能力値リセット 〜ステータスALL1の無能から徐々に成り上がるつもりが、1ヶ月で俺TUEEに変貌しちゃいました!〜

雪月 桜

天然には勝てなかったよ……

「おっ! 見ろよ、リリィ! あっちに小さな湖があるぞ!」

「わわっ、本当ですね! 確かに少し小さいですけど、ちょっとくらいなら泳いだりも出来そうですっ!」

リリィと手を取り合って森を巡ること数十分。

最初の内は照れくさかったり、気恥ずかしかったりで、まともに顔を見られなかったけど、今はそれほど緊張を感じない。

人間というのは良くも悪くも慣れる生き物なんだなぁと、しみじみ思った。

このまま美少女とのスキンシップに慣れていったら、いずれはキスとかしちゃっても、ドキドキしなくなるのかもしれない。

……それは、それで勿体ない気がするな。

我ながら、なんとも贅沢な悩みだ。

それはそうと、現在、俺達の目の前には、ちょうど25メートルプールと同じくらいの大きさの湖が広がっている。

深さも大したことは無さそうなので、リリィの言うとおり、泳ぐのにも支障はなさそうだ。

「って言っても、この辺りの気温は体感で20℃くらいだから、水遊びをするには少し寒い――」

「とりゃぁぁぁ!」

「えぇぇぇっ!?」

リリィの奴、人の忠告を無視して飛び込みやがった!

どんだけ泳ぎたかったんだよ。

箱入り娘の好奇心って半端ないな。

「ぷはぁっ! あははははっ! ほら、ハヤト様も、ぜひ御一緒に!」

水面から顔を出したリリィは、バシャバシャと水飛沫を上げていて、これ以上ないくらい、はしゃぎ回っている。

こんなにテンションの高いリリィを見るのは初めてかもしれない。

「まったく、服を着たまんまで呑気なもんだな。溺れても知らないぞ?」

ちなみに、リリィは上質な作りのローブを羽織っているので、体の一部が透けたりはしない。

せいぜい、体に張り付いて、ボディラインが強調される程度だ。

まぁ、リリィの身体は、まだまだ発展途上なので、強調されても大して目立たないけど(特にどこがとは言わない)。

「はうっ! で、でも……水着とか持って来てないですし……」

「ん〜、いっそ裸で泳ぐとか? この辺りは人気ひとけもないし、俺が目を瞑ってれば問題ないだろ」

…………なんてな!

これは、もちろん、リリィをからかうための冗談だ。

純情なリリィの事だから、きっと頬を真っ赤にして恥じらってくれるに違いない。

「あっ、なるほど! それもそうですね! それでは早速……」

「って、ちょっと待て! まだ目を閉じてないから!」

くそぅ、リリィの天然っぷりを甘く見ていたか!

まさか、本当に脱ぎだすとは……なんて無防備な。

たまたま俺が紳士だったから良かったものの、相手が狼(意味深)だったらどうするつもりなんだ。

リリィにはもっと、年頃の女の子としての危機意識を身につけて貰わないと……。

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