異世界ハーレム☆美少女これくしょん

笑顔付き

五話

 転送されるとそこは先ほどまでいた森林地帯だった。
 周囲を見渡すとリーアとサリアがいる。彼女達も転送されたばっかりなようだ。
 ミストはロングソードを構え、歩き出した。そして森林地帯を抜けて、往来の多い場所で立ち止まる。そして近くにいたドワーフに向かって刃を振り下ろした。

「ぎゅぴっ」

 そういって絶命したドワーフから剣を引き抜く。そして今起きた惨状を理解していない人狼首を掴んで喉元を掻っ切る。血が吹き出して周囲を真っ赤に染める。
 サリアも魔法武装で攻撃を始めて殺害対象を殺し始めた。
 ミストは雷の杖を振り上げてトリガーを引くと雷が落ちてきて周囲の殺害対象を一瞬で消し炭にした。その威力にミストは驚く。
 こんな威力あったっけ、と。

 虐殺が行われていることに気付いた者達は我先にと逃げようとする。だがその逃げる先でも大爆発が起こって殺害対象がが死んでいた。それを引き起こした者達が使うのは、『コ』の字型の両先端に雷宝玉が嵌められた武器だった。

「100点特典のパワーアタッチメントか」

 雷の宝玉の力を増幅して撃ち出す100点魔法武装だ。その特徴は速度に優れ、トリガー引いた瞬間に雷撃が相手を襲う。更に範囲も広い。半径10メートル程だ。
 ランダムな100点魔法武装の方では当たりの部類である。

「ん、なんやこいつら。同じ魔法武装持っとるやんけ。もしかして別の異空間の戦士か?」

 大阪弁の戦士がこちらを見下ろしながら言った。

「そうです。排除対象はここらへんにいる人外全てです」
「それも俺達と同じか。お前らは見とるだけで良い。あとは全部俺らがやるわ」
「いえ、そんなわけにいきませんよ。俺達も手伝います」
「なんやポイントが欲しいんか? まぁええやろ。すきにやりーや。その代わり死にそうになっても助けへんからな」

 ドン! ドン! ドン! と、あっと言う間に制圧していく他の異空間チームの大阪人。ミスト達もポイント目当てに急いで、周辺の雑魚狩りを開始するのだった。

 時間が経過した。
 別の異空間チームの取りこぼしを刈っていると、段々と朝日が見えてきた。かなりの数を殺したが、それでもまだ終わらない。時間も経つと殺されているのが人外だけという情報が出回ってきたのか、武装をした部隊が登場し始めた。

 国際連合多国籍部隊だ。
 国際連合多国籍部隊とは、エルフを除いたありとあらゆる生物が同盟を結び、一つの部隊となってテロリストと戦う集団だ。それらは戦闘のエキスパートでチームの練度も高い。だがそれでもパワーアタッチメントの威力は凄まじく国際連合多国籍部隊に大きな風穴を開けていた。

「ははっ、なんや、余裕やんけ」

 その時だった。巨大な巨人が現れ地面を薙ぎ払った。凄まじい風圧にミスト達は捕まることだけで精一杯だった。大阪人は笑いながら巨人にパワーアタッチメントを向ける。

「おら、死ねや」

 雷が降ってくる。だからそれを最小の動きで避けきり、今度は拳を大阪人に叩きつける。それを大阪人は華麗にかわしてパワーアタッチメントを連射する。ドドドド!! と雷が落ちて巨人の腕が吹き飛ばされる。

 巨人と人間の攻防が続いる中、国際連合多国籍部隊の者達が弓矢を放つ。大阪人は地面に伏せることで避けるが、それが致命的な隙になってしまった
 巨人は残りの腕でパワーアタッチメントを持った大阪人を捕まえる。

「このっ!」
「お、危なそうやんけ! たちゅけてあげましょーかー!」
「ガハハハ、頑張れ頑張れ」

 大阪人と同じ異空間チームと思われる仲間が煽る。

「ぐぐぐ、ウラァ!!」

 腕を巨人の手に突き刺し、解かれると思った瞬間。
 ぐしゃりと握り潰された。
 パワーアタッチメントが地面に落下する。

「マジかい」
「ほんまに死ぬとはしょーもな」
「てか、やばくないか。100点取ってるのあいつだけやん」

 握り潰されたのが彼らのリーダーだったのだろう。他の見知らぬ戦士達も魔法武装で応戦するが火力が足らず国際連合多国籍部隊の進軍速度に追いついていない。

 ミストは走った。他の異空間チームを生贄に地面に落ちたパワーアタッチメントを確保する。そして巨人の後頭部に狙いを定めてトリガーを引いた。雷が落ちた。比喩ではなく本当に雷が落ちたのだ。大阪弁の戦士を殺した巨人の頭がゴッソリとなくなって地面に倒れる。

「うおおおおおおおおお!!」

 ドン! ドン! ドン! 雷が落ちるたびに国際連合多国籍部隊が吹き飛び、死んでいく。返り血が津波のように飛び散り、全身が真っ赤に染まる。
 国際連合多国籍部隊は壊滅。辺りには焼け焦げた死体だらけ。ザクザクと音を立てながら処刑台の方へ進んでいく。残っているのは例の二人だけだからだ。

 案の定、処刑台には四人の存在がいた。
 エルフの王。
 エルフの王妃。
 エルフの姫。
 ゲラルド。
 そしてミスト達三人。

「お主らはアイリスがあっておったミストとやらか?」
「はい、エルフ王」
「おお、我らを助けにきてくれるとは、有難い」
「ありがとうございます。ミスト様。アイリスを導いてくれて」
「ちょっとママ! 別にこんな奴がいなくなってママ達を助ける事はできたわよ!」

 完全に安心してる様子の三人。それもそうだろう。全ての敵は取り除かれ、家族が合流し、その仲間もきた。敵となる人間は戦いの余波に巻き込まれたか、逃走するかでいない。
 三人揃って安心できる場だ。
 だから。
 だからこそ、この先の展開を知っているミストは目を瞑る。

「取り敢えずみなさんの傷や汚れを落としますね」

 リーアが言う。

「あ、ありがとう!」
「回復魔法、発動。そして、浄化魔法発動」

 瞬間だった。
 エルフ王とその王妃が咳き込み始め水を吐き出す。そして痙攣しながら倒れた。
 浄化魔法。液体を水に変える魔法だ。それを生物に向けて発動した場合、体液全てが水となり生命活動が停止する。リーアはそれを行ったのだ。
 アイリスとゲラルドの仲間が揃い、敵がいなくなった、と油断した状態で発動すれば彼らに邪魔されず確実に殺せるからだ。殺してしまえばミッション完了。死んだものを守る事はできないなので、戦う選択肢はなくなる。それ以前にアイリスとゲラルドは何が起こったのか理解すらできずにいた。

「え? え? え?」
「どうなっている!?」
「パパ、ママ?」

 騒然となる場でリーアは目を伏せて震えていた。その肩をミストは抱きしめる。仲間の両親を殺した事に罪悪感を覚えているだろうと感じたからだ。実際その通りで、リーアはミストに縋り付く。

「ミスト様」
「正しいことをやった。これ以外の選択肢はあり得なかった」
「はい」

 ジリリリリリン。
 転送の音が鳴り始め、魔法陣が展開される。そして異空間に転送される。アイリスは最後の最後までエルフ王と王妃の亡骸に縋り付いていた。

 転送が終わり、視界が明瞭になる。
 アイリスは泣き崩れていた。
 鬼のような形相をしたゲラルドが叫んだ。

「ミスト! 何故殺した!? あの場での勝利条件は満たしていただろう!? 何故だ!?」
「勝利条件は人外の殲滅。つまりあのエルフ王と王妃も殺害対象だったんだ」
「だがっ」
「もしミッションに失敗すればあるのは死のみだ。言った筈だ。俺はアイリスとゲラルド。二人の生存を優先すると。敗色濃厚になれば撤退すると言った筈だ」

 その言葉に泣き崩れていたアイリスが噛みついた。

「でも! 貴方は何でも知っているんでしょう!? だったらパパやママが死なない方法があったんじゃないの!?」
「無論あった。エルフ王とエルフの王妃が捕まり処刑されると知らされた時、俺達と一緒にいたなら助け出すルートもあった。だがそうしなかった。二人で助けに行った。それが敗因だ。全て俺を頼れ。なんとかしてやる。これ懲りたら二度と勝手な真似はするな。報告しろ、相談しろ、連絡しろ。そうすれば俺がなんとかしてやる」
「そんな……そんな事って」
「勿論、アイリスが俺達の事を思って何も告げずに消えたのは理解している。そこは素直に感謝する。だが両親を助けるにあたっては最悪だった。目的があるなら使えるものをなんでも使え。仲間なんだから迷惑をかけてもよかったんだ」

 ミストは冷静に今回のミスを反省していた。
 今回両親死亡ルートになったのは、好感度不足だったからだ。アイリスをもっと積極的に口説いていれば、好感度によるルート変更によって二人で宿を出る事なくみんなで、アイリスの両親を救出するというルートにいけたのだ。だからこれはミストのミスでもあった。

 これからはもっとみんなとコミュニケーション取るのが大切だと学んだ。従って目下の課題は傷心のアイリスをどうやって癒し、アイリスの両親を殺したリーアをどう慰め、そしてゲラルドからの怒りを収めるかについて考えなければならなかった。

 今は全員のメンタルが傷ついている状態だ。これではダンジョン探索なんて言っている場合ではない。それどころか『人類戦線第一支部サンドゥルク』にいる全ての人外を撃滅した。それはつまり人外全てに喧嘩を売った事を意味する。このままでは人類VS人外の大戦争が起こってもおかしくなかった。

 これから起きる未来は大きく分けて二つだ。

 人類VS人外の大戦争パターン。このパターンの場合は異空間のミッションも人類寄りになり、全種族を撃破して覇権国家にならなければダンジョン攻略はできなくなる。勝利した場合は様々な技術の向上により強いアイテムが手に入る。敗北した場合は人類の領土が大幅に縮小され、各種族から舐められるという状態になる。勝ったら美味しいが、負けてもNPCの反応が腹立つだけで実害はない。

 第二のパターンは人類を含めた多国籍軍が結成され、異空間の住民が国際テロリスト認定され、狙われるパターンだ。ミッションは過激さを増し、死者と増員がすごい勢いで入れ替わる血濡れの道となる。どうあがいても勝てず、最後は異空間の場所が特定され、自分以外の味方が全滅する、というエンディングが待っている。

「やる事は多いな」

 第一にメンタルの回復。
 第二にルートの見極め。
 そして第三に戦力増強。
 戦いの時に持っていたパワーアタッチメントは、そのまま持っている人が所有者になるらしく手に入れられた。大阪人が持ってた雷のパワーアタッチメントだ。


『雷のパワーアタッチメント』
・雷の宝玉が装着された古代文明の超兵器。その威力は神の雷を思い出させる。
・速度と範囲に優れる反面、火力に乏しい。
・重量は極めて軽く、扱いやすい。


 ジリリリリリンという音が、全員の思考を断ち切った。
 空中に文字が書かれていた。

【採点の時間である】
【ミスト:total207点。奮闘したな】
【リーア:total98点。こんなもんでしょ】
【アイリス:total74点。両親助けた過ぎ(笑)】
【ゲラルド:total47点。ガードマン】
【サリア:total89点。お疲れ様】

「200点! そんなに敵を倒していたのか」
「点数なんかどうでも良いわ……」
「ああ、早く宿に戻りたいな」
「そうですね」

 ミストは空気を読んで、サクサクと進める事にした。

「100点特典は両方とも強力な武器だ!」

 ランダムで渡される100点魔法武装。これには当たり外れがあり、当たりの条件は五つある。
 ①遠距離武器である事
 ②範囲が広い事
 ③発動が早い事。
 ④火力が高いもの。
 ⑤取り回しが良いもの。
 『戦う上でいかに一方的に蹂躙できるか』に焦点が当てられている。これが当時の「100点魔法武装ガチャ」で重要視されていたものなのだ。

 魔法陣が展開し、ぼとり、と装備が落ちてくる。
 手袋だった。白い手袋だ。

「あ、あぁ、武装透明化手袋ね。これは外れだが、今は当たりだな」


『武装透明化手袋』
・持った武器を透明にする


 単純明快だが、ゲームが現実のものとなった現状では有難いものだとミストは思った。慎重に扱わないといけない武器を堂々と外で使えるようになるのだ。それだけで恩恵がある。早速嵌めて、雷のパワーアタッチメントを持つ。するとスゥーと消えていった。

 続いてもう一つの武装が落ちてくる。
 刀だった。サムライブレードである。ミストはそれを手に取る。


『サムライブレード型溶断ブレード』
・高出力の魔力エネルギー刃を形成する。
・高火力。小さい範囲。


 なんとただのサムライブレードではなく溶断ブレードだったのだ。これも外れだが当たりだ。雷のパワーアタッチメントがある限り遠距離戦では有利に立てる。あとは近接戦闘だけが心残りだったが、このサムライブレード型溶断ブレードのお陰でなんとかなる。
 ロングソードを外してこのサムライブレード型溶断ブレードを装着する。
 戦力増強はできた。あとはパーティメンバーのメンタルと戦争の行方だけだ。
 ジリリリリリン。
 転移魔法がそれぞれの足もとに展開され、各地に転送されていった。

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