【コミカライズ】寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
「ここで抱かせて」7
階段を上がってきた晴久はスーツのままだった。アパート内に入ると同時に眼鏡とマスクを取り払ったらしく、今は素顔である。
ドアに背をつけてうつむいていた雪乃の近くへ寄り、「雪乃」と声を掛けるが、彼女は返事をしない。
代わりに「どうぞ」と消え入りそうな声でつぶやき、ドアを開けた。
彼女の肩が震えているとすぐに気付いた晴久は、玄関のドアが閉まるのを待ってから、もう一度「雪乃」と声をかける。
彼女はそれにピクリと前髪を揺らしただけで、振り向きもせず、カタカタと震えていた。
「晴久さんの話したいことって……なんですか?」
今にも泣きそうな声で尋ねる雪乃に胸が締め付けられた晴久は、鞄を床に置いた。
ゆっくりと手を伸ばし、彼女の肩を後ろから抱きしめる。
「えっ……」
彼女の体はすっぽりと包まれる。
「俺はどんなことがあっても、別れるつもりはないから」
つぶやいた晴久はより密着する手のポジションを見つけて力を込め、雪乃の頭に頬を付ける。そのまま全身を使って閉じ込めた。
「……晴久さんっ、え、え……」
てっきり別れ話をされると思っていた雪乃には突然の出来事すぎて、体が動かず、力が入ったまま硬くなった。
彼女の硬直を甘く溶かすように、晴久は耳もとで「雪乃」と切なくささやいた。
「晴久さん……」
やがて雪乃が大人しくなったところで、晴久は彼女の体ごと脚を折って座り込み、彼女を体の内側に収めた。
「もう会えないって言われて、心臓が止まるかと思ったよ。嫌われたのかと思って」
それは誤解だと雪乃は慌てて、首を横に降る。
「まさか! そんなこと、あるわけないです……嫌われると思ったのは私の方です。あんな写真を撮られてしまって……」
「構わない。本当のことなんだから。むしろ見せつけてやればいい」
今まで周囲から逃れ、ひっそりと付き合ってきたふたり。
雪乃は当然、それが晴久の望む形だとばかり思っていた。しかし今の彼はそんなことは微塵も感じさせない、堂々とした瞳で見つめている。
まさか彼がまったく気にしていないとは予想外だった雪乃は、目を見開いて彼の腕に触れた。
「晴久さん……本当に、いいんですか?  私、距離を置いた方がいいのかと思って……」
「距離を置くなんて耐えられない。二日離れただけで、俺はもうこんなだよ」
〝こんな〟というのを体感させるため、晴久は雪乃とさらに密着した。
「ひゃあっ……」
グッと背後に押し付けられた感触に、雪乃は体を熱くさせる。一週間でじっくり抱き合ったお互いの体は、二日離れるだけで焦がれるほどに欲していた。
晴久は、充分に火照った彼女の体をこちらに向かせると、押し付けたまま、唇をつけた。
「……ん……」
じんと熱く、待ち遠しい感覚が、ふたりの体に火を点ける。
蕩けるようなキスの後で、晴久は座ったまま、雪乃の服を乱し始める。
「待って……!」
ブラウスの裾をスカートから出そうとする晴久の手を、雪乃は掴んで止め、首を横に振った。
晴久は待てをされた狼のように荒い息をしている。
「私、まだお風呂に入っていなくて……」
涙目になって懇願したが、彼は鋭い表情を崩さない。
「ごめん。俺もだけど、嫌?」
「えっ、いえ私は全然……」
「じゃあ問題ない。ここで抱かせて」
晴久は彼女の服にまた手をかける。
雪乃は困惑の声を出すものの、晴久にすっかり背を預け、徐々に反応も甘くなっていった。
「晴久さん、ごめんなさい……」
「……な、なにが?」 
晴久は今度はギクッとして手を止めた。しかし雪乃の表情はかわいらしく溶けていくばかり。
「勝手に不安になって、会わないなんて言って……」
「雪乃を不安にさせたなら、それは俺のせいだよ」
やがて力の抜けていった雪乃を抱きかかえ、リビングのカーペットの上へと下ろす。
彼女も、待ちわびていたと言わんばかりに甘く目を細め、晴久はたまらず、ゆっくりとキスをした。
「雪乃はなにも考えなくていい。ただ俺のそばにいて、ワガママを言ってくれればそれで」
「晴久さんに、ワガママなんて、言えないです……」
「言えるようにならないとダメだ。こうして俺のワガママをたくさん許してもらっているからね。雪乃のも聞きたい」
「はい。あ、待って……」
「もう待たないよ」
カーペットの上で、息をつく暇もない晴久の献身的な労りを受けながら、雪乃は一晩中、彼の愛に溺れていた。
ドアに背をつけてうつむいていた雪乃の近くへ寄り、「雪乃」と声を掛けるが、彼女は返事をしない。
代わりに「どうぞ」と消え入りそうな声でつぶやき、ドアを開けた。
彼女の肩が震えているとすぐに気付いた晴久は、玄関のドアが閉まるのを待ってから、もう一度「雪乃」と声をかける。
彼女はそれにピクリと前髪を揺らしただけで、振り向きもせず、カタカタと震えていた。
「晴久さんの話したいことって……なんですか?」
今にも泣きそうな声で尋ねる雪乃に胸が締め付けられた晴久は、鞄を床に置いた。
ゆっくりと手を伸ばし、彼女の肩を後ろから抱きしめる。
「えっ……」
彼女の体はすっぽりと包まれる。
「俺はどんなことがあっても、別れるつもりはないから」
つぶやいた晴久はより密着する手のポジションを見つけて力を込め、雪乃の頭に頬を付ける。そのまま全身を使って閉じ込めた。
「……晴久さんっ、え、え……」
てっきり別れ話をされると思っていた雪乃には突然の出来事すぎて、体が動かず、力が入ったまま硬くなった。
彼女の硬直を甘く溶かすように、晴久は耳もとで「雪乃」と切なくささやいた。
「晴久さん……」
やがて雪乃が大人しくなったところで、晴久は彼女の体ごと脚を折って座り込み、彼女を体の内側に収めた。
「もう会えないって言われて、心臓が止まるかと思ったよ。嫌われたのかと思って」
それは誤解だと雪乃は慌てて、首を横に降る。
「まさか! そんなこと、あるわけないです……嫌われると思ったのは私の方です。あんな写真を撮られてしまって……」
「構わない。本当のことなんだから。むしろ見せつけてやればいい」
今まで周囲から逃れ、ひっそりと付き合ってきたふたり。
雪乃は当然、それが晴久の望む形だとばかり思っていた。しかし今の彼はそんなことは微塵も感じさせない、堂々とした瞳で見つめている。
まさか彼がまったく気にしていないとは予想外だった雪乃は、目を見開いて彼の腕に触れた。
「晴久さん……本当に、いいんですか?  私、距離を置いた方がいいのかと思って……」
「距離を置くなんて耐えられない。二日離れただけで、俺はもうこんなだよ」
〝こんな〟というのを体感させるため、晴久は雪乃とさらに密着した。
「ひゃあっ……」
グッと背後に押し付けられた感触に、雪乃は体を熱くさせる。一週間でじっくり抱き合ったお互いの体は、二日離れるだけで焦がれるほどに欲していた。
晴久は、充分に火照った彼女の体をこちらに向かせると、押し付けたまま、唇をつけた。
「……ん……」
じんと熱く、待ち遠しい感覚が、ふたりの体に火を点ける。
蕩けるようなキスの後で、晴久は座ったまま、雪乃の服を乱し始める。
「待って……!」
ブラウスの裾をスカートから出そうとする晴久の手を、雪乃は掴んで止め、首を横に振った。
晴久は待てをされた狼のように荒い息をしている。
「私、まだお風呂に入っていなくて……」
涙目になって懇願したが、彼は鋭い表情を崩さない。
「ごめん。俺もだけど、嫌?」
「えっ、いえ私は全然……」
「じゃあ問題ない。ここで抱かせて」
晴久は彼女の服にまた手をかける。
雪乃は困惑の声を出すものの、晴久にすっかり背を預け、徐々に反応も甘くなっていった。
「晴久さん、ごめんなさい……」
「……な、なにが?」 
晴久は今度はギクッとして手を止めた。しかし雪乃の表情はかわいらしく溶けていくばかり。
「勝手に不安になって、会わないなんて言って……」
「雪乃を不安にさせたなら、それは俺のせいだよ」
やがて力の抜けていった雪乃を抱きかかえ、リビングのカーペットの上へと下ろす。
彼女も、待ちわびていたと言わんばかりに甘く目を細め、晴久はたまらず、ゆっくりとキスをした。
「雪乃はなにも考えなくていい。ただ俺のそばにいて、ワガママを言ってくれればそれで」
「晴久さんに、ワガママなんて、言えないです……」
「言えるようにならないとダメだ。こうして俺のワガママをたくさん許してもらっているからね。雪乃のも聞きたい」
「はい。あ、待って……」
「もう待たないよ」
カーペットの上で、息をつく暇もない晴久の献身的な労りを受けながら、雪乃は一晩中、彼の愛に溺れていた。
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