【コミカライズ】寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
「悪い子にはキスできないな」5
自宅に着いてタクシーから降りる頃、雪乃はやっと眠気から覚めた。
車内ではずっと晴久の肩にもたれて眠っていたが、目を覚ますとまた酔いのせいでうわ言を繰り返している。
「はるひさ、さん……ここどこ……」
「家に着いたよ。さあ掴まって」
まだ後部座席にいる雪乃に手を伸ばし、抱き寄せる。雪乃は素直に彼に腕を回してしがみついた。
晴久はタクシーが去ると、足もとがフラついている彼女をお姫様抱っこで持ち上げる。
「わぁ、あのっ……」
「黙ってて」
ピシャリと制され、彼が怒っているのだとやっと気付く。
(迷惑かけて、嫌われちゃったのかな……)
雪乃は不安げに瞳を潤ませ、「ごめんなさい」とつぶやいた。
晴久はとくに反応せず、エレベーターで一度彼女を降ろし、到着してからまた抱きかかえる。
片手で部屋のロックを解除し、ふたりで中へ入った。
雪乃はふたりきりになったとぼんやり分かると、もう一度「晴久さんごめんなさい……」とつぶやく。
すると、くつを脱いだ途端に雪乃の体は宙に浮いた。
晴久が抱えあげており、強引に寝室まで運ばれると、少し乱暴にベッドの上へと背から降ろされた。
「きゃっ」
マットレスが弾み、雪乃は衝撃で目を閉じる。すると次に目を開けたとき、晴久は上にまたがり、鋭い目で見下ろしていた。
「晴久さん……」
「連絡が来て驚いたよ。会社近くのバーで伊川の行きつけはあそこだけだから、すぐに分かったけど。まさか雪乃が、知らない男と飲んでたとはね」
低い声にヒヤッとし、雪乃はクラクラする頭を必死に横に振る。
「わ、私……お酒を、飲むつもりは、なくて……」
「でもふたりきりだった」
雪乃の大きな瞳が揺れる。この瞳を伊川にも向けたのだと思うと、晴久のはらわたは煮えくり返りそうだった。
「キミは自分が誰のものだか分かってないようだね。俺以外にこんな姿を見せるなんて」
静かに放たれた言葉に、雪乃はドキッと胸が鳴り、甘く溶けていく。怒られているはずなのにむき出しにされている独占欲がたまらなくなり、顔が熱くなった。
「私は晴久さんのものです……」
「本当かな」
「はい……」
雪乃が腕を伸ばしてすがりつき、晴久はそれに応えてキスを落とす。
「んん……」
カクテルの味がする彼女の唇を深くまで探っていく。無音の室内には、キスをし合う音だけが響いた。
しかし、これでは甘やかしているだけ。そうではなくてなにかおしおきをしなければと考え、晴久は一度唇を離した。
「……晴久さん?」
うっとりとした表情の雪乃をなにもせず見下ろすだけで、しばらく黙る。すると今度は雪乃が不安げに覗きこんできた。
「晴久さん……キスは……?」
切なくねだる彼女に、晴久はイケナイ気持ちが沸き上がってきた。
「悪い子にはキスできないな」
意地悪な言葉に彼女は眉を下げ、プルプルと首を振る。
「やだ……したいです……晴久さん、お願い……」
ゴクリと晴久の喉が鳴った。
(雪乃……かなり酔ってるな。普段はこんなこと言わないのに)
「……どうしようかな」
興奮で肩が上下している晴久にスルスルと腕を絡ませ、彼女は目に涙を溜めて懇願する。
「したい……したいです……してくれないとやだぁ……」
「雪乃……」
「晴久さん、好き……大好き……」
彼女のかわいさに震えていた晴久だが、ついに我慢の限界となり唇に噛みつくようなキスをする。
「んんっ……」
「雪乃……」
お望み通りにキスは激しくなり、互いの体を抱いて何度も重ね合わせる。
「晴久さ……もっ、と……」
「かわいい、どうしよう……」
晴久は悩ましげに眉を寄せながら酔いしれ、後ろ手でスーツのジャケットを脱ぎ捨てた。
「ごめん、もう抱くから」
再び落とされた彼のキスで、甘く激しい夜が始まった。
車内ではずっと晴久の肩にもたれて眠っていたが、目を覚ますとまた酔いのせいでうわ言を繰り返している。
「はるひさ、さん……ここどこ……」
「家に着いたよ。さあ掴まって」
まだ後部座席にいる雪乃に手を伸ばし、抱き寄せる。雪乃は素直に彼に腕を回してしがみついた。
晴久はタクシーが去ると、足もとがフラついている彼女をお姫様抱っこで持ち上げる。
「わぁ、あのっ……」
「黙ってて」
ピシャリと制され、彼が怒っているのだとやっと気付く。
(迷惑かけて、嫌われちゃったのかな……)
雪乃は不安げに瞳を潤ませ、「ごめんなさい」とつぶやいた。
晴久はとくに反応せず、エレベーターで一度彼女を降ろし、到着してからまた抱きかかえる。
片手で部屋のロックを解除し、ふたりで中へ入った。
雪乃はふたりきりになったとぼんやり分かると、もう一度「晴久さんごめんなさい……」とつぶやく。
すると、くつを脱いだ途端に雪乃の体は宙に浮いた。
晴久が抱えあげており、強引に寝室まで運ばれると、少し乱暴にベッドの上へと背から降ろされた。
「きゃっ」
マットレスが弾み、雪乃は衝撃で目を閉じる。すると次に目を開けたとき、晴久は上にまたがり、鋭い目で見下ろしていた。
「晴久さん……」
「連絡が来て驚いたよ。会社近くのバーで伊川の行きつけはあそこだけだから、すぐに分かったけど。まさか雪乃が、知らない男と飲んでたとはね」
低い声にヒヤッとし、雪乃はクラクラする頭を必死に横に振る。
「わ、私……お酒を、飲むつもりは、なくて……」
「でもふたりきりだった」
雪乃の大きな瞳が揺れる。この瞳を伊川にも向けたのだと思うと、晴久のはらわたは煮えくり返りそうだった。
「キミは自分が誰のものだか分かってないようだね。俺以外にこんな姿を見せるなんて」
静かに放たれた言葉に、雪乃はドキッと胸が鳴り、甘く溶けていく。怒られているはずなのにむき出しにされている独占欲がたまらなくなり、顔が熱くなった。
「私は晴久さんのものです……」
「本当かな」
「はい……」
雪乃が腕を伸ばしてすがりつき、晴久はそれに応えてキスを落とす。
「んん……」
カクテルの味がする彼女の唇を深くまで探っていく。無音の室内には、キスをし合う音だけが響いた。
しかし、これでは甘やかしているだけ。そうではなくてなにかおしおきをしなければと考え、晴久は一度唇を離した。
「……晴久さん?」
うっとりとした表情の雪乃をなにもせず見下ろすだけで、しばらく黙る。すると今度は雪乃が不安げに覗きこんできた。
「晴久さん……キスは……?」
切なくねだる彼女に、晴久はイケナイ気持ちが沸き上がってきた。
「悪い子にはキスできないな」
意地悪な言葉に彼女は眉を下げ、プルプルと首を振る。
「やだ……したいです……晴久さん、お願い……」
ゴクリと晴久の喉が鳴った。
(雪乃……かなり酔ってるな。普段はこんなこと言わないのに)
「……どうしようかな」
興奮で肩が上下している晴久にスルスルと腕を絡ませ、彼女は目に涙を溜めて懇願する。
「したい……したいです……してくれないとやだぁ……」
「雪乃……」
「晴久さん、好き……大好き……」
彼女のかわいさに震えていた晴久だが、ついに我慢の限界となり唇に噛みつくようなキスをする。
「んんっ……」
「雪乃……」
お望み通りにキスは激しくなり、互いの体を抱いて何度も重ね合わせる。
「晴久さ……もっ、と……」
「かわいい、どうしよう……」
晴久は悩ましげに眉を寄せながら酔いしれ、後ろ手でスーツのジャケットを脱ぎ捨てた。
「ごめん、もう抱くから」
再び落とされた彼のキスで、甘く激しい夜が始まった。
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