ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

野生の剣聖に遭遇した

「私の質問に答えてくれるわよね…………?

 もし素直に答えてくれるのなら、うっかり手が滑って、身体を真っ二つになる…………なんて事は起きないわ…………」

「……………………」

 もう声からして、誰だか分かっちゃったよ!!

 いっち番、聞きたくない奴の声だな、こりゃあ…………。

 あんたの声、よく覚えてますよ。

 ってか、確信犯ですね?

 この状況で、身体を真っ二つになる時点でわざとだろうが!!!

 ええっ?

 よ。

「答える義理はないな…………」

 とりあえず、従う意思がない事は表明しておこう。

 人に想いを伝えるって、結構、重要な事なんだよ?

 だから----------------

「あら、そう…………。

 なら、死ん------------!?」

 ----------------こんな風に、野蛮な剣聖に出会ったら、とりあえず、言い終える前に、眉間に一発ぶち込んでおこう。

 お兄さんとの約束だぞっ!?

 というか、流石、剣聖。

 今の全部、打ち落としちゃうか。

 かなり至近距離で撃ったんだがな…………。

 どういう動体視力してんだか…………割と傷付く。

「…………今のは何…………?」

 うっわ、こっちめっちゃ睨んでる。

 今日ほど、美人に睨まれるのが恐いとは思いませんでした。

 いや、そんな風に構えても、俺は何もしませんって…………。

「知る必要はない…………」

 何か、厨二っぽいセリフだな…………。

 戦っても損だし、剣聖もいるんなら、もう引き上げるか。

「っ!? 待ちなさいっ!!!」

 待ってって言われて、待つ奴なんなかいないわ!!

 あばよっ!!

 とっつあ~ん!!!

 こうして、俺は夜の闇へと姿を消した。

 その姿を悔しそうに見つめ、唇を噛み締める剣聖の姿がとても印象的だった。


 

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