雲の静けさを照らすように

上原家

ep4 : 夜の観察に

八雲「あーあ。ズボンと靴かなり濡れてるし。」

風はあまりないものの大雨により、ズボンの裾はかなり濡れていた。店のレジを並んでいると、そこには見知った人がいた。同じクラスメイトの原宮星空(はらみや せいら)さんだ。星空って書いて『ほしぞら』と読まないことが違和感で仕方なかったっていうのと、周りの男子が可愛いと噂しまくってたからよく知ってる。確かに可愛いとは思うけど、それより名前が気になったことによる第一印象の方が大きい。

八雲「原宮さんてこの辺に住んでるのかな。」

俺はそんなことを言いながら店を出て帰り道を進む。別に話す必要もないし、あんな子と付き合えるわけでもない。過度な接触は余計印象を悪くするだろうし、このままで充分だ。帰り道はぐちゃぐちゃな道になっていたが、少しだけ小雨になっていた気がした。

八雲「晴れたには晴れたな」

雨が止んでから30分ほどたった8時頃、雲が多い空ではあったが、空自体は「晴れ」となった。空の状態知識だが、雲が全く見当たらない〜雲が1割以下である状態を「快晴」、雲が2〜8割をしめる状態を「晴れ」、雲が9割以上をしめる状態を「曇り」という。

八雲「それにしても雲が多いな〜。」

雨が止んですぐということもあり、空の6〜7割は雲がしめていた。

八雲「これじゃあ常に観察は無理か。うまく見えるといいんだけどな。」

8時の観察を終え、一旦肉眼で見るために俺は例の『スポット』に行った。当然誰もいないけど、雨が降った後ここに来るのは久しぶりで新鮮な感じがした。

八雲「ちょうど見えるといいんだけどな〜。どうだろうな。」

高級マンションの横に雲がないところがある。

八雲(頼む!もうちょい雲が横にそれれば!というかあと15分ほどで戻らないといけないし。早く来てくれーー!)

俺は祈るばかりである。そのとき誰かが『ここ』にきた。

星空「……もしかして………上原君?」
八雲「え?」

そこには今日買い物で見つけた原宮さんが立っていた。

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