ゾンビ・コンビニエンス

ノベルバユーザー480688

コンビニエンスストア


 誰もいないコンビニ、今日もお客さんはゼロだ、暇すぎる。まぁ慣れたけど、、、
店内には自家製の新鮮な野菜、魚の燻製焼き、釣り道具を並べてる。蒸し暑さが込み上げる店内で4か月前のジャンプを読みながらお客さんを待つ、どこからか血の匂いが漂ってくる、臭いけど今、窓を閉めたら間違いなく蒸し焼きになりそうだ、店の周りには頑張って作ったバリケードがゾンビ達の侵入を防いでくれている。まぁ結構数は減った方かな、音を出さなきゃ寄ってこないし、油でコーティングしてあるから登っては来れない、さて、何故たった4か月でこれ程の状況になったのか、日本はここまで壊滅的になったのか理由を説明しよう。

 まずはゾンビの身体能力が桁違いに凄かったからだ、みんなの想像のゾンビはノロノロしていてグロい体で襲ってくるバイオハザード的なのを想像してただろう、現実は違った、感染すると筋肉やあらゆる細胞が異様に発達し、体中の血管が浮き出て全力で襲ってくる、視力がよく、耳が悪くなるらしいが人の気配を察知する能力があるらしい、知能は獣並みだからよじ登ってくるし、クソ恐ろしい。
 
 初めての感染はインドなのはTVで見た、人々が逃げ惑い襲われている映像を見ていた。インドは人口が多すぎてすぐに広まったようだ、事態がおこると、すぐにスーパーやホームセンターは長蛇の列になり食べ物、武器になりそうな物やフェンスなどが一瞬でなくなった。TVやTwitter、YouTubeでこれさえあればゾンビから逃げられる的な様々な情報が拡散され、ゾンビは目が見えない、高い音が弱点、虫除けスプレーが効くなど、どんな情報でも人はパニックになると信じるものだ。
 
 インドを中心に大陸全土に広がり日本は島だし空港も閉鎖で大丈夫だろうとみんなが安心していたが想像もしていなかったことが起きた。感染者に乗っ取られた船が日本に座礁したのだ、もうパニックになり、家に引きこもる人が多かったのがダメだった、ゾンビは簡単に窓ガラスを割るし2メートルくらいの柵なんか簡単によじ登る。一気に日本も感染が広がった。自分の家はバリケードに工夫をし、簡単にはよじ登れないようにした。電気やガス水道が3週間も経たない内に使えなくなった。ガソリンも一瞬で無くなり、太陽光発電をしている家やビルなどに住んでいる人は勝ち組みたいになっていた。水1本5000円まで上がったが、お金なんてすぐに価値はなくなった。今は物々交換が主流だ、釣り道具や農作物を育てる物が人気だ。
 
 僕は元コンビニ定員だ今はバイト先に誰もいなくなったのでそこを貸してもらい自分の家で育てた野菜や燻製魚を売っている。
さてとお客さんが来たようだ自転車4名様だ。バリケードの門を開けに行く、見たところ4人家族のようだ、夫婦と小学生くらいの子供、薄汚い服、何日もシャワーに入ってないのだろう。都会から来た人だな、腕には雑誌をガムテープで貼り付けてあり暑い中分厚い服を着ている。噛まれないようにしているのだろう、

僕「何を探しで?」
旦那さん「食べ物と水です。」
僕「どうぞ、右の棚です。」
旦那さん「東京から4日かけて来たんですよ、」
僕「そうですか、お疲れ様です。」

子供は疲れてるようで、夫婦は少しやつれている。可哀想だし長旅で疲れたのだろう水でもおすそ分けしようかな、、、

奥さん「これと交換できますか?」

そう言うと女性は指輪と腕時計ネックレス、自分の持っている金品を全部出した感じだ、、、

僕「すみません、食料とかじゃ無いと交換できないです。あ、お酒とか武器はありますか?」

夫婦はうつむいた顔をする。何も無いのだろう、

旦那さん「無理ですか、、、」

その瞬間違和感を感じた。旦那さんは子供達を見て下にうつむき腰の後ろに手を当てている、奥さんも何か緊張した顔をしている。明らかに空気が変わった。嫌な予感がする。とその瞬間
旦那さんは私に包丁を向けていた。

旦那さん「食料をわ、わたせぇぇぇぇぇ!」
凄い剣幕で叫んでこちらを睨んでる。
やはり強盗か、でも旦那さんの手は震えている。」

奥さん「今よ!ゆうか!たくま!」

そう奥さんが叫ぶと子供達は急いでリュックに野菜を詰めていく、マジか小学生にこんな事をやらせるのかよ、

僕「こんな事をしていいと思っているのか?」

奥さん「あなた達はずるい!食料があるのにこうやって詐欺まがいの商売をしているじゃない!」

確かにそう思うかもしれない、

僕「私だって家族がいて商売をしなきゃ生きていけない!こんな事やめるんだ!」

旦那さん「だ、黙れぇぇぇ!」

どう説得しても聞かなそうだ、しょうがない。

カチャ!

右ポケットから出した銃を旦那さんに突きつける、夫婦の驚いた顔、5秒ほど沈黙が続き、旦那さんの顔がどんどん青くなった。

僕「命が惜しなかったらやめるんだ。」

旦那さんは膝から落ち怖気ずく奥さんは下を向く、子供達はせっせと頑張ってリュックに入るだけの野菜をつめている。

旦那さん「すみません、、、」

僕「水と少し野菜をやるからさっさと消えろ。こんな事をしたらマジで命を落としますよ?」

旦那さん「はい、」

旦那さんは無言で子供達を止め、トマトを1袋と2リットルの水を受け取り、旦那さんは急いで帰ってった。この態様をするのが1番だ、最近は治安は本当に悪くなった。警察が機能しない以上店は自分で守るしかない。この銃はすぐそこの交差点で拾った、すぐ近くでゾンビ化した警察の死体がありそいつから落ちた銃だ。リボルバー式の扱いやすいタイプだ、この銃のおかげで沢山助けて貰った。DOQな集団が襲ってきた時も助けて貰った。弾は警察署から盗まれたものが闇市で売られていたのを買った、
 
 一つ断言しよう。

ゾンビの次に怖いのは人間だ、生き残るためにはなんでもする。さっきのがいい例だ、聞いた話によるとやばい宗教団体が生贄を捧げた話とかビルやソーラーパネルの家が放火にあったのを最近はよく聞く、恨みは恐ろしい物だ。
この世界はどうなっていくのやら、

次回へ続く

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