【月が綺麗ですね。】私は先生に、青春全てを捧げて恋をする。

KOHARU

月が綺麗ですね。(4)


私が先生に青春を全て捧げる覚悟を決めてから、1週間後。柚木はLINEをしてた先輩と付き合うことになった。
2人でデートした話とか聞いてると、私まで幸せな気分になれる。
それに何より、恋してる柚木は可愛かった。
そんな柚木を見て、私もいつか先生とそんな時間が過ごせたらな〜なんて、勝手に妄想してみりした。
一方私は、できるだけ用事を作って白石先生のいる国語科室を訪ねる毎日。
だってそこに行けば、小川先生に会えるから。
先生は、何か文字を書いたりパソコンをする時はメガネをかける。
先生は、疲れると関節の音を鳴らしたがる癖がある。そして先生は、やることが無いとずっと何かの小説を読んでる。
白石先生と話しているのに、いつも申し訳ないくらいに私の意識は先生に向いていた。何の本読んでるんだろう。私もその本読んだら、先生少しは近づけるかな。
帰り際に、わざと少し遠回りして先生のデスクに近づいて何の本読んでるかチェックした。 
そして、その題名を暗記して、そのまま帰り道に本屋さんへ直行して先生と同じ本を買った。
その本を読んで、勝手に先生と同じことを喜んでる私、気持ち悪いって自分でも思うけど、それでも良いんだ。
それくらい、先生が好きなの。
そんなまっすぐな私を見て、初めは反対してた柚木も、いつからか応援してくれるようになったし、先生がいたら私に教えてくれるようになった。
1人だけでも、私のこと気持ちを認めてくれる子がいるだけで、すごく励みになったし嬉しかった。
でも、結局特に先生と話す機会も持てないまま、あっという間に1年が経ち、私は2年生になってしまって。

高校2年生の4月。
今日は、新しいクラス発表の日がある。 
私の学校は、2年と3年は進路の関係でクラス替えがない。
つまり、小川先生のクラスになるならば、これがラストチャンスということ。
私の運命は、今日にかかってる。
柚木と一緒に、私はドキドキしながら掲示されてあるクラス表に目を向けた。 
まず、小さく並べられている中から自分の名前を探し出す。
「あった」
見つけた。問題は、担任の先生。
私はゆっくりと、自分の上にある先生の名前を確認した。
“E組_________担任:白石(国語科)”
またダメだった。
『小川先生、どのクラスの担任も持っていないね』
柚木にそう言われて、私もそれに気がつく。
初めから、可能性すらなかったってことだ。
『でもほら、私とは同じクラスだからさ!ちょっとは喜んでよ!笑』
自分の名前の下には、柚木の名前があった。
「ごめん見えてなかった」
『分かってますよ笑 まぁ、全力J Kで楽しんでいくんで〜また2年間よろしく〜』
わざとギャルっぽく喋る柚木に、また励まされる。
本当に、素敵な友達を持って良かった。

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