氷花の鬼神って誰のことですか?え、僕のことってどういうこと?
45.氷花の鬼神(4)〜トゥーリス、ログラーツ大戦〜
トフロ平野にて。
トゥーリス軍、ログラーツ軍両軍は睨み合っていた。
シノハナの服装を纏っているエレミヤはトゥーリス軍の中で馬を駆っていた。
久しぶりに見たトフロ平野は森で囲まれ、あちこちから魔物の気配やうめき声が聞こえる。
「…懐かしいな…。」
エレミヤは微笑みながら呟く。
「…エレミヤ、なんで冒険者の俺まで招集さらなきゃねえんだ?それに、俺は馬に乗るのが苦手でもうケツが結構やばいんだが…。」
そんなエレミヤの隣で不満そうな声が聞こえる。
「僕に言われましても…。」
そんなギリウスにエレミヤは首を傾げながら呟く。
ログラーツ軍がトゥーリスへ攻め入ったとき、ギリウスはもちろん、ジリアスの葬儀真っ最中であった。
しかし、近づいてくる異様な気配とエレミヤたちの失踪、そしてシノハナ隊員たちの警戒心を読み取り、彼らと共にログラーツ軍相手に奮闘したそうだ。
そのような功績を認められ、ギリウスはガルゴス家の次期当主として認めようという動きが見られる。
本当にギリウスが名家、ガルゴス家の当主にふさわしいか、この戦争で決めるらしい。
ギリウスはこんなこと知らないが。
全て、王の独り言をエレミヤが盗聴しただけなのだから。
そんなエレミヤとギリウス含むトゥーリス軍とログラーツ軍の間に乾いた風が吹く。
(あれ、僕、あの人氷漬けにしたはず…。あ、もう溶けたのか?いや、僕が合図でもしない限り溶けないはず…。)
エレミヤはログラーツ軍を見渡して眉を顰める。
(どういうことだろ…。)
エレミヤが首を傾げる。
その時だった。
両国の王が片手を掲げた。
全員の表情が引き締まり、それぞれの武器を強く握りしめる。
「突撃ぃーっ!!」
「殺れっ!」
各国の王がそれぞれの怒りとともに叫んだ。
「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
そして、血に塗られた戦争が始まった。
❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅
「…始まったな。」
バラックが隣に向かって言った。
「ええ。そうですな。」
バラックの隣にいるロンガットが笑う。
「せめて、エレミヤさまのお力に…。」
バラックとロンガットは笑い合うと、一人の青年を見た
彼は「最強」であり、「鬼神」でもある。
その真の力は未だに解放されきれていない。
「苦しい戦いになるぞ。」
バラックが立ち上がりながらそう言った。
「怖気づいているのですか?ほほほ。」
とロンガットは挑発するように言う。
バラックは苦笑いをする。
そしてバラックは友のいる戦場へ足を踏み入れる。
❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅
エレミヤは開戦の宣言の瞬間に馬から飛び降りていた。
エレミヤは着地すると同時に腰から剣を抜いた。
はじめはアーシリアたちを使う必要はない。
雑魚が。
エレミヤはハッとした。
(なんだ…。今の声…。)
エレミヤは鬼気迫る顔で突撃してくる敵を見た。
お前如きが僕に勝てると思うなよ。
エレミヤは自分の深い闇を垣間見たような気がした。
エレミヤは目を強く瞑る。
(もしかして、この声は僕?いやいや。)
エレミヤはゆっくりと目を開けた。
仮面に覆われていない顔を相手に向ける。
(今は敵に集中するんだ…。)
「殿下ぁー!お命頂戴!」
「いつの時代劇だよ。」
エレミヤは思わず笑う。
そういえば、よく芽華は時代劇をよく見たっけ…。
いつも役者を見るたびに目をキラキラさせて…。
僕はそんな芽華を見るのが大好きだったな…。
エレミヤは薄く笑みを浮かべた。
「切り捨て御免。」
と言いながら剣を横薙ぎに払う。
(よし、決まった!)
剣を大きく振り上げた状態で静止する敵。
そしてドッと上半身と下半身がパッカリと別れた。
ドッ……。
静かに倒れる敵。
エレミヤはそれを見ても表情を変えなかった。
それどころか右手で小さくガッツポーズをしていた。
「ふぅ…。」
エレミヤは息を吐いた。
そして前方に目を向ける。
混戦だ。
どこでも血飛沫が舞う。
「さてっと。」
それを見たエレミヤは剣を握り直すと、走り出す。
「すっげぇ…。」
「怖えぇぇぇ………。」
「味方で良かった…。」
トゥーリス軍の兵士がエレミヤのバーサークぶりに戦慄している。
「…踊ってるみてぇ…。」
敵の血を浴びたギリウスがそう呟いた。
主に広範囲攻撃を持つものが多い異能力者は一対一より一対多数を得意とする傾向がある。
一人だけでも地球で言うミサイルのような危険度を誇る異能力者は雑魚を多数で相手する場合が多い。
数が多ければ勝てるだろう。
そういう考えなのだろうが、逆に彼らにとっては好都合なのだ。
世界の中でも屈指の異能力者を多数抱えるトゥーリス王国は最強の名を抱える国である。
そのうちの一人でもあるエレミヤ・ロガーツは圧倒的な剣術と異能力をよって最強と謳われている。「悪いことをすると氷花の鬼神に氷漬けにされるよ」などという地球でいう「悪いことすると雷に焼かれるよ」的な表現でも所々で使われている。
超高度な身体能力。
柔軟な体。
圧倒的な反射神経。
究極的な危機管理能力。
エレミヤのそれらは異能力者のちょっとした欠点でもある近距離戦を補うには十分すぎる。
次々に上がる紅蓮の血飛沫。
エレミヤはそれを浴びることなく、軽やかにステップを踏みながら殺していく。
(戦争って、やっぱり辛いね。)
エレミヤは目を瞑る。
(はやく…。はやく正気に戻って…爺様…!)
そして、ギリッと歯を食いしばった。
トゥーリス軍、ログラーツ軍両軍は睨み合っていた。
シノハナの服装を纏っているエレミヤはトゥーリス軍の中で馬を駆っていた。
久しぶりに見たトフロ平野は森で囲まれ、あちこちから魔物の気配やうめき声が聞こえる。
「…懐かしいな…。」
エレミヤは微笑みながら呟く。
「…エレミヤ、なんで冒険者の俺まで招集さらなきゃねえんだ?それに、俺は馬に乗るのが苦手でもうケツが結構やばいんだが…。」
そんなエレミヤの隣で不満そうな声が聞こえる。
「僕に言われましても…。」
そんなギリウスにエレミヤは首を傾げながら呟く。
ログラーツ軍がトゥーリスへ攻め入ったとき、ギリウスはもちろん、ジリアスの葬儀真っ最中であった。
しかし、近づいてくる異様な気配とエレミヤたちの失踪、そしてシノハナ隊員たちの警戒心を読み取り、彼らと共にログラーツ軍相手に奮闘したそうだ。
そのような功績を認められ、ギリウスはガルゴス家の次期当主として認めようという動きが見られる。
本当にギリウスが名家、ガルゴス家の当主にふさわしいか、この戦争で決めるらしい。
ギリウスはこんなこと知らないが。
全て、王の独り言をエレミヤが盗聴しただけなのだから。
そんなエレミヤとギリウス含むトゥーリス軍とログラーツ軍の間に乾いた風が吹く。
(あれ、僕、あの人氷漬けにしたはず…。あ、もう溶けたのか?いや、僕が合図でもしない限り溶けないはず…。)
エレミヤはログラーツ軍を見渡して眉を顰める。
(どういうことだろ…。)
エレミヤが首を傾げる。
その時だった。
両国の王が片手を掲げた。
全員の表情が引き締まり、それぞれの武器を強く握りしめる。
「突撃ぃーっ!!」
「殺れっ!」
各国の王がそれぞれの怒りとともに叫んだ。
「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
そして、血に塗られた戦争が始まった。
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「…始まったな。」
バラックが隣に向かって言った。
「ええ。そうですな。」
バラックの隣にいるロンガットが笑う。
「せめて、エレミヤさまのお力に…。」
バラックとロンガットは笑い合うと、一人の青年を見た
彼は「最強」であり、「鬼神」でもある。
その真の力は未だに解放されきれていない。
「苦しい戦いになるぞ。」
バラックが立ち上がりながらそう言った。
「怖気づいているのですか?ほほほ。」
とロンガットは挑発するように言う。
バラックは苦笑いをする。
そしてバラックは友のいる戦場へ足を踏み入れる。
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エレミヤは開戦の宣言の瞬間に馬から飛び降りていた。
エレミヤは着地すると同時に腰から剣を抜いた。
はじめはアーシリアたちを使う必要はない。
雑魚が。
エレミヤはハッとした。
(なんだ…。今の声…。)
エレミヤは鬼気迫る顔で突撃してくる敵を見た。
お前如きが僕に勝てると思うなよ。
エレミヤは自分の深い闇を垣間見たような気がした。
エレミヤは目を強く瞑る。
(もしかして、この声は僕?いやいや。)
エレミヤはゆっくりと目を開けた。
仮面に覆われていない顔を相手に向ける。
(今は敵に集中するんだ…。)
「殿下ぁー!お命頂戴!」
「いつの時代劇だよ。」
エレミヤは思わず笑う。
そういえば、よく芽華は時代劇をよく見たっけ…。
いつも役者を見るたびに目をキラキラさせて…。
僕はそんな芽華を見るのが大好きだったな…。
エレミヤは薄く笑みを浮かべた。
「切り捨て御免。」
と言いながら剣を横薙ぎに払う。
(よし、決まった!)
剣を大きく振り上げた状態で静止する敵。
そしてドッと上半身と下半身がパッカリと別れた。
ドッ……。
静かに倒れる敵。
エレミヤはそれを見ても表情を変えなかった。
それどころか右手で小さくガッツポーズをしていた。
「ふぅ…。」
エレミヤは息を吐いた。
そして前方に目を向ける。
混戦だ。
どこでも血飛沫が舞う。
「さてっと。」
それを見たエレミヤは剣を握り直すと、走り出す。
「すっげぇ…。」
「怖えぇぇぇ………。」
「味方で良かった…。」
トゥーリス軍の兵士がエレミヤのバーサークぶりに戦慄している。
「…踊ってるみてぇ…。」
敵の血を浴びたギリウスがそう呟いた。
主に広範囲攻撃を持つものが多い異能力者は一対一より一対多数を得意とする傾向がある。
一人だけでも地球で言うミサイルのような危険度を誇る異能力者は雑魚を多数で相手する場合が多い。
数が多ければ勝てるだろう。
そういう考えなのだろうが、逆に彼らにとっては好都合なのだ。
世界の中でも屈指の異能力者を多数抱えるトゥーリス王国は最強の名を抱える国である。
そのうちの一人でもあるエレミヤ・ロガーツは圧倒的な剣術と異能力をよって最強と謳われている。「悪いことをすると氷花の鬼神に氷漬けにされるよ」などという地球でいう「悪いことすると雷に焼かれるよ」的な表現でも所々で使われている。
超高度な身体能力。
柔軟な体。
圧倒的な反射神経。
究極的な危機管理能力。
エレミヤのそれらは異能力者のちょっとした欠点でもある近距離戦を補うには十分すぎる。
次々に上がる紅蓮の血飛沫。
エレミヤはそれを浴びることなく、軽やかにステップを踏みながら殺していく。
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