配属先の先輩が超絶美人だけど冷酷すぎて引く

笑顔付き

第13話 思想

戦いが終わった二人は報告する為に『第08魔装救助部隊待機室』へ向かっていた。といっても報告する事はもう魔法通信で済ませてあるので、休日返上になった残りの時間を『第08魔装救助部隊待機室』で過ごして、お金を得ようという判断だった。

二人は『第08魔装救助部隊待機室』に向かうその道中、複数の人に囲まれた。
彼らは顔を隠すマスクをして、武装している。穏やかな雰囲気では無い。むしろ刺すような殺気を放ちながら銀河達を取り囲んでいる。

「誰ですか?」

端的に花宮愛華が訊いた。

「我らはパイオニア。管理者による圧政を破る者なり」

またテロリストか。次から次へ現れるパイオニアに銀河はゲンナリした。

「管理者の圧政? 具体的にはなんでしょう?」
「管理者の犬には分かるまい! 管理者の命令で動き、管理者の裁量で人を裁き、管理者の指示で人を殺し、助ける。管理者、管理者、管理者、管理者! 全て管理者頼りだ!」
「それで良いじゃないですか。管理者は絶対といっても多少の融通は利かせてくれますし、判断も迅速で的確。人の手が入らなくても世界は回ります」
「やはり問答するだけ無駄なようだな、管理者の盲信者め」

その言葉に銀河は反論する。

「管理者を盲信するわけじゃないですが、むしろ条件付きで反対派の意見ですが、管理者は花宮さんが言った通りそこまで忌避する存在ではないと思います。何故なら私のように、命令違反した存在であっても生かされているからです。圧政というなら、自分の意見に反する存在は消すでしょう」
「だが現に我らは消されようとしている。魔装治安維持部隊によってな。仲間が幾人もやられた。それについてはどう考える?」
「貴方方がテロで大勢の無辜の市民を殺すからでしょう。ただ反対派であることを掲げるだけなら許されていたと思います」
「だが行動せねば変わらない。管理者による支配は終わらない」
「管理者による支配は悪いものですか?」
「支配は全て悪だ! 人間による人間の統治! それこそが善であり、絶対だ! 管理者という姿を見せない架空の存在に自分の命を握られている恐怖を感じろ!」

そう力強く叫ぶテロリストだが、銀河はあまり納得できなかった。

「確かに多少怖いものはありますが、それで世界が回るなら許容すべきリスクじゃないですか? 嫌なものなら拒否するだけなら許されますし」

銀河は自分の過去を振り返る。
周囲の静止を振り切って突撃した最初の事件。そして殺害を推奨されていたにも関わらず、管理者を無視して捕獲しようとしたエネミー1との戦い。結果こそ良いものの管理者や上司の命令に背いている。

もし管理者が血も涙もない存在だったのなら、厳しい処罰を受けている筈なのだ。だがそれはない。許されている。第01救助部隊から第08救助部隊に降格というお咎めはあったがそれは正当なものだ。理不尽なものはない。だから管理者が悪いものだとは思えなかった。
花宮愛華は言う。

「貴方達は管理者の手によって不遇の扱いを受けた。だからそれに反発して反管理者を掲げているわけではないんですか?」
「そうだ。管理者による支配は安定している。だが人の手が入っていない。そこに恐怖を覚えた者達が集ったのが我らパイオニアだ。管理者に頼らない人による統治の方が良い。我らの理念はそれだけだ」

銀河は頭が痛くなってきた。まるで子供のわがままを聞いているようだったからだ。確かに人の手が入らない統治は怖いかもしれない。だからといって沢山の人を殺しながら安定した平和を壊して勝ち取った人類による人類の支配に何の意味があると言うのか。むしろ人類の歴史を振り返って酷い結末にしかならないのが分からないのだろうか? 血で血を洗う人類の歴史をパイオニアは全く理解していないような気がした。

「確かに話すだけ無駄ですね。ちょうど良いタイミングです。口で駄目なら拳で語りましょう」
「ふん、やはり時間の無駄だったな。少しでも対話で済めば良いと思った我らの甘さが原因か。総員! 攻撃準備!」
「魔法の出力制限解除、リーサルモードへ移行。対象を殲滅します」

それは一瞬だった。
出力制限が解除された花宮愛華は飛行魔法で推進力を得て、パイオニアの構成メンバーを斬殺した。リーサルモードになった魔力ブレードは人間の肉を簡単に切り裂き、ガードジャケットは心が折れない限りダメージを全て遮断する無敵の鎧となった。
飛行魔法は全ての性能が上昇し、地表を滑るように移動する。その速度も尋常ではない。辺りを囲んでいたパイオニアの構成メンバー達は花宮愛華によって壊滅させられた。
これが、銀河が拒否した力だ。他を圧倒する強大な力。

「敵の排除を確認。魔力制限。ノンリーサルモード。綺麗に片付きましたね。さて『第08魔装救助部隊待機室』に戻りましょうか」
「サラッとしてますね。人を殺しておいてそれは無いんじゃないですか?」
「死んで良い人達だったでしょう。管理者に問い合わせたところ殺して良いよって返答と一緒に出力制限が解除されましたし」
「死んでも良い人間なのは認めますが、実際に殺すのには納得が」
「貴方が殺さないように、私は殺してスコアを稼ぐのも良しとしてるだけです。そこに優劣はなく、ただの価値観の違いがあるだけです。思い悩むと辛いですよ、自分は自分、他人は他人と割り切りましょう」
「わ、わかりました。……ッ、肉片が靴についた不潔だ」
「貴方のその言葉もどうかと思いますけどね」

「配属先の先輩が超絶美人だけど冷酷すぎて引く」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「現代アクション」の人気作品

コメント

コメントを書く