能力値リセット 〜ステータスALL1の無能から徐々に成り上がるつもりが、1ヶ月で俺TUEEに変貌しちゃいました!〜
昔話
「あっ、私、分かっちゃいました!」
フェアリーとイチャついていたリリィが、唐突に、そんな事を言い出した。
「分かったって、何が?」
「フェアリーさん達が昔よりも見つかりにくくなった訳。そして、フェアリーさんがハヤト様の前に現れた理由です!」
「ほう? それは、ぜひ聞きたいな」
その点に関しては俺も、ずっと気になってたんだ。
本当は、フェアリー本人に話が聞けたら手っ取り早いんだけど、アイツは人間の言葉を話せないからな。
かと言って、こっちから質問して首を振って答えて貰うってのも手間が掛かり過ぎるし、半ば諦めてたわ。
「はいっ。それでは……こほん。むか〜し、むかし――」
「いや、なんで語り口が昔話風なんだよっ。普通で良くないか?」
そういう、ノリノリな所は、リリィらしいっちゃらしいけどさ。
「もう、ハヤト様! せっかく人が気分よく話そうとしてるのに! それに、こっちの方が楽しいじゃないですかっ」
「あ、あぁ。悪い。まぁ、話すのはリリィだもんな。好きなように語ってくれ」
「それでは、気を取り直して――」
そうして、リリィは、やたらと雰囲気を出しつつ、しっとりと語り始めた。
――むか〜し、むかし、至るところに、フェアリーの住処がありました。
――その時代の人間は、フェアリーと共に生き、時に遊び、時に喧嘩し、時に助け合いながら、お互いを尊重して日々を過ごしていました。
――そして、不思議なことに、フェアリーを大切にすればする程、その地域は大きく繁栄していったのでした。
――しかし、ある日、不幸な事件が起きてしまいます。
――とある少年が、誤ってフェアリーを死なせてしまったのです。
――それからというもの、たった一つの事故が切っ掛けで、人間とフェアリーの仲は日に日に険悪になっていきます。
――固い友情で結ばれていた筈の人間とフェアリーは、いつしか、憎み合い、争い合うようになりました。
――また、フェアリーの魂を奪った人間は、強大な力を得るようになり、その事が争いに拍車をかけているのです。
――やがて、人間を恐れるようになったフェアリーは、森の奥に身を潜め、静かに暮らすようになります。
――一方、フェアリー達を狩ることで、今までにない繁栄を手にした人間達は……何故か急激に衰退していきました。
――残ったのは、フェアリーを虐げることの無かった小さな集落だけ。
――とはいえ、その小さな集落にすら、フェアリーは姿を見せません。
――それから長い時が流れた今も、人間とフェアリーの確執は続いています。
――いつか、また、両者が手を取り合える日は訪れるのでしょうか?
――もしも、そうだとしたら、その鍵を握るのは……
「――それは、貴方かもしれません。……なーんちゃってっ♪ どうでしたか? 即興の割には上手く出来たと思うんですけど」
「うーん、物語の批評なんてした事ないから詳しい事は言えないけど、良かったんじゃないか? 色々とツッコミ所はあるし、子供に聞かせるには難しい言い回しもあったけど、言いたい事は何となく分かったし。要するに、昔の人はフェアリーを倒せば大量の経験値が貰えるって事しか知らなくて、一緒に居ると獲得経験値が増える事には気付かなかったって事だろ? それで、フェアリーの乱獲が始まって数が減り、数少ない生き残りも森に隠れるようになって、結果的に人間達は衰退したと。そんでもって、現代では幻のモンスターになりましたとさって感じか」
「はい、これは、あくまで私の予想ですけど、大きく外れてはいない気がします。事実、フェアリーについて書かれた本では高速レベルアップの手段として討伐が推奨されてましたし、他の特性については言及されてませんでした。恐らくは、その著者さんも知らなかったんでしょうね」
「なるほどな〜。ところで、フェアリーが俺の前に現れた訳ってのは? 最後に鍵がどうとか言ってたけど、何か関係があるのか?」
「もうっ、肝心な所は鈍いんですから。つまり、フェアリーさんは、ハヤト様の優しさを見抜いて近寄って来たんだと思います。実際、ハヤト様はフェアリーさんと出会っても襲ったりしませんでしたよね?」
「そりゃあ、まぁな。見た目からして人間の女の子と殆ど変わらないし、敵意も感じなかったから。そんな相手を他のモンスターと同じように討伐するってのは抵抗があるよ」
「そんな心の内を見抜いたからこそ、フェアリーさんは、ハヤト様の傍で添い寝してたんでしょうね。きっと人肌が恋しかったんじゃないでしょうか? とはいえ、寝起きで目があった時は、流石にビックリしたみたいですけど」
「そういや、フェアリーと初めて会った時って、そんな感じだったなぁ。目が覚めたら見知らぬ女の子が腹に乗ってんだもん。俺の方こそ驚いたよ」
そう言って、リリィの手に抱かれるフェアリーを見つめると、何やら赤くなった顔を必死に隠して、イヤイヤと首を振っていた。
コイツって、スキンシップ大好きなくせに、妙な所で恥ずかしがり屋になるよな。
まぁ、そんな所も可愛いんだけどさ。
そんな親バカな感想を抱いていた俺は、ふと、ある事を思い出した。
フェアリーとイチャついていたリリィが、唐突に、そんな事を言い出した。
「分かったって、何が?」
「フェアリーさん達が昔よりも見つかりにくくなった訳。そして、フェアリーさんがハヤト様の前に現れた理由です!」
「ほう? それは、ぜひ聞きたいな」
その点に関しては俺も、ずっと気になってたんだ。
本当は、フェアリー本人に話が聞けたら手っ取り早いんだけど、アイツは人間の言葉を話せないからな。
かと言って、こっちから質問して首を振って答えて貰うってのも手間が掛かり過ぎるし、半ば諦めてたわ。
「はいっ。それでは……こほん。むか〜し、むかし――」
「いや、なんで語り口が昔話風なんだよっ。普通で良くないか?」
そういう、ノリノリな所は、リリィらしいっちゃらしいけどさ。
「もう、ハヤト様! せっかく人が気分よく話そうとしてるのに! それに、こっちの方が楽しいじゃないですかっ」
「あ、あぁ。悪い。まぁ、話すのはリリィだもんな。好きなように語ってくれ」
「それでは、気を取り直して――」
そうして、リリィは、やたらと雰囲気を出しつつ、しっとりと語り始めた。
――むか〜し、むかし、至るところに、フェアリーの住処がありました。
――その時代の人間は、フェアリーと共に生き、時に遊び、時に喧嘩し、時に助け合いながら、お互いを尊重して日々を過ごしていました。
――そして、不思議なことに、フェアリーを大切にすればする程、その地域は大きく繁栄していったのでした。
――しかし、ある日、不幸な事件が起きてしまいます。
――とある少年が、誤ってフェアリーを死なせてしまったのです。
――それからというもの、たった一つの事故が切っ掛けで、人間とフェアリーの仲は日に日に険悪になっていきます。
――固い友情で結ばれていた筈の人間とフェアリーは、いつしか、憎み合い、争い合うようになりました。
――また、フェアリーの魂を奪った人間は、強大な力を得るようになり、その事が争いに拍車をかけているのです。
――やがて、人間を恐れるようになったフェアリーは、森の奥に身を潜め、静かに暮らすようになります。
――一方、フェアリー達を狩ることで、今までにない繁栄を手にした人間達は……何故か急激に衰退していきました。
――残ったのは、フェアリーを虐げることの無かった小さな集落だけ。
――とはいえ、その小さな集落にすら、フェアリーは姿を見せません。
――それから長い時が流れた今も、人間とフェアリーの確執は続いています。
――いつか、また、両者が手を取り合える日は訪れるのでしょうか?
――もしも、そうだとしたら、その鍵を握るのは……
「――それは、貴方かもしれません。……なーんちゃってっ♪ どうでしたか? 即興の割には上手く出来たと思うんですけど」
「うーん、物語の批評なんてした事ないから詳しい事は言えないけど、良かったんじゃないか? 色々とツッコミ所はあるし、子供に聞かせるには難しい言い回しもあったけど、言いたい事は何となく分かったし。要するに、昔の人はフェアリーを倒せば大量の経験値が貰えるって事しか知らなくて、一緒に居ると獲得経験値が増える事には気付かなかったって事だろ? それで、フェアリーの乱獲が始まって数が減り、数少ない生き残りも森に隠れるようになって、結果的に人間達は衰退したと。そんでもって、現代では幻のモンスターになりましたとさって感じか」
「はい、これは、あくまで私の予想ですけど、大きく外れてはいない気がします。事実、フェアリーについて書かれた本では高速レベルアップの手段として討伐が推奨されてましたし、他の特性については言及されてませんでした。恐らくは、その著者さんも知らなかったんでしょうね」
「なるほどな〜。ところで、フェアリーが俺の前に現れた訳ってのは? 最後に鍵がどうとか言ってたけど、何か関係があるのか?」
「もうっ、肝心な所は鈍いんですから。つまり、フェアリーさんは、ハヤト様の優しさを見抜いて近寄って来たんだと思います。実際、ハヤト様はフェアリーさんと出会っても襲ったりしませんでしたよね?」
「そりゃあ、まぁな。見た目からして人間の女の子と殆ど変わらないし、敵意も感じなかったから。そんな相手を他のモンスターと同じように討伐するってのは抵抗があるよ」
「そんな心の内を見抜いたからこそ、フェアリーさんは、ハヤト様の傍で添い寝してたんでしょうね。きっと人肌が恋しかったんじゃないでしょうか? とはいえ、寝起きで目があった時は、流石にビックリしたみたいですけど」
「そういや、フェアリーと初めて会った時って、そんな感じだったなぁ。目が覚めたら見知らぬ女の子が腹に乗ってんだもん。俺の方こそ驚いたよ」
そう言って、リリィの手に抱かれるフェアリーを見つめると、何やら赤くなった顔を必死に隠して、イヤイヤと首を振っていた。
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