能力値リセット 〜ステータスALL1の無能から徐々に成り上がるつもりが、1ヶ月で俺TUEEに変貌しちゃいました!〜

雪月 桜

女の勘

「おっと、そう言えば、ずっと大人しかったから、すっかり忘れてた……。ほれ、お前も一緒に遊んでこいよ。もうリリィが脱いでるみたいだから俺は混ざれないけどな」

俺は湖に背を向けながら、そう言って、頭の上で寝ていたフェアリーを人差し指で小突いてやる。

すると、フェアリーは、すぐさま目を覚まして、パチパチとまばたきした。

そして、キョロキョロと辺りを見渡したかと思うと、表情がパァッと明るくなる。

やっぱり洞窟の中よりも、こういう緑や水に溢れた場所の方が気に入ってるみたいだな。

「あー、それと、ついでに、リリィの監督も頼むぞ。俺が見てない所で何かあるかもしれないからさ」

パッと見た感じだと、着衣の状態ですら元気に泳ぎ回っていたから、それほど心配はしてないけどな。

とはいえ、プロのアスリートだって、足がったらおぼれる事もあるだろう。

だから可能な限り、用心するに越したことはない。

……と、思ってたんだけど、どうやら俺の心配は杞憂きゆうに終わりそうだ。

なぜなら――、

「わっ! 凄いです、フェアリーさん! この格好、とても動きやすいです!」

リリィの元に飛んでいったフェアリーが、特注の衣装を生み出してくれたからだ。

どういった力なのか見当も付かないけど、まぁ、便利だから気にしなくて良いか。

ちなみに、その衣装はバニースーツとスクール水着を足して2で割ったような見た目だ。

背中側が大きく開いており、肩の部分もひもが無いくせに、何故か胸元のガードは完璧で、ピッタリと張り付いている。

その水着(?)を着たリリィが激しく動いているにもかかわらず、ズレる気配が微塵みじんもない。

…………いや、別に残念だとか思ってないぞ!?

ポロリなんて期待して無いんだからねっ!

……コホン、それはそうと、フェアリーの普段着も同じ物だ。

ただ、フェアリーを見てる時は、それほどハレンチに感じなかったんだけどなぁ。

“あー、マンガとかでも、こんな格好してるよなぁ”とか、せいぜい、その程度の感想だ。

だけど、リリィが同じ衣装を着ると、どこか爽やかでありつつも、健康的な色気を感じる。

なんで同じ格好なのに、こんなにも印象が違うのか。

女性的な発育の度合いも同レベルなのに。

「……ハヤト様。何か失礼なこと考えてませんか?」

「えっ!? いや、別に!?」

どんだけ、ピンポイントなタイミングで察知するんだよ!

どうやら、リリィのコンプレックスセンサーは恐ろしく敏感らしい。

その後、俺もフェアリーに衣装(海パンもどき)を作って貰い、遊びに持ち込むことで、なんとか話を誤魔化したのだった。

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