わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)

ゆきづき花

36. 落ちる_1



 黄色い向日葵に、落ち着いた空色の帯。さっき着たばかりの浴衣を、するすると脱がされて、足元にそれが滑り落ちていく感触さえ気持ちいい。下着はつけてなかったから、少し寒くて宮燈さんにくっついた。あったかくて何だか落ち着く。そう思ってたら、またひょいと抱えられた。

 お布団はふかふかだったけど、古いベッドは、私たちが身動ぎする度にギシギシと軋む。それがとても卑猥に響く。

 色情と愛情は似てるけど違う。
 性愛も愛だけど、それだけじゃない。
 宮燈さんはもう自分の情欲を隠してない。寂しがりの飢えた子に、私は全部食べられてしまいそうな気がする。宮燈さんが満たされるまで、喰らい尽くされる気がする。


 ベッドの軋む音。
 宮燈さんの吐息。

 ただそれだけ。何も考えなくていい。
 触れあってる全部が気持ちいい。なんだろうこれ。

 ゆっくりお風呂?
 二度寝のお布団?
 私が私でなくなるみたい。
 ふたりで溶け合っていくみたい。


 私の喘ぐ声と衣擦れの音。降りしきる雨が世界を隔ててるから、宮燈さんと二人でどこまでも落ちていく。とても幸せ。



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