わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)
78. 補う_1
目覚めた時、私はバスローブを着ていたから、宮燈さんが着せてくれたんだろうなあと思った。途切れ途切れの意識の中で、私は何度も何度も絶頂していた。フロア貸し切りで良かったなーと改めて思ったくらいに。
ベッドが汚れたんじゃないかと心配したけど、サラサラしているシーツは綺麗だった。私の身体も清拭されたのかべたついたりしていない。……やっぱり寝てる間にいつも何かされてんだな……と思った。
隣で静かに眠っている夫は、とても美しい。
「くっ……顔がいい……」
私がそう呟くと、宮燈さんがうっすらと目を開ける。
空は白みかけていて雲は青い。夜の名残の街灯と、活動を始めた人たちの灯りで、まだ夜景と呼べるものが窓から見えていた。起き上がってテラスを見ていた私の腕を宮燈さんが掴む。
アルコールが抜けたのか、いつも通り無表情だった。
「おはようございます」
「もう少し寝たい。頭が痛い」
「強くないのに飲むからですよ。ビールも紹興酒も飲んだのに、ワインまで飲んで……」
くったりしてるのが可愛いから頬にキスをした。無表情だけどちょっと照れてる。可愛い。
寒くはなかったけど、隣に潜り込んで体をくっつけた。
「二度寝しましょ」
宮燈さんは何も着てなかったから、胸に唇をあてて、額をすり寄せて甘えていたら、温かくて幸せになった。気持ちいいなと思ってたら急に抱き締められた。
「もう、逃げない?」
「逃げませんよ。宮燈さんが私を大事にしてくれるなら、私は逃げたりしません」
「大事にする、約束する」
「じゃあ、閉じ込めたりしないでくださいね。春から同じ会社で働けるの楽しみにしてますから」
私がそういうと、宮燈さんが少し笑う。
「閉じ込めたいが、色々な物を見て、怒ったり泣いたり笑ったりする君も見たい……」
「私の夫がまともな思考の持ち主で安心しました!」
酔うとやべー本性が垣間見えるみたいなので、あんまり飲ませないようにしようと心に誓った。髪にキスされてるからくすぐったい。肩を揺らしてると宮燈さんの体温が上がってる気がした。
うん! 元気に起きてますね! もう少し寝たいんじゃなかったの?
ちょっと悪戯していると、私の耳を食べながら宮燈さんが言った。
「はあ……妻が寝かせてくれない、なんて幻想だと思っていた……」
宮燈さんは無表情だったけど、少しだけ上気している。可愛いなあと思いつつ、どうしてこうなったんだっけ?と考えて、全部自分が悪かったなと反省した……。
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