万色を支配する白魔王 ~ステータス極振りどころか全捨てし、スキルに全振りした少女のピーキー無双~
7 大人的な事情
「とりあえず、登録と換金は終わり、と。まぁ、中々の金額になったの」
ゴブリンの肉が20Gで、ぼろい棍棒が10G。そして、ホブゴブリンの肉が100Gで、少し古びた大きな棍棒が150Gだったので、合計3240Gである。
「うーん。まだ時間はあるし、少し歩いてみるとするの」
今は夏休み。十一時からこのゲームを始め、まだ一時を過ぎた直後なので、時間はかなりある。
で、一周してみた。でもって、面白いところはあまりなかった。
「なんだかんだ噴水のところが一番きれいだったの。ふわぁあ……色々やったせいか、どうにも眠いの」
別に一度ログアウトして昼寝をしてもいいのだが、折角ならこのゲームの中で寝てみたい。どこか、日向ぼっこが出来るところはないのか?
「噴水のところは人がたくさんいるし、フィールドで寝るのはさすがに論外……いや、そうでもないの?」
寝ている時に『色撃』を発動させておくことは無理だからDIF値のみで防ぐことになるが、ゴブリンくらいだったらノーダメージでいけるのではないだろうか。
ということで、始まりの草原に行って試してみた。で、その結果は……
【HPが0に到達、死亡しました。最寄りの転移ポイント、始まりの町『エルダン』の噴水広場にて蘇生します】
「結論としては、『パリィ』などのスキルが無い限り、DEFがいくらあっても1ダメージは受ける、と。これは……『パリィ』がかなり重要だったってこと、なの? 使いやすいスキルだとは思ってたけど、ここまで重要な役割を担っていたとは……ちょっと予想外だったの」
考えてみれば、『パリィ』発動時は全く相手の攻撃の感触がなかったのだ。それがどれほどのことか、少し見誤っていたかもしれない。
「とりあえず、今日はここで終わりにするの。……また、明日」
配信を切り、BAオンラインをログアウトする。現実に浮上した瞬間、それを待っていたようにスマホが鳴った。
画面に表示された相手の名前は鳴瀬紗良。……待っていたように、ではなく、実際に待っていたようだ。
「もしもし?」
『あ、もしもし。配信見てたわ。やっぱり『色撃』を選んだわね』
「……予想してたの?」
『そりゃあね。あの性能でノイが選ばないわけがないと、私は思ってたわよ』
「……私のこと、よく分かってるの」
『そりゃあ、友達ですから』
……友達、か。
「それはともかく、一つ聞きたいことがあるの」
『……何かしら?』
「レベルが上がってもBAの補助効果が上がるだけで自分のステータスは上がらないんだけど、これってキャラメイク時に1SPもステータスに振らなかったのと関係あるの?」
『あ、そう言えばそんなことも言ってたわね。別にそれは関係ないわよ。Lvが20になるまで、自分のステータスを上げられないのは、全プレイヤー共通だから』
それは良かった。さすがに、いつまでもあのステータスなのは……ちょっと困る。
「でも、なんでそんな面倒なシステムになってるの?」
『それは、種族と職業を選ぶのが、Lv:20になったタイミングだからね。レベルが上がるたびに入手できる種族ポイントで、ステータスを上げていくってシステムだから』
「種族を、後から選ぶの?」
それはどうにも……おかしくはないだろうか。
『設定的には、Lv:20までは純粋な人間で、Lv:20の時点でBAとプレイヤー自身の双方に適したと判断された種族に進化することで、BAの繋がりを強めるって感じだからね。一応、おかしくはないんじゃない?』
「なるほど……」
『……まぁ、大人的な事情はあるんだろうけど』
「というと?」
『普通のゲームだったら、種族とか職業なんかを決めてから、それに合った武器や防具を少しずつ揃えていくでしょ? でも、BAオンラインの場合はその逆になっちゃうから、種族と職業を後から決められるようになってるんじゃない?』
「……確かに、それはあるかもしれないの」
『一人一つのユニーク品っていうのは魅力とゲーム自体の面白さの両立のために、色々工夫してるんでしょうね』
理由を聞けば、確かに納得の話ではあった。
『因みにそれと同時に職業スキル、種族スキル、そしてBAスキルを得ることになるわ。だから、Lv:20からが本番って考え方もあるみたいよ』
「へぇ、それは面白そうなの。でも、それってそのあとのモンスターと戦闘が簡単になり過ぎるんじゃないの?」
『そこらへんから、モンスターも一段飛ばして強くなるらしいわ。だからこそ、本番ってわけね。ああそれと、ノイってばプレイヤーネームも『ノイ』で始めたでしょ』
「それがどうにかしたの?」
『普通はリアルネームをプレイヤーネームには使わないのよ。もう変更できないから仕方ないけど、リアルネームと同じってことは隠しておいたほうがいいわ』
「了解したの」
……まぁ、バレたとしても特に問題があるとは思えないが。
因みに大人的な事情には、「自分が後から種族とか職業とかあった方がいいなって思ったから」という理由もあります。ははははは……許してくだしゃい
フォローといいねをよろしくお願いします。いいねは、面白いと思った話だけでいいので。
        
        
ゴブリンの肉が20Gで、ぼろい棍棒が10G。そして、ホブゴブリンの肉が100Gで、少し古びた大きな棍棒が150Gだったので、合計3240Gである。
「うーん。まだ時間はあるし、少し歩いてみるとするの」
今は夏休み。十一時からこのゲームを始め、まだ一時を過ぎた直後なので、時間はかなりある。
で、一周してみた。でもって、面白いところはあまりなかった。
「なんだかんだ噴水のところが一番きれいだったの。ふわぁあ……色々やったせいか、どうにも眠いの」
別に一度ログアウトして昼寝をしてもいいのだが、折角ならこのゲームの中で寝てみたい。どこか、日向ぼっこが出来るところはないのか?
「噴水のところは人がたくさんいるし、フィールドで寝るのはさすがに論外……いや、そうでもないの?」
寝ている時に『色撃』を発動させておくことは無理だからDIF値のみで防ぐことになるが、ゴブリンくらいだったらノーダメージでいけるのではないだろうか。
ということで、始まりの草原に行って試してみた。で、その結果は……
【HPが0に到達、死亡しました。最寄りの転移ポイント、始まりの町『エルダン』の噴水広場にて蘇生します】
「結論としては、『パリィ』などのスキルが無い限り、DEFがいくらあっても1ダメージは受ける、と。これは……『パリィ』がかなり重要だったってこと、なの? 使いやすいスキルだとは思ってたけど、ここまで重要な役割を担っていたとは……ちょっと予想外だったの」
考えてみれば、『パリィ』発動時は全く相手の攻撃の感触がなかったのだ。それがどれほどのことか、少し見誤っていたかもしれない。
「とりあえず、今日はここで終わりにするの。……また、明日」
配信を切り、BAオンラインをログアウトする。現実に浮上した瞬間、それを待っていたようにスマホが鳴った。
画面に表示された相手の名前は鳴瀬紗良。……待っていたように、ではなく、実際に待っていたようだ。
「もしもし?」
『あ、もしもし。配信見てたわ。やっぱり『色撃』を選んだわね』
「……予想してたの?」
『そりゃあね。あの性能でノイが選ばないわけがないと、私は思ってたわよ』
「……私のこと、よく分かってるの」
『そりゃあ、友達ですから』
……友達、か。
「それはともかく、一つ聞きたいことがあるの」
『……何かしら?』
「レベルが上がってもBAの補助効果が上がるだけで自分のステータスは上がらないんだけど、これってキャラメイク時に1SPもステータスに振らなかったのと関係あるの?」
『あ、そう言えばそんなことも言ってたわね。別にそれは関係ないわよ。Lvが20になるまで、自分のステータスを上げられないのは、全プレイヤー共通だから』
それは良かった。さすがに、いつまでもあのステータスなのは……ちょっと困る。
「でも、なんでそんな面倒なシステムになってるの?」
『それは、種族と職業を選ぶのが、Lv:20になったタイミングだからね。レベルが上がるたびに入手できる種族ポイントで、ステータスを上げていくってシステムだから』
「種族を、後から選ぶの?」
それはどうにも……おかしくはないだろうか。
『設定的には、Lv:20までは純粋な人間で、Lv:20の時点でBAとプレイヤー自身の双方に適したと判断された種族に進化することで、BAの繋がりを強めるって感じだからね。一応、おかしくはないんじゃない?』
「なるほど……」
『……まぁ、大人的な事情はあるんだろうけど』
「というと?」
『普通のゲームだったら、種族とか職業なんかを決めてから、それに合った武器や防具を少しずつ揃えていくでしょ? でも、BAオンラインの場合はその逆になっちゃうから、種族と職業を後から決められるようになってるんじゃない?』
「……確かに、それはあるかもしれないの」
『一人一つのユニーク品っていうのは魅力とゲーム自体の面白さの両立のために、色々工夫してるんでしょうね』
理由を聞けば、確かに納得の話ではあった。
『因みにそれと同時に職業スキル、種族スキル、そしてBAスキルを得ることになるわ。だから、Lv:20からが本番って考え方もあるみたいよ』
「へぇ、それは面白そうなの。でも、それってそのあとのモンスターと戦闘が簡単になり過ぎるんじゃないの?」
『そこらへんから、モンスターも一段飛ばして強くなるらしいわ。だからこそ、本番ってわけね。ああそれと、ノイってばプレイヤーネームも『ノイ』で始めたでしょ』
「それがどうにかしたの?」
『普通はリアルネームをプレイヤーネームには使わないのよ。もう変更できないから仕方ないけど、リアルネームと同じってことは隠しておいたほうがいいわ』
「了解したの」
……まぁ、バレたとしても特に問題があるとは思えないが。
因みに大人的な事情には、「自分が後から種族とか職業とかあった方がいいなって思ったから」という理由もあります。ははははは……許してくだしゃい
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