転生ヒロインに告ぐ!この世界はゲームじゃない!

茄子

30 勝つのはあたしよ(ミレーヌ?視点)

 頭の中がボーっとする。
 今朝カイン様と倉庫に閉じ込められて、キスをしてしまって・・・。
 どっどうしてあんな恥ずかしいことをしてしまったのでしょうかっ。恐れ多くもカイン様は王子様でいらっしゃるのに、そのっ・・・お、お誘いをしてしまうなんて身の程知らずな真似をっ。
 カイン様が心の広いお方でよかったですが、あんな胸を押し付けるなんて、しかもあんなにボタンをはずして・・・・・・、はっはずかしい。

『はあ?あんぐらい当然だっての』

 カイン様とキス、してしまってどうしましょう。セイラ様に申し訳が立ちません。

「・・・む、胸は大きい方がいいのでしょうか」

 キスをされているときに胸に触れられて気もしましたし、カイン様は胸がお好きなのでしょうか?セイラ様も大きな胸をお持ちですし、やはり大きな方が?
 それなら私もカイン様のお目に留まるかも・・・、いえっ私なんかがそんなことを考えるのは恐れ多いですね。
 私がカイン様と親しくさせていただけるのは、幼い時にカイン様が療養にいらした時にお世話をさせていただいたからですし、慢心してはいけませんよね。

「で、でも」

 そっと唇に手を当てて、もう片方の手で胸を押さえる。
 ドキドキした心臓の音が手に感じられて、余計にドキドキしてしまう。
 カイン様もキスしてくださったということは、多少は私にも目を向けてくださっているということですよね。

『少しじゃ意味ないのよ!』

 セイラ様に対抗するなんて烏滸がましい真似はできませんけれど、少しでもお暇をつぶすお手伝いが出来るのなら・・・、お役に立てるかもしれませんよね。
 でも、今までのことはなんだかぼーっとしてあまり思い出せませんが、色々あったのですよね?
 皆様にいじめというものを受けたこともありますけれど、考えれば私がカイン様に親しくしたことを咎められていただけですし、ある意味自業自得でしたよね。
 たかが伯爵令嬢の身であんなに親しくして、皆様も気を悪くなさったのですよね。
 ケーテ様がお詫びと言って金銭をくださいましたが、やはりお返ししたほうがいいのでしょうか?

『はあ?』

 でも私が金銭を頂くことで解決している部分もありますし、今返却してはまた問題を蒸し返してしまうかもしれませんし、やはりこのままお預かりしたほうがいいんでしょうか?
 ああ、お友達にもお話をして私の態度を謝ったほうがいいですよね。
 また一緒にお夕飯を食べたいです。

『あんな有象無象のモブなんかどうでもいいでしょ!っていうかなんなのよ!あんたはあたしの中で消えたはずでしょ!ざっけんじゃないわよ!』
「カイン様ともまた一緒にお食事できるでしょうか?お約束してくださいましたから、近いうちにカフェにご一緒できる・・・、どっどうしましょう、今までは平気でしたが改めて一緒にお食事だなんて、緊張してしまいますね」
『聞いてんの?ちょっと!あんたは引っ込んでなさいよ!くそ女が!』
「・・・あ、ら?なんだかまたボーっとして?」

 ぐらりと視界が周り、緊張で部屋の中をうろうろした居た足を止めて、ベッドに倒れこむ。

「まだ明日の準備が、あ…る、の」

 意識が覆われるように薄れていった。



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「っ!何よ今の!」

 ベッドから起き上がってバクバクと音を上げる心臓を押さえる。
 消え去ったはずなのに、今になって元の人格が出て来たとか洒落になんないのよ!
 今朝カイン様とキスしてから出てきたってことはなに?カイン様に未練たらたらであたしを押しのけて来たってこと?
 ざっけんじゃないわよ!カイン様はあたしのもんだってのに、今更なにぶりっこぶって出てきてるわけ?意味わかんないし、あたしの苦労を台無しにしてくれるわけ?
 今まで通りあたしに踏みつけられて息を止めてればいいのよ!
 せっかくカイン様とキス出来たのに、あのくそ女のせいでそのまま押し倒される計画が台無しじゃない!
 何のために脱がしやすいドレスにしてたと思ってんのよ!ドロワーズだって穿かずにいたのに、そのまま既成事実をっていう場面だったでしょ!密室で二人っきりだったのに!

「ったく、次は夜に出歩くイベントよね」

 夜の水辺でっていうシチュエーションは、ゲームじゃできなかったこともできるわよね。
 そうすれば一気に好感度もあがるし、狙うべきはやっぱりそれよね。
 ベッドの上で来ていたドレスを脱いで床に放り出す。

「勝つのはあたしなのよ」

 あのくそ女は気が付いてなかったみたいだけど、キスして胸を揉まれて、ってだけじゃないのよ。
 大きくて柔らかくて形がいいって自慢の胸に、キスマークどころじゃなく歯形が付いているのを確認して口の端が自然に上がる。
 ちょっと所有欲が強すぎる気がするけど、セイラにあたしが勝ってるって証拠よね?あの堅物女じゃこんなのさせるわけないし、やっぱりカイン様だって男なんだから色欲っていうの?下心っていうの?あるわよね。
 それを満たしたほうが勝ちってわけよ。

「でもあのクソ女がまた出てきたら、うまくいかないわよね」

 ガキの頃にカイン様の心をつかんだって設定なだけあって、しぶとくてくそ生意気な女よね。
 このあたしの邪魔をするなんて、神罰でも下ってきえちゃえばいいのよ。

「この位置って、ドレスのデザインでいけば見えるかな」

 あたしが求められてるってみんなに知らせないといけないから、明日からこの跡が消えるまで胸の空いたドレスを着ようかな?ちょっと寒いけど仕方ないようね。
 あ、でもカイン様が嫉妬しちゃうかも?
 このあたしの胸はほかの男には見せたくない、みたいな感じで。

「嫉妬されて壁ドンされちゃったりして~」

 やっばい、いいかも。
 僕のものなのに、とか言って嫉妬してきちゃってキスとかまたされちゃって、しかも人前で!
 そうなったらあたしがカイン様のお手付きとか皆知っちゃって、セイラが嫉妬してきてイベント発生?
 でも、あの女ってカイン様に婚約破棄されてアンデッドの大襲撃でも活躍シーンはなかったし、っていうか出てこなかったわよね。
 死んだっていうのは出てこなかったから生き残るんだろうけど、ああいう女はしぶとく生き残ってなんかこっちに手を出してくるんじゃないの?
 ゲームと違ってケバい厚化粧してないし、清楚ぶってるけど絶対あの女は性格悪いわよ。

「どうしよう。あたしの将来のために死んでくれないかな?アンデッドの大襲撃とかいい機会なんじゃない?それとも社会的に抹殺?いじめ女のケーテと親しいんだし、間接的にできるんじゃないの?」

 やっぱり将来設計のために不安の種は取り除いておくべきよね。
 クソ女がまた出てくる可能性もあるけど、このあたしが最終的に勝つに決まってるんだし、神の加護を得てカイン様と結ばれることは決まってるんだから、無駄な努力ってやつよね。
 明日から着るドレスを選びながらこみ上げてくる笑いに逆らわずに声を出して笑う。

「ぷぷっ」

 今朝の事件は結構広まってるみたいだし、あたしってばこの一年でずっと注目の的って感じよね。
 お友達にしてやったやつらもちょっと利用してやろうかな?あたしとカイン様の仲を広めるいい情報源っていうかスピーカーになってもらわなくっちゃね。

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