ダンジョンを造ろう

田中隆司

ダンジョン

 周りに光はほぼない。
 唯一光と呼べるものがあるとしたら私の目の前で淡く光っている球体だけだろう。
 手に持っているリードを引っ張られる感覚で我に変える。
 気がついたらここにいた。
 さっきまでシロを散歩につれていっていたはずなのにここに来るまでの記憶がない。
 夢のような気がするけれど、シロの存在がこの状況が夢ではないと告げている。
 混乱している間も、シロは私の手を引いて光っている球体のもとへ行こうとする。
 他にできることもなく、私はシロについて歩いていった。
 そしてシロが球体にお手をするように足をおいた。
 その瞬間。
 頭の中に情報が一気に流れ込んできた。
 頭が割れるように痛み、涙が溢れる。
 そのあまりの苦痛に私は意識を失った。

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