バッドエンドは全力でぶち壊す!
プロローグ
 神井雄貴は、健全な男子高校生である。
 地元の高校に通う3年生であり、頭の出来は普通。運動神経は平均並みか、それより少し上。不器用で、抜けてる所があり、細かい作業をやらせれば、間違いなく酷い結果を残し、誰もが危ないと思える場所に、壊れやすい物が置いてあれば、自然に落としたりぶつかったりして、壊す事なんて年中である。
「おはよ〜、雄貴〜。」
「おはよう、翔太。今日も眠そうだな。また新作でもやってたのか?」
 眠い目を擦りながら、高校に向かう途中、友人である高田翔太が、同様に目を擦りながら、間延びした声で挨拶をしてくる。
「よく分かったな!まさかお前も、エロゲの新作をチェックしてたのか!?」
「違う違う!お前が眠そうにしてる時は、大抵新作が発売されたか、ルートのエンドを迎えた時だろ?で、昨日お前が言ってたじゃないか。1本終わったって。」
 翔太は重度のエロゲマニアであり、そんな彼に雄貴は度々、オススメをされたり何だりされ、同志にされそうになっていたのだ。
「そういや、言った覚えがあるような無いような?」
「おいおい、大丈夫なのか?今日は体育あったはずだけど、また見学するのか?」
 昨日言った事を、既に忘れてるような奴が、まともに身体を動かせるとは思えない。
「これ以上、体育を休むのは無理だろ!もうレポートは書きたくないでござる!」
 体育を見学する度に、レポート用紙1枚分に、その時の授業中に行わられたスポーツについての、課題提出が課せられる。しかし、1つのスポーツにつき、ただの高校生が何枚もレポートを書くのは、拷問以外の何物でもない。
 既に二学期に入って、何回も見学している翔太には、もうレポートを書くネタが無いのだ。
「ま、比較的体力が必要無い、体育館でのバドミントンだ。試合形式はまだやってないから、最初の準備運動を乗り切れば、後は俺が軽く流してやるよ。」
 任意の相手と、軽く乱打するだけで授業は終了なので、体育館○周という、教師の気分によって増減されるランニングさえ乗り切れば、その後は楽なもんだろう。
「おぉ〜、助かるぜ、親友!」
 人好きのする笑みを浮かべながら、翔太が肩を組んでくる。
「よせ、引っ付くな!この間、一部の女子達に、『翔太×雄貴』とか言われてたんだぞ!!見守るとか言ってたんだぞ!!そっちに偏見は無いが、その辺の誤解はめっちゃ困る!」
「ただでさえ彼女なしの童貞なのに、捨てる相手が寄ってこないんじゃ、どうしようも無いもんなぁ。」
「うっさいわ!」
 事実であるが故に、雄貴の心を深く傷付ける。雄貴は=年齢の、哀れな男子高校生であった。周りにもそういう経験の無い奴は、それなりに居たが、雄貴は彼女すら居た事が無いのだ。今時珍しいと、珍獣レベルの扱いを、周囲から受けていた。
「このイケメン野郎め!」
 雄貴がフツメンであるのに対して、翔太は何とイケメンの部類に入る人間だった。学校では、『ゲーム好きな、たまに危ない人』という認識を受け、そこまで人気がある訳では無いが、ひとたび街に出れば、隣を歩く雄貴をガン無視し、お姉様方が大量に声を掛けてくるのだ。
 しかし、翔太はその声掛けを一切無視して、雄貴と話しているので、大抵は諦めるか、逆ギレして帰って行く。お陰で雄貴は、人の話をガン無視して、別の事に集中するスキルと、怒った女性への対処スキルが、異様に高まってしまっている始末である。
 後者は、宥めないと自分にも危険が迫るので、必要に駆られて、必死に習得した物であるが。
「そういえば、お前の実況プレイを見させてもらったぞ。」
「お、マジか!で、どうだった!?」
「まぁ、普通に面白かったよ。」
 翔太は、動画投稿サイトのチャンネルを持ち、R18のシーンを編集で消し、健全(?)な所だけを切り抜いて、アップしていた。実況がそれなりに面白く、かつストーリーを邪魔しないので、実況者界隈では一定の支持を得ていた。
「普通って…。何を見たんだ?」
「あ〜、えっと、なんつったっけな?え〜っと、そう、超能力者が出てくる奴!題名が思い出せないけど。」
本当に見たのかと、疑いたくなる言葉だったが、雄貴はこの手の物忘れが多く、その事を良く知ってる翔太は、文句を垂れるでもなく、雄貴の言葉から、何を見たのかを特定しようと、頭を悩ませる。
「う〜ん?超能力者っていうと、舞台が現代風のやつか?」
「そうそう。今時珍しく、えげつないバッドエンド付きの。」
 ただの純愛モノや、ハーレムモノでは無く、選択肢1つで、結末が天と地ほどの差がある、恐ろしい代物であった。
「主人公が1回、闇落ちしてヒロインをアレして、殺害してたで。」
「あぁ!あれか!確か題名は『裏切りのデリーター』!略して『ウラデリ』だな!バッドエンドは酷かったが、主人公目線にも関わらず、次々と裏切られる、プレイヤーの予想!あれは傑作だったぜ!」
「翔太と同じタイミングで、『は?マジか?』って言っちまったよ。」
 こうして、エロゲについて大声で話すという、何とも恥ずかしい事をする2人。まぁ、一般人に聞かれても、エロゲの話だとは分からないので、トーンを落とす事無く、仲良く登校するのだった。
 地元の高校に通う3年生であり、頭の出来は普通。運動神経は平均並みか、それより少し上。不器用で、抜けてる所があり、細かい作業をやらせれば、間違いなく酷い結果を残し、誰もが危ないと思える場所に、壊れやすい物が置いてあれば、自然に落としたりぶつかったりして、壊す事なんて年中である。
「おはよ〜、雄貴〜。」
「おはよう、翔太。今日も眠そうだな。また新作でもやってたのか?」
 眠い目を擦りながら、高校に向かう途中、友人である高田翔太が、同様に目を擦りながら、間延びした声で挨拶をしてくる。
「よく分かったな!まさかお前も、エロゲの新作をチェックしてたのか!?」
「違う違う!お前が眠そうにしてる時は、大抵新作が発売されたか、ルートのエンドを迎えた時だろ?で、昨日お前が言ってたじゃないか。1本終わったって。」
 翔太は重度のエロゲマニアであり、そんな彼に雄貴は度々、オススメをされたり何だりされ、同志にされそうになっていたのだ。
「そういや、言った覚えがあるような無いような?」
「おいおい、大丈夫なのか?今日は体育あったはずだけど、また見学するのか?」
 昨日言った事を、既に忘れてるような奴が、まともに身体を動かせるとは思えない。
「これ以上、体育を休むのは無理だろ!もうレポートは書きたくないでござる!」
 体育を見学する度に、レポート用紙1枚分に、その時の授業中に行わられたスポーツについての、課題提出が課せられる。しかし、1つのスポーツにつき、ただの高校生が何枚もレポートを書くのは、拷問以外の何物でもない。
 既に二学期に入って、何回も見学している翔太には、もうレポートを書くネタが無いのだ。
「ま、比較的体力が必要無い、体育館でのバドミントンだ。試合形式はまだやってないから、最初の準備運動を乗り切れば、後は俺が軽く流してやるよ。」
 任意の相手と、軽く乱打するだけで授業は終了なので、体育館○周という、教師の気分によって増減されるランニングさえ乗り切れば、その後は楽なもんだろう。
「おぉ〜、助かるぜ、親友!」
 人好きのする笑みを浮かべながら、翔太が肩を組んでくる。
「よせ、引っ付くな!この間、一部の女子達に、『翔太×雄貴』とか言われてたんだぞ!!見守るとか言ってたんだぞ!!そっちに偏見は無いが、その辺の誤解はめっちゃ困る!」
「ただでさえ彼女なしの童貞なのに、捨てる相手が寄ってこないんじゃ、どうしようも無いもんなぁ。」
「うっさいわ!」
 事実であるが故に、雄貴の心を深く傷付ける。雄貴は=年齢の、哀れな男子高校生であった。周りにもそういう経験の無い奴は、それなりに居たが、雄貴は彼女すら居た事が無いのだ。今時珍しいと、珍獣レベルの扱いを、周囲から受けていた。
「このイケメン野郎め!」
 雄貴がフツメンであるのに対して、翔太は何とイケメンの部類に入る人間だった。学校では、『ゲーム好きな、たまに危ない人』という認識を受け、そこまで人気がある訳では無いが、ひとたび街に出れば、隣を歩く雄貴をガン無視し、お姉様方が大量に声を掛けてくるのだ。
 しかし、翔太はその声掛けを一切無視して、雄貴と話しているので、大抵は諦めるか、逆ギレして帰って行く。お陰で雄貴は、人の話をガン無視して、別の事に集中するスキルと、怒った女性への対処スキルが、異様に高まってしまっている始末である。
 後者は、宥めないと自分にも危険が迫るので、必要に駆られて、必死に習得した物であるが。
「そういえば、お前の実況プレイを見させてもらったぞ。」
「お、マジか!で、どうだった!?」
「まぁ、普通に面白かったよ。」
 翔太は、動画投稿サイトのチャンネルを持ち、R18のシーンを編集で消し、健全(?)な所だけを切り抜いて、アップしていた。実況がそれなりに面白く、かつストーリーを邪魔しないので、実況者界隈では一定の支持を得ていた。
「普通って…。何を見たんだ?」
「あ〜、えっと、なんつったっけな?え〜っと、そう、超能力者が出てくる奴!題名が思い出せないけど。」
本当に見たのかと、疑いたくなる言葉だったが、雄貴はこの手の物忘れが多く、その事を良く知ってる翔太は、文句を垂れるでもなく、雄貴の言葉から、何を見たのかを特定しようと、頭を悩ませる。
「う〜ん?超能力者っていうと、舞台が現代風のやつか?」
「そうそう。今時珍しく、えげつないバッドエンド付きの。」
 ただの純愛モノや、ハーレムモノでは無く、選択肢1つで、結末が天と地ほどの差がある、恐ろしい代物であった。
「主人公が1回、闇落ちしてヒロインをアレして、殺害してたで。」
「あぁ!あれか!確か題名は『裏切りのデリーター』!略して『ウラデリ』だな!バッドエンドは酷かったが、主人公目線にも関わらず、次々と裏切られる、プレイヤーの予想!あれは傑作だったぜ!」
「翔太と同じタイミングで、『は?マジか?』って言っちまったよ。」
 こうして、エロゲについて大声で話すという、何とも恥ずかしい事をする2人。まぁ、一般人に聞かれても、エロゲの話だとは分からないので、トーンを落とす事無く、仲良く登校するのだった。
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