わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)
46. 橘部長が声を出して笑う_2
そう思って顔をあげたら「ふふっ」と小さく笑っている宮燈さんがいた。
「まさか、君は妬いている? やきもち?」
「そ、そうです。何笑ってるんですか? バカにしてます?」
「こんなうれしいこと初めてだ。君は私が好きなのか? 私が他の女と二人きりだったことを妬く位に」
なんかバカにされてる気がする!
悔しい。
「そうですよ! 嫌でした! 宮燈さんが他の誰かと二人きりだなんて物凄く嫌!」
「私は君以外どうでもいい。でも君は私が想う程に、私の事を好きじゃないと思っていた。……だから妬いてる君が可愛い」
そう言って、私の好みドストライクの綺麗な顔でフッと笑うから、私は胸に恋の矢が百本は突き刺さったと思う。心臓が破れるんじゃないかと思うくらいドキドキしてきた。
本当に嬉しそうで、まだ口角が上がってる。こんなに笑顔が持続してるの凄い。綺麗。
……私にだけ向けられる優しい視線を思うと、私の独占欲も充たされる。
吉岡が私達に干渉してきたのも許そうと思った。
素敵でしょ?でもごめんなさーい、私の夫なんです!
我ながら意地悪だと思うけど、そうでも思わないとやってらんない。
モテる夫を目の当たりにしても、そのうち慣れて平気でいられるようになるんだろうか。それともずっと痛みは続くのかな。心が疲れちゃうからなるべく平静でいたいのに。
「何を考えている?」
「この先もずっとやきもち焼くのかなって。宮燈さん、モテるから」
少し拗ねて私が言うと、宮燈さんがベッドに乗ってきて私を抱き締めた。スプリングが軋んで揺れて、そのまま押し倒された。宮燈さんは、私の胸に顔を寄せて軽くキスしてる。さっき自分がつけた鬱血痕を指でなぞりながら宮燈さんが言った。
「……私は君のものだ」
「うわあ、そういう台詞をさらっと言えるの凄いです」
「私の心は全部君に持っていかれた。私は君のものだ。私が好きなのは君だけだ、桜」
……今の録音しておけばよかったな。そうしたら、不安になったら何度も繰り返し再生できるのに。
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