雲の静けさを照らすように

上原家

ep10 : 同じ趣味

晴美「何かお探しですか?」
八雲「え?」

突然声をかけてきた人は、以前シンと夏休みの宿題の途中で本を探しに行ったときにあった女の子だった。札を見ると「片桐晴美」と書いてあった。

晴美「また来てくださったんですね。ありがとうございます。」
八雲「ああ、どうも。」

うまく話せずあたふたする俺。そんな俺に願ってもない話題をくれた。

晴美「あの...もしかして星が好きなんですか?」
八雲「あ.....はい。」
晴美「実は私も星を見るの好きなんです。」
八雲「え!?」
晴美「なんで...もしよかったら、また図書館に本借りに来てくださいね。」
八雲「あ...はい。」
晴美「それでは、失礼します。借りるときはまた受付までお願いします。」

女の子はそのまま走り去ってしまった。

八雲「知らない人と話すのは、なんでこうも緊張するのか。はぁ疲れたー。戻るか。」

とりあえず借りたい本を手にして、俺はシンのところに戻ることにした。







シンのところへ戻った俺は、いきなり問いつめられた。

新「んで、どこに行ってた?。」
八雲「どこって星の本を探しにーー」
新「じゃあ質問を変える。誰かと会ってたろ。」
八雲「.....。」
新「図星だな。」
八雲「だからなんでわかる。」
新「八雲は分かりやすいんだよ。星のようにキラキラしてたり、頭が真っ白なオーラ放ってたり、おまけに今回は本が手元にないわりには時間がかかりすぎだ。」
八雲「いや、探偵かおのれは。」
新「星は観察できても、人間の観察はまだまだだな。」
八雲「人間なんか観察したくもない。」

たいしたことでもないし、もともと隠すつもりもなかったが、とりあえずシンにはさっきあったことを話した。

新「なるほどね〜、片桐晴美ね。」
八雲「知ってるのか?。」
新「聞いたことはある苗字だけど、それ以上にその子がうちの学校にいるかもしれないってのはわかる。」
八雲「なんで名前だけで分かるんだよ。」
新「図書館で手伝いしてる中学生がいるって情報だけで充分だろ。第一同い年に見えたってくらいの少女がこの図書館に何人もいると思うか?。」
八雲「まぁ確かに。」

シンの察しの良さにはたまに怖くなるくらいだ。とりあえず一旦外に出た俺たちは片桐晴美さんについてまとめた。そのあとはやはり俺の嫌な予感が的中したのだ。

新「そうと決まれば、やっぱり行くしかねえな!!。」
八雲「また何か余計なこと考えてるだろ。」
新「余計なことなわけないだろ。」
八雲「じゃあどんなこと?。」
新「旅行にその子を誘おう!!!。」
八雲「やっぱりな!!!」

ついつい外だからといって大きな声を張り上げてしまった。

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