやつらだ。
 落ち着いて対処すれば大丈夫。
 そういい聞かせてもう一度ゴブリン達を見る。
 人数(?)は四匹。
 穴を降りるためか武器らしきものはなにも持っていない。
 服は腰に毛皮らしきものを巻いているだけ。
 以外と体は逞しく、非力な私では一対一でも太刀打ちできないだろう。
 けどそれだけ。
 穴から落ちないようにロープを使ってる様子もなければ魔力も無いに等しい。
 なら後はあいつらを落とすだけでいい。
 あいつらの場所から私のところまで十メートルはある。まず助からないだろう。
 私は魔力をあいつらの周りの土に浸透させる。
 そしてあいつらが手や足をかけている土の部分をどかしてやった。
 急に体を支えられなくなったゴブリン達は落ちていく。
 多少耐えたやつもいたけれど、何回かすれば落ちていった。
 落ちた先には当然私がいる。
 他に敵がいないかくまなく探していた私は落下した衝撃で飛び散った血をもろに浴びてしまった。
 そんなハプニングがありつつもはじめての侵入者は無事に倒すことができた。
 ちなみに死体はコアが魔力を吸いとったあと遠くに捨てました。
 死体に対する耐性はコアに知識を植え付けられたときに勝手にできていた。
 何をするにも魔力を使うから人を殺した感触も知っている。
 もうなにも感じないけどね。

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