万色を支配する白魔王 ~ステータス極振りどころか全捨てし、スキルに全振りした少女のピーキー無双~

志水零士

5 あっけない戦い

「思ってたよりSTR値の恩恵が凄かった、というよりは、突然相手が何かの衝撃を受けたような感じなの。多分パリィとかいうスキルの影響だろうけど、確認するのは後なの」

 棍棒がホブゴブリンの手から離れただけで、まだ倒したわけでもないのだ。Lv差9もあるということは、未だ変わっていない。

「ただ単に、相手だけが武器を持つ状況から脱しただけ。いや、違うか。自分だけが武器を持つことで、Lv差による不利を少し縮めたというべきなの」
「ウヴォァアアアアア 」



 ホブゴブリン Lv:10 (狂乱)



 どうやら、棍棒を落とされたことで怒っているようだった。もしかしたら、ステータスが上がっていたりもするのかもしれない。

「まぁ、相手がどうなろうが、やることは変わらないの。AGI値的に避けるのは無理なんだから,相手の攻撃には正面からぶち当たって対処し、隙を見て反撃を与えるだけなの。……相手の攻撃に自分の攻撃を当てることで発生した衝撃でも、ダメージは与えられるっぽいし」

 十分の一にも満たないが、ホブゴブリンの体力ゲージは確実に減っていた。つまり、狙えるなら狙っていくつもりではあるが、相手の攻撃に対処し続けるだけでも、倒すことは十分にできるということである。

「さぁ……来るといいの」
「ウヴォガァアア 」

 理性の欠片も感じられないパンチを、私は両腕を交差させて受け止める。

 ――『パリィ』――

 再び、衝撃が発生。さっきも思ったのだが、攻撃を受けてもその感触がしない。どうやらパリィによって発生する衝撃は、相手を吹き飛ばすだけではなく、自分への衝撃を相殺する効果もあるようだった。

 衝撃によって、ホブゴブリンは体勢を崩した。この隙をつかない理由は無い。
 攻撃方法として一番楽なのはパンチなのだが、あいにくこのドレスは手袋まではついていない。だから最初の攻撃に対して、私は袖をぶつけるという突飛な手段にでたのである。
 しかし、それ以外の攻撃手段がないというわけではない。手袋はないが、靴はあるのだ。

 体を捻り、ホブゴブリンの脇腹に向かって回し蹴りを放つ。戦闘を始めて、最初の感触だったが……それは、かなり弱い感触だった。

 ――ホブゴブリン一体の討伐を確認。ドロップ品を獲得――
 ――スキル『ジャイアントキリング』を獲得。自動発動状態に設定――
 ――Lv:3にレベルアップ――

 光の欠片となって消えていくホブゴブリン初めての敵。……本当にこれで終わりらしい。

「……なんというか、拍子抜けなの。まぁ、このフィールドの難易度を考えたら、当然のことなのかもしれないけど」

 何せ、最初のフィールドだ。あまりに強すぎる敵がいてもおかしい。……これからは、あまりLv表示は気にしないことにしよう。

「ウインドウ・オープン」



 ノイ Lv:3
 HP 10/10
 MP 0/0
 
 ≪ステータス≫
 VIT 1
 STR 1(+33)
 DEF 1(+33)
 INT 1(+33)
 MIN 1(+33)
 AGI 1
 DEX 1
 LUK 1

 ≪スキル≫
 色撃 Lv:MAX(発動中) パリィ Lv:2 ジャイアントキリング Lv:1

 ≪装備≫
 武器 純白の闘神衣 (バディアーマメント)
 防具 なし



「へぇ、色撃の発動中ってこういう表示になるの。レベルの上昇によってバディアーマメント、BAの補助効果は上がったみたいだけど、私自身のステータスの変化は無し。……とりあえず、新しく入手した二つのスキルを確認してみるの」



 ≪パリィ≫ Lv:2/10
 相手の攻撃を武器で防いだ際、巧みな技術によってその武器の耐久値が全く減らなかった場合に、その攻撃に向かって衝撃を発生させる。
 自動発動状態←or口頭発動状態

 ≪ジャイアントキリング≫ Lv:1/10
 自分よりレベルが上の相手と相対した時、ステータスを底上げする。
 自動発動状態←or口頭発動状態


「なるほど。あんなに簡単に取れたわりには強いスキルだと思っていたけど、そういうことだったの。……『色撃』による破壊不能オブジェクト化。思わぬ結果なの。いい意味で。Lvが2なのは、私自身のレベルが上がったから? 発動状態は……基本的にこのままで良さそうなの」

 ウインドウを消し、周囲を見渡す。無数のエフェクトが発生し、ホブゴブリンと似てはいるが、大きさがかなり小さいモンスターたちが出て来ていた。



 ゴブリン Lv;3
 ゴブリン Lv;3
 ゴブリン Lv;3
     ・
     ・
     ・



「ゴブリン、か。一斉にこんなに出て来るのに、どうして最初の相手がこいつじゃなかったのか……さっきのホブゴブリンのせいだったりするの?」
「「「ウギャア!」」」
「……まぁ、答えてくれるわけもないか。丁度、ホブゴブリンが大したことなくて消化不足だったところだし、気晴らしにつきあってもらうとするの」

 さぁ、蹂躙である。




ホブゴブリンが一撃で倒せたのには理由があります。それについてはしばらく後になりますが、また今度説明しますので、気長に待っていてください。

それと、2話の『色撃』のスキル説明を変更しました。
変更点は、『口頭発動』というスキルの発動条件の追記と、クールタイムの0から1000秒への変更です。クールタイムゼロじゃ、色を当てれなくても連発すればいいだろって話になりますからね。

フォローといいねをよろしくお願いします。いいねは、面白いと思った話だけでいいので。
        

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