【月が綺麗ですね。】私は先生に、青春全てを捧げて恋をする。
月が綺麗ですね。(44)
「えっ」
思わず驚いて、そのまま固まってしまう。
「ごめん、こんな弱みにつけ込むみたいたことしたくないんだけど」
そして、私の体を締め付けるものがもっとキツくなったのを感じた。
栗原さんの声が、頭の上から聞こえる。私は今、栗原さんに包み込まれている。
「俺なら泣かせない。こんな、辛い思いもさせない。絶対、守ってみせる。
だから、まだ俺に気持ちが向いてなくても良いから...」
頭上から聞こえてくる栗原さんの声は、力強かった。
嬉しい、はず。
ありがたい、はず。
こんなダメダメな私をこんなにも理解してくれているのに、なのに。
「ご...ごめん、なさい」
私はなんで、こんなことしか言えないんだろう。
自分で自分が嫌になった。
「わ。ごめん俺。とっさにって、本当に俺バカかよ。本当にごめん」
栗原さんは、すぐに私から離れて何度も何度も謝った。
「もう触んない、触らないから!うん、早く車を動かしましょう。
早くね、帰らないと」
そう言いながら、栗原さんは車のアクセルをグッと踏んだ。
なんだか、少し気まずい空気が流れる。
私から、何か話した方が良いかな。でも、何を話したら良いのか。
そんなことを頭でグルグルと考えながら、栗原さんの方をもう一度チラッと見た。
するとその同じタイミングで、栗原さんも私の方に顔を向けた。
一瞬目が合い、慌てて私は顔を逸らした。
「本気だよ」
はっきりとした栗原さんの声が、私の耳に届く。
私はその声に、逸らした顔をもう一度向けた。
「ごめんね。弱みに漬け込んでずるいやつだって思われるかもしれないけど、それでも良い。
それでも良いから、華ちゃんを俺が守りたい。
俺が、幸せにしたい。俺で、華ちゃんをいっぱいにしたい」
そんな栗原さんの目は、あの時の目にそっくりだ。
栗原さんからの好意は、大学時代から気がついていた。
でも、私の心がなびくことはなかった。
一度も、想いが傾くことはなかった。
きっと、この先も。
「ごめんなさい、でも「
「分かってる。華ちゃんが俺のことなんとも思ってないのは分かってるし、もう諦めなきゃって思いながらもずっと小川先生のこと考えちゃってるのも分かってる。でも俺、諦めないから。」
栗原さんのその言葉とほぼ同時に私の自宅に到着した。
「ごめんね、こんな時に変なこと。今は辛かったら、忘れてもらって全然良いから。また、声かけるから。」
栗原さんのその笑顔はとても優しくて、でもなんだろう。どこか作り物のようにも見えた。
「すみません、お見苦しい姿を。今日は本当にありがとうございました。」
「じゃあまた、来週ね!」
そう言って手を振って、栗原さんは車を発進させた。
小川先生のことを考えたくはない。
でも、栗原さんのことを考える余裕もない。
結局私は柚木に電話をした。そして小川先生を、諦めることを宣言した。
思わず驚いて、そのまま固まってしまう。
「ごめん、こんな弱みにつけ込むみたいたことしたくないんだけど」
そして、私の体を締め付けるものがもっとキツくなったのを感じた。
栗原さんの声が、頭の上から聞こえる。私は今、栗原さんに包み込まれている。
「俺なら泣かせない。こんな、辛い思いもさせない。絶対、守ってみせる。
だから、まだ俺に気持ちが向いてなくても良いから...」
頭上から聞こえてくる栗原さんの声は、力強かった。
嬉しい、はず。
ありがたい、はず。
こんなダメダメな私をこんなにも理解してくれているのに、なのに。
「ご...ごめん、なさい」
私はなんで、こんなことしか言えないんだろう。
自分で自分が嫌になった。
「わ。ごめん俺。とっさにって、本当に俺バカかよ。本当にごめん」
栗原さんは、すぐに私から離れて何度も何度も謝った。
「もう触んない、触らないから!うん、早く車を動かしましょう。
早くね、帰らないと」
そう言いながら、栗原さんは車のアクセルをグッと踏んだ。
なんだか、少し気まずい空気が流れる。
私から、何か話した方が良いかな。でも、何を話したら良いのか。
そんなことを頭でグルグルと考えながら、栗原さんの方をもう一度チラッと見た。
するとその同じタイミングで、栗原さんも私の方に顔を向けた。
一瞬目が合い、慌てて私は顔を逸らした。
「本気だよ」
はっきりとした栗原さんの声が、私の耳に届く。
私はその声に、逸らした顔をもう一度向けた。
「ごめんね。弱みに漬け込んでずるいやつだって思われるかもしれないけど、それでも良い。
それでも良いから、華ちゃんを俺が守りたい。
俺が、幸せにしたい。俺で、華ちゃんをいっぱいにしたい」
そんな栗原さんの目は、あの時の目にそっくりだ。
栗原さんからの好意は、大学時代から気がついていた。
でも、私の心がなびくことはなかった。
一度も、想いが傾くことはなかった。
きっと、この先も。
「ごめんなさい、でも「
「分かってる。華ちゃんが俺のことなんとも思ってないのは分かってるし、もう諦めなきゃって思いながらもずっと小川先生のこと考えちゃってるのも分かってる。でも俺、諦めないから。」
栗原さんのその言葉とほぼ同時に私の自宅に到着した。
「ごめんね、こんな時に変なこと。今は辛かったら、忘れてもらって全然良いから。また、声かけるから。」
栗原さんのその笑顔はとても優しくて、でもなんだろう。どこか作り物のようにも見えた。
「すみません、お見苦しい姿を。今日は本当にありがとうございました。」
「じゃあまた、来週ね!」
そう言って手を振って、栗原さんは車を発進させた。
小川先生のことを考えたくはない。
でも、栗原さんのことを考える余裕もない。
結局私は柚木に電話をした。そして小川先生を、諦めることを宣言した。
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