転生ヒロインに告ぐ!この世界はゲームじゃない!

茄子

40 はやまった結婚とその後のこと(セイラ視点+ミレーヌ?視点)

「結婚が早まった?教育も済んでいないのに?」
「そうよ、もともと王妃教育なんて淑女教育に毛が生えたような物だし、国王陛下はより早く次の世代を産ませることを重要視為さったそうよ」
「なるほど」

 エドワード様の言葉に納得しながらも、どこか腑に落ちずに首をかしげていると、呆れたような視線を向けられた。

「セイラがそう望んだんじゃないの?神々がそれをくみ取って国王陛下に神託でもよこした…って、いうのが当主方の考えよ」
「そういえば、夢を見ているうちに王妃になればよろしいのにと思いましたわ」

 にっこりと笑って言えば、エドワード様は肩をすくめた後にクスクスと笑う。

「王妃になって贅沢三昧な生活、ちやほやされる生活を夢見てるのに、まさか神産みの木の生贄にされるなんて思わないわよね」
「そうですわね」

 思わないでしょうね、結婚式の後に初夜も迎えずに生贄になるなんて、普通は考えませんわ。私だって知る前は王妃や王配は王宮の奥深くに隠されているのだと思っておりましたもの。
 当主方と王族しか知らないことを私が知ったままでいいのか、少し考えてしまいますけれども、私は特別に神々に目をかけていただいている自覚がありますし、それこそお目こぼしされているのかもしれませんわね。

「エドワード様は約1年経てばここを卒業して、当主になりますけれども、その時にはもうミレーヌ様が次の王子を産んでいるかもしれませんわね」
「そうであってほしいわ。そうすればカイン様はもういらないもの」
「まあ怖い」

 クスクスと笑えば、エドワード様がそっと私の手を取り自分の口元に持っていく。

「私のセイラに迷惑をかけた王子を国王にして守るなんて、気に入らなかったのよね」
「そうでしたの?」
「そうよ、私が大切にしてきた、大切にしていくセイラに無遠慮に触れて、無駄に滾らせて、何の役にも立たない王子を守るぐらいなら、いっそ殺しちゃおうかって思ってたのよ」
「それはいけませんわ。王族は護らなければいけませんもの」
「そうよねえ、だから困ってたのよ。セイラと喧嘩するなんてまっぴらごめんだもの」
「死に狂いのエドワード様の望みは叶うかもしれませんわね」
「セイラの手にかかって死ねるなら本望だけど、そうなったら貴重な戦力がなくなっちゃうから、セイラが後悔しちゃうわね」
「そうですわね」

 もしカイン様をエドワード様が殺そうとすれば、私は間違いなくエドワード様を止めるために戦いますわね。
 それが12公爵家のお役目ですもの。
 自室でゆっくりとしている時に、急にいらっしゃったので何の御用かと思いましたけれど、このようなお話しは確かに談話室ではできませんわね。
 カール様やアレックス様が聞いたら即座に戦闘開始ですわ。
 それにしても、神々が私の考えをくみ取ってくださるのは今に始まったことではありませんが、まさか結婚時期まで汲み取ってくださるとは思いませんでしたわ。
 そうなりますと、ミレーヌ様が加護を得たのも私の思いのせいなのでしょうか?そのような事を考えた覚えはないのですが、神々の思考回路というか行動は予想できませんものねえ。
 ライチティーの入ったカップを持つために、エドワード様の手元から自分の手を引き抜くと、エドワード様は笑って自分もカップをもって一口飲む。

「ミレーヌ様が生贄になって、カイン様の神気を神産みの木に注いで子供が生まれれば、カイン様は国王陛下によって排除される」
「そうね、王族間での争いなら私達は手を出さないものねえ」
「お気の毒ですわ。お2人とも」

 心の底からそう思いますわ。お身内に殺されるというのは、さぞかし未練が残ってしまうでしょうね。
 ああでも、カイン様のような王族の方は私ども12公爵家とは違いますので、未練などは残らないものなのでしょうか?
 エドワード様はカップを置いて体を伸ばすように腕を上にあげて、今日も着用しているドレスのスカートの上に手を下すと、部屋の中にいる侍女たちに視線をやる。

「私もセイラも実家を出て、弟だけが結局取り残されちゃったわね」
「そういうものでございましょう。12公爵家の者は生まれはともかく、残る家は混ざり合うものですわ」
「じゃあ、ヴェルナー様が良いっていえば、私のこどセイラに産んでもらってもいいってことよね」
「そうですわねえ」

 そういえばエドワード様の婚約話しは聞いたことがありませんわね。どなたを娶られるのかと思いましたが、なるほど私を使えば確かに手間は省かれるというものですわね。
 まあ、養子を受け入れるのかとも思っておりましたけど、私が王妃にならなくなったので考えを変えたのでしょうか。

「順番さえ守るのでしたら私はかまいませんわ」
「私だってヴェルナー様と事を構えるのは遠慮したいわ。それに、ヴェルナー様が言ったじゃない。神々がかどわかすまで、私とヴェルナー様でセイラを守るって」

 そう言えばそのような事を言われましたわね。

「ヴェルナー様の許可は出ていると私は思うんだけど、セイラはどう思う?」
「そうですわねえ、確かにあの言い方ですと、私をお2人で分けるというようにも受け取ることができますわね」
「リブラ家とゲミニー家の当主が女を分け合うなんて、平和的な話ね」
「そうですわね、もっとも子を産むのは女の私の仕事ですけれど」
「そこは頑張ってちょうだい」
「わかりましたわ」

 そう言った瞬間、エドワード様に手を引かれ、そのまま椅子から腰が浮き、エドワード様の腕の中に捕まってしまう。

「私のセイラが生贄にならなくてよかったわ」
「反12公爵家的な考えですわね」
「いいのよ。こうならなきゃ言わないもの」

 頬に口づけられ抱きしめられて、思わず懐かしさに笑いが顔に浮かんでしまう。

「エディお兄様は昔から私にキスをするのが好きですわね」
「気持ちがいいのよ。セイラは特別に、気持ちがいいのよ」
「ふふふ」

 それにしても、王妃になるのが早まること、ミレーヌ様はお喜びになるのでしょうね。
 ここの所お会いしていないカイン様はどう思っているのでしょうね、未だにこの私を諦められないようなご様子を感じますが、神に近いカイン様にとって、私という存在は神々が好む様に、カイン様にとっても好ましいものなのかもしれませんわねえ。

「ご結婚はいつ頃ですの?」
「年が変わるころよ」
「まあ気の早いことですわねえ。エドワード様、私の結婚もそのぐらいになるのでしょうか?」
「そうね、まずはヴェルナー様の子供を産んで、自由になったら私のところに来て子供を産みなさい」
「かしこまりましたわ、エディお兄様」
「いい子ね、セイラ。私が死ぬまでに子供を産んでね」
「当主になれば戦場に行く機会は減ってしまいますわね、お可哀そうに」
「いいのよ。まったくでないわけじゃないもの」
「ふふ」

 抱きしめられたまま、頬を合わせて笑い合う。



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「今年の終わりに結婚ですか!?」
「そうだよ、国王陛下がそう決めたんだ」

 カイン様の言葉に思わず胸の前で手を組んで、ドキドキと高鳴る鼓動を感じて目を閉じてしまう。
 婚約者となったことも夢のようなのに、あと数か月で結婚するなんて、夢の続きを見ているようで信じられません。
 ここの所また意識がおぼろげなになってしまうことが多いのですが、以前のお友達がまた仲良くしてくださってますし、沢山の方に支えられて祝福されているのがわかって幸せです。

「カイン様は、その…乗り気ではないんですか?」
「別に」
「あっ……カイン、さま」
「まあ、ミレーヌが王妃になって子供を産めば、あとは僕の自由だからね」

 手を引かれてソファに押し倒され、その上からカイン様が覆いかぶさってきてキスをしてくださる。
 カイン様のキスは心が暖かくなって、体がたまらなく熱くなるきがするけれど、いつまでも、何度でもしてほしいと思えてしまうほど、気持ちがいい。
 頭の中がボーっとしてしてしまうけれども、それは気持ちがよすぎてそうなっているのだから、カイン様はすごい。

「カイン様、気持ちがいいです」
「そのまま素直に僕の気を受け入れて」
「はい」

 神の加護をもらうようになって、カイン様が私にご自分の気を流し込んでくれているのがわかるようになった。
 そのおかげで私のような普通のただの貴族の娘が神の加護を得ることが出来たのだと思います。
 体の隅々まで染み込んでいく暖かいものが、熱いものがカイン様のいう気だというのなら、私はいくらでもカイン様の気を受け入れたい。

「カイン様…」
「黙って」

 触れられたカ所が熱くて、そこの血がどくどくと跳ねるように流れていくのがわかる。
 ビクビクと体が跳ねるのをカイン様は押さえつけるように抱き込み、さらに多くの場所に触れてくる。

「はあ…熱い、です」
「そうなんだ?滾ってくるのは悪くないよ、その分王妃に相応しい体になってる証拠だし」
「そうなんですか…がんばり、ます」

 頭がボーっとして、体が熱い。
 それなのに体のどこもかしこも敏感になってしまったかのようで、カイン様の動き一つ一つがたまらなく切なく感じてしまう。

「王妃になるためだから、がんばってね」
「はい」

 王妃になって私はカイン様とずっと一緒に幸せに暮らせる。そうすれば、私は幸せに……幸せに暮らせ、る…。

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