氷花の鬼神って誰のことですか?え、僕のことってどういうこと?
31.訃報と脱出
ログラーツ王国王宮のある一室にて。
休養中のエレミヤにある報告が届く。
「…え、今、なんと?」
エレミヤは目を瞬かせ、何かを報告に来た兵士に問い返した。
「はっ…。殿下の師であるジリアス・ガルゴス殿が…亡くなられました…。死因は暗殺と見らています」
エレミヤはあり得ない、というように首を横に振る。
そして彼に向かって笑ってみせる。
「…嘘ですよね?嘘って言ってくださいよ。ねぇ…。」
しかし、兵士は口をつぐみ、下を向いたままうんともすんとも言わない。
「嘘………………だ……………。あの……師匠…が…簡単に…死ぬ…訳…………ない…。」
エレミヤは悔しそうに俯く。
「僕は…師匠…の……弟子なの…に……。なんにもしてあげられなかったっ……。」
大粒の涙を流し始めるエレミヤに兵士が気遣いの口調で彼の名を呼ぶ。
「エレミヤ様…。」
エレミヤは肩を震わせる。
「僕は……親不孝者だ……。」
いえ、そんな事はありません!
兵士はそう言いたかった。
しかし、エレミヤの泣いている顔を見てしまうと何も言えなくなった。
そして遂に
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
エレミヤはベッドの上で崩れ落ちた。
❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅
「我が孫はどのような様子だった?」
エレミヤに訃報の報告をした兵士はその後、王に呼び出されていた。
「…はっ。とても苦しそうなご様子でした。」
その言葉を聞いた王はふむ、と声を出すと、
「まぁ、ティアラがよくやってくれたからな。後で褒美をやらなければならない。」
その淡々とした言葉に兵士は引きつった笑みを浮かべる。
「さて。このままルティーエスを監視しておいてくれ。あの身体でトゥーリス王国まで行こうとするかもしれないからな。」
「…はっ!」
兵士は口ではこう言いつつ、心の中ではこう考えていた。
(殿下はこの国ではなく、あの国にいたほうがいいのでは?)
と。
❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅
兵士が去ったあと、王が座る椅子の後ろから出てきた影があった。
「よくやったぞ。ティアラ。我が孫よ。」
その影は軽く膝を落とす。
「いえ。我が兄、ルティーエスの奪還後その後始末が私の使命でしたから。」
「そう謙遜せずとも。おいで、ティアラ。いや、ティナ。」
影…。ティナは祖父の前に立つ。
そして王は孫娘の頭を撫でる。
「ありがとうございます。お祖父様。」
ティナは笑う。
「ルティーエスと仲良くするんだぞ。」
「はい!」
ティナは嬉しそうな最上級の笑みを浮かべる。
❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅
「…行かないと、師匠の所に……。」
エレミヤは涙が枯れ、赤くなった目でそう呟いた。
エレミヤはそうっとドアを開け、走り出す。
(師匠…。待っててください!)
しかし、階段に差し掛かったときだった。
「殿下!どこへ行かれるのです!」
兵士が走ってきた。
「退けてください!僕は…師匠のもとへ行かないと…!」
エレミヤは叫ぶ。
しかし、兵士は動こうとしない。
「駄目です!陛下から仰せ仕っております!決して殿下をこの王宮から出すな、と!そのお体では無茶があります!」
エレミヤはふるふると怒りに震える。
「いいから…どけって言ってるんだぁーっ!!」
エレミヤは異能力を発生させた。
「ぐっ!」
「どあっ!!」
兵士達は胸から下が氷で浸かり、動けなくなる。 
エレミヤは彼らを無視して通り過ぎる。
「で、殿下ぁ!!」
兵士は叫び、エレミヤは唇をかみ、走り去る。
そして、外へ出た。
自分を止めようとするものは容赦なく氷漬けにした。
そして門番も見つかる前に氷漬けにした。
そして王宮から脱出したエレミヤは自分を奮い立たせるように叫ぶ。
「師匠…師匠ぉーっ!!」
エレミヤは唇をかみ、走り出した。家から家へ飛び移り、馬車に無賃乗車したりもした。
 
とにかく、トゥーリスへ行くためなら何でもした。殺し以外で。
そして………。
エレミヤは門を見上げていた。
ログラーツ王国の入り口であり、出口。
エレミヤはその門に手を当てる。
「氷蓮、疲れているかもしれないけど、頼むよ。」
『任せろ!』
氷蓮は力を振り絞り、その門を全て氷で覆った。
勿論、門の中から悲鳴や驚きの声が聞こえてきたが、エレミヤは自分が門を通るとその出入り口をも凍らせた。
全ては師匠のため、自分のため。
「はは…僕はひどいエゴイストだな…。」
苦笑いをする。
でもいい。
だって、
「やらずに悔やむよりはやって悔やんだほうがいいからね!」
エブリスタはわざと笑顔でこう叫んだ。
しかし、その目は全く笑っておらず、世間で言う「死んだ目」をしていた。
〔エレミヤ…。〕
ルティーエスが泣きそうになりながらエレミヤの名を呼ぶ。
「ルティーエスは気にするな!僕の問題だからね。これは。」
空元気なエレミヤに氷蓮とルティーエスは悔しそうに声を出す。
『エレミヤ…何かあったら必ず我らを呼べ。ちょっとしたことでもいいからな!いいな、エレミヤ!』
氷蓮はエレミヤにこう叫んだのだ。
そしてエレミヤは氷蓮にこう返す。
「うん。ありがとう!氷蓮、ルティーエス!」
そしてエレミヤは歩き始める。
はるか北方、トゥーリス王国へ。
休養中のエレミヤにある報告が届く。
「…え、今、なんと?」
エレミヤは目を瞬かせ、何かを報告に来た兵士に問い返した。
「はっ…。殿下の師であるジリアス・ガルゴス殿が…亡くなられました…。死因は暗殺と見らています」
エレミヤはあり得ない、というように首を横に振る。
そして彼に向かって笑ってみせる。
「…嘘ですよね?嘘って言ってくださいよ。ねぇ…。」
しかし、兵士は口をつぐみ、下を向いたままうんともすんとも言わない。
「嘘………………だ……………。あの……師匠…が…簡単に…死ぬ…訳…………ない…。」
エレミヤは悔しそうに俯く。
「僕は…師匠…の……弟子なの…に……。なんにもしてあげられなかったっ……。」
大粒の涙を流し始めるエレミヤに兵士が気遣いの口調で彼の名を呼ぶ。
「エレミヤ様…。」
エレミヤは肩を震わせる。
「僕は……親不孝者だ……。」
いえ、そんな事はありません!
兵士はそう言いたかった。
しかし、エレミヤの泣いている顔を見てしまうと何も言えなくなった。
そして遂に
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
エレミヤはベッドの上で崩れ落ちた。
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「我が孫はどのような様子だった?」
エレミヤに訃報の報告をした兵士はその後、王に呼び出されていた。
「…はっ。とても苦しそうなご様子でした。」
その言葉を聞いた王はふむ、と声を出すと、
「まぁ、ティアラがよくやってくれたからな。後で褒美をやらなければならない。」
その淡々とした言葉に兵士は引きつった笑みを浮かべる。
「さて。このままルティーエスを監視しておいてくれ。あの身体でトゥーリス王国まで行こうとするかもしれないからな。」
「…はっ!」
兵士は口ではこう言いつつ、心の中ではこう考えていた。
(殿下はこの国ではなく、あの国にいたほうがいいのでは?)
と。
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兵士が去ったあと、王が座る椅子の後ろから出てきた影があった。
「よくやったぞ。ティアラ。我が孫よ。」
その影は軽く膝を落とす。
「いえ。我が兄、ルティーエスの奪還後その後始末が私の使命でしたから。」
「そう謙遜せずとも。おいで、ティアラ。いや、ティナ。」
影…。ティナは祖父の前に立つ。
そして王は孫娘の頭を撫でる。
「ありがとうございます。お祖父様。」
ティナは笑う。
「ルティーエスと仲良くするんだぞ。」
「はい!」
ティナは嬉しそうな最上級の笑みを浮かべる。
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「…行かないと、師匠の所に……。」
エレミヤは涙が枯れ、赤くなった目でそう呟いた。
エレミヤはそうっとドアを開け、走り出す。
(師匠…。待っててください!)
しかし、階段に差し掛かったときだった。
「殿下!どこへ行かれるのです!」
兵士が走ってきた。
「退けてください!僕は…師匠のもとへ行かないと…!」
エレミヤは叫ぶ。
しかし、兵士は動こうとしない。
「駄目です!陛下から仰せ仕っております!決して殿下をこの王宮から出すな、と!そのお体では無茶があります!」
エレミヤはふるふると怒りに震える。
「いいから…どけって言ってるんだぁーっ!!」
エレミヤは異能力を発生させた。
「ぐっ!」
「どあっ!!」
兵士達は胸から下が氷で浸かり、動けなくなる。 
エレミヤは彼らを無視して通り過ぎる。
「で、殿下ぁ!!」
兵士は叫び、エレミヤは唇をかみ、走り去る。
そして、外へ出た。
自分を止めようとするものは容赦なく氷漬けにした。
そして門番も見つかる前に氷漬けにした。
そして王宮から脱出したエレミヤは自分を奮い立たせるように叫ぶ。
「師匠…師匠ぉーっ!!」
エレミヤは唇をかみ、走り出した。家から家へ飛び移り、馬車に無賃乗車したりもした。
 
とにかく、トゥーリスへ行くためなら何でもした。殺し以外で。
そして………。
エレミヤは門を見上げていた。
ログラーツ王国の入り口であり、出口。
エレミヤはその門に手を当てる。
「氷蓮、疲れているかもしれないけど、頼むよ。」
『任せろ!』
氷蓮は力を振り絞り、その門を全て氷で覆った。
勿論、門の中から悲鳴や驚きの声が聞こえてきたが、エレミヤは自分が門を通るとその出入り口をも凍らせた。
全ては師匠のため、自分のため。
「はは…僕はひどいエゴイストだな…。」
苦笑いをする。
でもいい。
だって、
「やらずに悔やむよりはやって悔やんだほうがいいからね!」
エブリスタはわざと笑顔でこう叫んだ。
しかし、その目は全く笑っておらず、世間で言う「死んだ目」をしていた。
〔エレミヤ…。〕
ルティーエスが泣きそうになりながらエレミヤの名を呼ぶ。
「ルティーエスは気にするな!僕の問題だからね。これは。」
空元気なエレミヤに氷蓮とルティーエスは悔しそうに声を出す。
『エレミヤ…何かあったら必ず我らを呼べ。ちょっとしたことでもいいからな!いいな、エレミヤ!』
氷蓮はエレミヤにこう叫んだのだ。
そしてエレミヤは氷蓮にこう返す。
「うん。ありがとう!氷蓮、ルティーエス!」
そしてエレミヤは歩き始める。
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