配属先の先輩が超絶美人だけど冷酷すぎて引く

笑顔付き

第16話 作戦名

銀河の治療と検査が終わり、綺羅星きらぼし銀河、花宮愛華、ウェルシェパード、金剛征四郎の四人は『第08魔装救助部隊待機室』に集まっていた。理由はSCが発見された際に迅速に行動できるようにだ。
雑談している最中、花宮愛華は銀河にある事を訊いた。

「そういえば銀河さんはどうしてユーフェミアに拘るのでしょう? ロリコンなんですか?」
「違います。彼女が虐待されている子供だったからです」
「……」
「……」
「え、それだけですか?」
「虐待されている。更に戦わされている可哀想な子供です。だから助けたいんです。ユーフェミアだから、ではありません。同じ境遇の子供がいたら同じように動いたでしょう」
「それが、敵であっても?」
「私は助けられる人がいるなら敵であっても助けたいと思います」

それを聞いた金剛征四郎が言う。

「早死にするタイプだ」
「何故ですか?」
「そうやって自分の身を犠牲にしても人を助けるような奴は早死にする。経験則だけどな。そういうやつらを何人も見てきた。志は立派でも実力が伴っていないんだ。だから助けられずに死んでしまうか、助けたやつに背中を刺されて死ぬ。敵を助けるのは容易な事じゃない」
「理解しているつもりです。何も全ての人間を助けようというわけじゃない。助けられそうな人間なら、助けたい。私の志はその程度です」

金剛征四郎が見てきたような人達と自分は違うと下卑するが、花宮愛華には一緒に思えた。何故なら敵であるユーフェミアの救助に固執しているからだ。

「死なないでくださいね」
「死にません。そんなに死にそう見えますか?」
「見えます。私の事を背中刺されながら助けてくれたじゃないですか。それを敵にやりそうに見えます」
「花宮さんを助けたのは味方だからです。敵ならばそこまでしません」
「本当ですかね……怪しいです」

その言葉にウェルシェパードも同意した。

「怪しいねえ。エネミー1の時も魔力ブレードの出力制限解除許可出てたのに、それに反発して捕縛しようとしてたし、説得力無いよ」
「私の評価散々ですね。そこまでひどい事やったかな」
「やってます」
「やってるね」
「やってるだろう」
「満場一致ですか。流石に改めなければいけませんね」

と、その時だった。アラートが鳴り響き、SCの反応が発見される。空中に画面が立ち上がり、SCの位置を写す。場所は海の上だった。複数のSCが同時に起動している。巨大な魔力反応はお互いにぶつかりあって巨大なドラゴンの姿となる。

「なんですか、あれ」
「ドラゴンに酷似してますね。4本足に二つの翼、鋭い牙。ドラゴンドラゴンしています」
「既に交戦状態に入ってるようです。ユーフェミアが戦っています」

画面上ではドラゴンとユーフェミアが戦いを繰り広げていた。ユーフェミアの斬撃がドラゴンに当たるが、硬い甲殻に阻まれ弾かれる。次は柔らかそうな翼を狙うが、大きく羽ばたく事による風圧で近づけない。
口から放たれるビームは強烈で海に大穴を開けた。掠っただけでも瀕死に追いやられそうな威力だ。

「流石にSCが何個も連結してるだけあって強そうですね。作戦はどうしますか?」
「待機だ」

その言葉に銀河は反発する。

「待機? 何故ですか? 今まさに助けを必要としている人間がいるじゃないですか。彼女を救助しなくては」
「確かにそうなんだが、よく考えてみてほしい。ユーフェミアは敵で、SCのドラゴンも敵だ。敵と敵が潰しあってくれている現状、介入する必要はないんだよ。ここは素直にどちらがが倒れるまで待って漁夫の利を得るのが得策だと思うんだけど、どう?」
「賛成」
「同じく賛成」
「というわけだ。だからここはグッと堪えて、その後で救助しに行こう。それだったら救助部隊の面目も立つし、ユーフェミアを保護できる」

正論だった。当たり前の正論。銀河に配慮して、ユーフェミアの保護まで付け加えてくれた。良い上司だ、と銀河は思う。自分勝手に動く自分とは違って、周り事を考えて動く冷静さがあり、配慮する度量がある。
自分には勿体ないくらいの良い人だと思った。
だが、しかし。
『ユーフェミアかドラゴンが撃墜された後で登場して美味しいところを攫っていく』のは認められなかった。現状、ユーフェミアが負ける可能性が大きい。だから本当にユーフェミアの保護を考えるなら撃墜された後で回収するのが効率良いんだろう。
そんな事は百も承知。だけど。それでも。彼女に傷ついて欲しくない。
そう思って、銀河は言う。

「お断りします。僕は今から彼女を助けに行きます」
「それは好ましくない手だ。指揮官として認めるわけにはいかない」
「では命令無視します。ユーフェミアと協力してSCドラゴンを倒し、その後はユーフェミアと交渉してSCを回収する。それが僕の意思です」
「銀河さんが行くなら私も行きます」

そう言ったのは花宮愛華だった。銀河は驚いて彼女に言う。

「花宮さん、無理に付き合う必要はないんです。スコアが欲しいなら被害者が出た後の方が稼げる。そうでしょう?」
「確かにそれはそうですが、その救助する対象が銀河さんなんてごめんです。命を助けて貰ってますし、これくらいの我儘にはお付き合いしましょう」
「ありがとう、ございます!」

金剛征四郎は頭をかきながら、ウェルシェパードの方を向いた。彼はどちらにつくか明言してないから言うように視線を向けたのだろう。
ウェルシェパードも銀河の方についた。

「いや、なんかごめんね? こうやって戦力が二分してしまった時点で、僕は戦力が多くなる方につくつもりだったからさ。二人がすぐに助ける選択を取るなら、僕が加わった方が成功率は高まるし……というか封印弾の運用は僕しかできないから僕から口説くべきなんだよね。まぁいいや、仲間の二人がやりたいって言ってるなら不合理でもやるのが、この第08魔装救助部隊の絆だと思うわけですよ」

不合理だと理解しても選択する。それが全く理解できなかった。子供のようなわがままのように感じた。しかしそれが正論を、合理性を上回る事があるのだと理解して金剛征四郎は笑った。

「オーケー、オーケー。理解した。みんなの意思は理解した。じゃあ『今すぐ助けにいく』で反対は無いな? 俺は少し困惑したが、そんなにやりたいならやらせてやる。作戦会議だ」

画面上に四つの駒が配置される。銀河、花宮愛華、ウェルシェパード、金剛征四郎の四つだ。

「まず銀河と花宮愛華がユーフェミアを説得し仲間にする。そして俺とウェルシェパードは狙撃砲台で待機する。その後、三人の同時攻撃でSCドラゴンを怯ませた瞬間にSC封印弾を打ち込む。そういう流れだ。理解できないものは?」

誰も手をあげない。全員理解したのだ。

「よし! 以上だ! 作戦名ドラゴン・ダウン、開始!」
「え、作戦名決めるなら私も参加したかったです!」
「僕も ドラゴン・ダウンよりドラゴン・ブレイクの方が良い!」
「何でもいいから早くいきましょう! ユーフェミアが撃墜されてしまう!」
「ロリコンは黙っていてください! 作戦名は重要なんですから」
「そうだそうだ! 誰も彼もがロリコンだと思うなよ」
「僕はロリコンじゃ無い」

唐突なロリコン認定に否定の声を上げるが、それよりも作戦名についての会話が盛り上がっていく。

「キチッとハマる作戦名じゃ無いと作戦行動に対するモチベーションがかなり違うからね。やっぱり格好良いのが良いよね」
「俺はドラゴン・ダウン良いと思うんだけどなぁ」

自分の名付けた作戦名を気に入ってる様子の金剛征四郎。しかしそれに花宮愛華とウェルシェパードは反発する。ガヤガヤと騒がしくなってきた三人から距離を置いて、銀河は一人転移する。

「先行きますよ」

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