万色を支配する白魔王 ~ステータス極振りどころか全捨てし、スキルに全振りした少女のピーキー無双~
13 アサシンウルフ戦(中)
――『パリィ』――
――『パリィ』――
――『パリィ』――
アサシンウルフの攻撃をどちらかの腕で受け流し、反対の手で拳を叩きこむ。その、繰り返し。
やっていることとしてはそれだけだ。しかし、必要とされる集中力はとんでもない。
まず、右手で流すか左手で流すかの判断がとても難しい。最適解はなく、結果が出るまで良い行動だったかは分からない。
そして、受け流すこと自体もかなり難しい。上手く袖に擦らせたうえで攻撃の方向が逸れるように衝撃を派生させるのは、それなりに難易度が高いのだ。
ただ、拳を叩きこむのは慣れているために、そこまで大変ではない。もし殴るのも大変だったら、数回殴ったあたりでうまくいかなくなり、簡単に屠られていただろう。
アサシンウルフが仕掛けてくる攻撃は、前足の爪のどちらかによる攻撃だけだ。これほど同じことを繰り返していたら、アサシンウルフの方が何かやり方を変えてきても良さそうなものだが、そのようなことはなかった。
下手に両足で飛び掛かったり、噛みつき攻撃をしようものなら、私に大きな隙を晒すことになることを理解しているらしい。厄介なことだ。
しかし、私にもこれ以上の手はない。そのための、この膠着状態であった。
とは言え、だ。アサシンウルフは片腕を使った爪攻撃しか仕掛けて来ないだけであり、毎回真っ直ぐ片足を振り下ろしてくるわけではない。アサシンウルフが仕掛けて来るのは毎回違った絶妙に流しにくい攻撃であり、だからこそ受け流しが大変なのである。
「もっと、対処しやすい攻撃を放って来てくれてもいいのに……まぁ、その分戦いがいはあるんだけど」
――『パリィ』――
……さて。もう、五十回は拳を打ち込んだだろうか。ようやくアサシンウルフの体力が半分を切った。
「さぁ、あと半分なの……まさか、これで終わりなわけじゃあるまいの?」
正直、これははったりに近かった。戦いが終わるまで集中力が持つかは、賭けに近い。
しかし私がそう呟いた瞬間、アサシンウルフの表示が変化した。
アサシンウルフ Lv:25 (静怒・覚醒)
「なるほど、ここからが本番と。これは……様子見が出来そうな感じじゃなさそうなの」
アサシンウルフの体を、深い闇のようなものが包んだ。足には青い稲妻のようなものが走り始め、爪は黒く染まりながら伸びていく。
様子見なんてしていたら、一瞬で殺されるだろう。『ジャイアントキリング』によってステータスが向上されていても、多分無理だ。
幸い、アサシンウルフが動き始めるのには、まだ時間が掛かりそうだ。今のうちに、私も準備をしておくべきだろう。
アサシンウルフを待っていた(結局そんなことをする意味はなかったのだが)時に、暇つぶしにやっていた色の変更。その『色』というのは、人の性格などを示す私にしか見えない『色』のことだ。
色を変更する――それは、性格を変更することに等しい。しかし多少の変更であれば、それは性格の変更と言うより感情の制御である。
私が色の変化でやったのは集中力の向上。一つの物事に対する、熱中性を上げたのである。
「若干ズルっぽい感じがするから、出来れば使いたくはなかったんだけど……こうでもしないと勝てなさそうだから、やらせてもらうの」
「グルゥウ 」
さっきの速度を大きく上回る高速で、アサシンウルフは迫って来た。それに対して……私は前に出る。
「さぁ、行くの」
……多分だけど、私は今、笑っていると思う。
一応言っておきますが、ノイは戦闘狂の気質があります。前話の殴り合いが得意って文で、察していた人もいたかもしれませんが。
フォローといいねをよろしくお願いします。いいねは、面白いと思った話だけでいいので。
――『パリィ』――
――『パリィ』――
アサシンウルフの攻撃をどちらかの腕で受け流し、反対の手で拳を叩きこむ。その、繰り返し。
やっていることとしてはそれだけだ。しかし、必要とされる集中力はとんでもない。
まず、右手で流すか左手で流すかの判断がとても難しい。最適解はなく、結果が出るまで良い行動だったかは分からない。
そして、受け流すこと自体もかなり難しい。上手く袖に擦らせたうえで攻撃の方向が逸れるように衝撃を派生させるのは、それなりに難易度が高いのだ。
ただ、拳を叩きこむのは慣れているために、そこまで大変ではない。もし殴るのも大変だったら、数回殴ったあたりでうまくいかなくなり、簡単に屠られていただろう。
アサシンウルフが仕掛けてくる攻撃は、前足の爪のどちらかによる攻撃だけだ。これほど同じことを繰り返していたら、アサシンウルフの方が何かやり方を変えてきても良さそうなものだが、そのようなことはなかった。
下手に両足で飛び掛かったり、噛みつき攻撃をしようものなら、私に大きな隙を晒すことになることを理解しているらしい。厄介なことだ。
しかし、私にもこれ以上の手はない。そのための、この膠着状態であった。
とは言え、だ。アサシンウルフは片腕を使った爪攻撃しか仕掛けて来ないだけであり、毎回真っ直ぐ片足を振り下ろしてくるわけではない。アサシンウルフが仕掛けて来るのは毎回違った絶妙に流しにくい攻撃であり、だからこそ受け流しが大変なのである。
「もっと、対処しやすい攻撃を放って来てくれてもいいのに……まぁ、その分戦いがいはあるんだけど」
――『パリィ』――
……さて。もう、五十回は拳を打ち込んだだろうか。ようやくアサシンウルフの体力が半分を切った。
「さぁ、あと半分なの……まさか、これで終わりなわけじゃあるまいの?」
正直、これははったりに近かった。戦いが終わるまで集中力が持つかは、賭けに近い。
しかし私がそう呟いた瞬間、アサシンウルフの表示が変化した。
アサシンウルフ Lv:25 (静怒・覚醒)
「なるほど、ここからが本番と。これは……様子見が出来そうな感じじゃなさそうなの」
アサシンウルフの体を、深い闇のようなものが包んだ。足には青い稲妻のようなものが走り始め、爪は黒く染まりながら伸びていく。
様子見なんてしていたら、一瞬で殺されるだろう。『ジャイアントキリング』によってステータスが向上されていても、多分無理だ。
幸い、アサシンウルフが動き始めるのには、まだ時間が掛かりそうだ。今のうちに、私も準備をしておくべきだろう。
アサシンウルフを待っていた(結局そんなことをする意味はなかったのだが)時に、暇つぶしにやっていた色の変更。その『色』というのは、人の性格などを示す私にしか見えない『色』のことだ。
色を変更する――それは、性格を変更することに等しい。しかし多少の変更であれば、それは性格の変更と言うより感情の制御である。
私が色の変化でやったのは集中力の向上。一つの物事に対する、熱中性を上げたのである。
「若干ズルっぽい感じがするから、出来れば使いたくはなかったんだけど……こうでもしないと勝てなさそうだから、やらせてもらうの」
「グルゥウ 」
さっきの速度を大きく上回る高速で、アサシンウルフは迫って来た。それに対して……私は前に出る。
「さぁ、行くの」
……多分だけど、私は今、笑っていると思う。
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