異世界クロスロード ゆっくり強く、逞しく

アナザー

第51話 ライオットの新技術

・「どうもライオットです。
今夜は私のスキルレベルとなるであろう素材が沢山あります。寝ずに加工を行っていこうと思います!
どれだけ上がるのか、今から楽しみで仕方がありません。」
 
ミズキに貸して貰った特大サイズの鞄を見てほくそ笑む。何だか悪い事をしでかすような笑みを浮かべつつ、一人ぶつぶつと呟いていた。
いつも一緒に居るマルチも、ギルドに入るや否や錬金術部屋に連行されていった。
滞っていた『奇跡の飲料水』を製造できる人材がギルドに現れたのだ、夜のギルド工房受付嬢ローズさんに捕まるのも頷ける。
オルドラギルド産の『そのまま飲める奇跡の水』の噂は別の国にまで行き渡っているらしい。
国交の品にまで選ばれそうになっているとの事。
今までの水は2日も経てば飲めなくなる。
しかしオルドラ産の『奇跡の水』は気温と湿度にもよるが、大体1週間位なら余裕で保つのである。
保管方法が無いこの世界で、1週間も飲める飲料水があると聞けば誰もが欲しがるのも頷けるだろう。
そんな『奇跡の水』の噂を聞いて数々の錬金術師がオルドラギルドに訪れた。
ギルドはその中でも優秀な人材を数人雇うことにした、そのお陰で現在『飲料水』を作れる人材は何人かいる。
しかしそのまま飲める『奇跡の飲料水』が作れるのはマルチと俺だけだから、ギルドにマルチが現れればそれはそれは大騒ぎになるのも解る。
上記の事もあり『水の女神』と言うのが彼女の二つ名である。
、、、、、頑張れ、マルチ!
 
・サリーヌ
「マルチちゃん大丈夫かしら、、、」
 
・「大丈夫さ、マルチは既に魔力の自己回復まで出来るんだから。」
 
・サリーヌ
「いや、、、そっちじゃなくてね。
知ってるでしょ?
彼女、少し前まで人見知りだったのよ?
って、聞いてる?ライオットちゃん。」
 
・「さてと、ジャンジャン加工するぞ!」
 
レベル上げの事になると周りが見えなくなる。
ライオットの欠点の一つである。
 
・サリーヌ
「ライオットちゃん、、、貴方、鬼ね。」
 
そんな呟きも聞こえなくなる程、ライオットは既に集中し始めていた。
まず、素材は模様糸からだ、、、数は数え切れない程あるし、無くなるまで加工を続けよう。
 
・ステータス
ライオット レベル26 手持金 16309c
筋力 125 補正値  40 計 165
知力 141 補正値 120 計 261
敏捷性140 補正値  40 計 180
 
スキル
チートマップ・精神自動回復・順応力
 
魔法
風属性 37 水属性 29 炎属性28
 
技能(補正値は装備時のみ発動)
剣術 17 補正LV3 筋力6 敏捷性6
杖術 12 補正LV2 知力10
盾術 19 補正LV3 筋力15
槍術 19 補正LV3 筋力9 知力3
体術 19 補正LV3 筋力8 敏捷性12
射撃 22 補正LV4 筋力8 敏捷性8
 
特殊技能(補正値は常時発動)
採取 23 補正LV4 筋力20 知力20
採掘 11 補正LV2 筋力10 敏捷性10
魔装 31 補正LV6 知力60
操舵 18 補正LV3 敏捷性30
 
加工技能(補正値は常時発動)
裁縫 10 補正LV2 知力20
鍛冶 10 補正LV2 筋力20
錬金 10 補正LV2 知力20
 
ふふふ、ここからだ。
サリーヌさんにも出て行ってもらったし、、、
さぁ、始めようか。
ライオットの加工が始まる。
 
 
~あるギルド員の日記より~
『久しぶりにマルチさんがギルドにやって来た。
昔は一人ぼっちで水の生成を行っていた。
誰とも群れず、一人ぼっちで錬金していた姿が懐かしい、、、今では大人気の錬金術師になっている。
そう言えば性格的にも明るくなったな。
昔、話しかけた時はオドオドしながら逃げて行ったが、今では話しかけると笑顔で答えてくれる。
あんなに美しい女性だったとは、、、
全てはあの人が来てから変わった。
冒険者ライオット、底知れぬ人物だ。
ふらっと現れたのはいつ頃だったか、、、
僅か数週間でギルドの首脳陣、さらには国の大物。
噂では国王すら一目置く存在になったと言う。
恐ろしい人だ、、、
今も奥の部屋で何やらやっている。
独り言や笑い声が絶えず聞こえる、、、
私はあの人が恐ろしい。
あの部屋には現在、あの人しかいない筈だ、、、
また話し声が聞こえた、、、笑い声も、、、
私はあの人が恐ろしい、、、』


 ・「ふふふふふ、加工が終わらないぜ!
素材はまだまだ尽きない、どれだけでも出来るぜ!
はーっはっはっはっは」
 
こうして、狂気の夜が深けていく、、、
 
・「ふははははははは」
 
 
~次の日の朝~
 
・サリス
「おはよう、みなさん。」
 
サリスがギルドに出勤してきた。
今日もギルドの活動が始まる。
 
・セリス
「ライオットとマルチはどこにいる?
2人して帰って来なかったが、、、」
 
・ミズキ
「私の夫はどちらに居ますか?」
 
珍しい組み合わせで出勤してきたセリスとミズキ、ギルド員に話を聞き工房に移動する。
ある部屋の前では数人のギルド員とローズが集まっている。
 
・セリス
「どうした?ローズ。」
 
・ローズ
「あ、、、セリス。お願い何とかして。
部屋の中から変な声が、、、
開けるに開けられないからどうしようかと。
中にはライオットさんとマルチが居るの。」
 
・ミズキ
「なんですって?それは由々しき事態です!」
 
・セリス
「まて、ライオットの事では毎回勘違いで面倒な事になっている。
今回は落ち着いて状況を確認すべきだ。」

ミズキは頷き深呼吸をした。 
そしてセリスとミズキは扉に耳を当てる、、、
 
・マルチ
「ん、、、すごぃ、、、ライオット、、、
もうそれ以上は、、、溢れちゃう、、、」
 
・「ふはははは、もっともっとだ!
まだまだだぞ。まだまだこれからだ!」
 
何とも言えないやり取りが聞こえる、、、
一瞬の内にミズキとセリスのボルテージが上がる。
 
・セリス
「ギルドで何やっとるんだぁぁぁ」
 
・ミズキ
「最初は私がって決めてたのにぃぃぃ」
 
ギルドの扉を吹き飛ばして侵入する、、、筈が、
扉の向こうからとんでもない量の虹糸が押し寄せてきた。
近くに居たギルド員も虹糸の波に飲み込まれる。
大惨事となった工房にサリスとサリーヌが現れた。
 
・サリス
「これは、、、一体?」
 
・サリーヌ
「虹糸がこんなにも、、、、何なのこれ?」
 
虹糸に飲み込まれたギルド員は答えない、、、
奥からライオットの笑い声が聞こえるだけだった。
 
・「はっはっはっは!
まだまだ!まだまだぁぁぁ!」
 
 
~暫くして~
 
・「誠に申し訳ありませんでした。」
 
これ以上ない程の綺麗な土下座をする俺。
目の前には5人の女性が居た(一人は男、、、)
 
・「昨夜は久しぶりのレベル上げだったので、ついつい少し張り切りすぎました。」
 
・セリス
「少し、、、?」
 
・「物凄く、張り切っちゃいました。」
 
こってり怒られた後、説明を求められた。
一生懸命説明した後のやり取りである。
 
・ミズキ
「勘違いしてしまった事は此方の落ち度ですが、勘違いさせるような言動は控えてください。」
 
珍しくミズキにも怒られてしまった。
でも、昨日採取してきた模様草は全て加工で来た。
怒られちゃったけど、私は満足です!
 
・セリス
「何やり切った顔してるんだよ!」
 
また怒られちゃった♪
 
・サリス
「まったく、こんなにも虹糸を作っちゃってどうするの?」
 
・サリーヌ
「ホントよ、裁縫加工で服でも作る気?」
 
・「えっ?!裁縫加工で服を作る?」
 
・サリーヌ
「あ、、、、」
 
沈黙が流れる、、、
 
・「サリーヌさん、服も加工で作れるんですか?
糸からバシューンと作れたりするんですか?」
 
・セリス
「バカサリーヌ、要らん事言うな!」
 
・サリーヌ
「ごめんなさい、セリスちゃん、、、」
 
ライオットの猛アタックにより、しぶしぶ服の作り方を教えるサリーヌ。
装備品も魔法加工で造れる事を知ったライオット、そして大量の虹糸を使って服を作り始めた。
ここまで、ライオットは眠っていない。
しかし、レベル上げとなると狂人へと変化するのがライオットだった。
 
・サリーヌ
「ライオットちゃんって、、、、変な人ね。」
 
それでもライオットを好きな3人の気持ちは変わらなかった。
そして4人目の女性が現れる。
 
・ミミ
「おっはよぉー!何々?何してるの?」
 
受付嬢モードではない、通常のミミが現れた。
話を聞いたミミは服のデザインを提供すると言い始めた。
 
・ミミ
「こうみえて、可愛い服の絵をかくのが好きなの!
セリス、今日の受付変わってぇ~!」
 
大量の虹糸消費方法が出来た事に喜んだサリスはセリスに受付を命じる。
しぶしぶ従うセリス、、、なんだか可哀想だな。
最初にセリスの服を作ってあげようかな。
 
・セリス
「仕方ねぇ、じゃあ今日はあたしが受付してやるよ、ミズキは、、、もう居ないか。
マルチはどうする?」
 
・マルチ
「私もデザイン提供する。
屋敷の人たちにあげるの。」
 
こうして、昨日に引き続き裁縫スキル上げが始まった、、、ありがたい話だ。
 
・「しかし、装備品も作れるのか、、、
魔法石を掛け合わせたり出来ないかな?」
 
そんな事がふと思い浮かぶ、、、
 
・「必要な服が出来上がった後にやってみるか!
何事もチャレンジだ!」
 
その日、新しい加工技術が生まれた。
その名も魔具生産術、、、
ライオットによって生み出された。
皮肉にもその技術は、はるか昔に封印された技術と同じであった。
ライオットは完成品を見て思わず制作方法を誰にも伝えない事に決めた。
それ程、恐ろしい可能性を秘めていると感じたからだ。宝箱で出てくる神器も恐らく同じように作ったのだろう。悪用されたらとんでもない事になる。
そう思ったのだ。
とは言え、現時点でこの魔具生産加工が出来るのは彼以外に居ないだろう。
この世界では考えつかない様な発想が必要だ。
異世界人であるライオットだからこそイメージが出来る。しかし、伝達していけば作れない事もない。
だからこそ、今の所は誰にも教えないと決めたのだった。
 
ギルドには迷惑料として制作できた服の殆どを渡した。売りさばくノウハウがない上に、そんな暇があるならレベルを上げたかったからだ。
それでも余った服はミズキが持って行った。
国に献上して孤児等に配る事にしたのだ。
ライオットの作り出した服の品質は恐ろしいほど高かった。
虹糸をふんだん使った上に魔法石の粉でコーティングした際、防御力に優れて寒い時には温かく、熱い時には涼しくなる様に設計してある。
更に魔力を流すと虹色に光るのだ!
練習のために魔具生産技術をふんだんに使った結果、今まで見た事もないような服が出来上がった。
製作した服はオルドラギルドの最新裁縫技術としてもらう事にした。

オルドラ王国には毎日諸国から使者がやってくる。
勿論、貴族や金持ちは旅行で訪れたりもする。
貴族、金持ち、使者、スパイ、商人。
すべての人物は『奇跡の水』を調査しに来る。
そして目にするのだ、、、『魔法の服』の存在を。
お陰でオルドラ裁縫ブランドは国の枠を超える。
『奇跡の水』に『魔法の服』。
希少価値の高い品を求めて諸国から更に使者が訪れる。オルドラ王国は順調に地位と発言力を高めていくのだった。
 
一方でライオットは加工を終えて屋敷に戻る。
2日ぶりの帰宅となった。
屋敷に帰った一行は制作した服をそれぞれにプレゼントする。
とりあえず3着ずつ、メイドにはメイド服を2着。
ラスク、リンク、マナにも生活用として3着あげ、ガンダルには生活用と戦闘用に1着ずつ渡した。
戦闘用は魔法石の粉の質と高めてある。
主に防御力、魔法防御力を高めて防具としてかなりの品質の品を作り上げた。
ガンダルは大いに喜んでライオットを豪快にハグするのであった。
そして次の日、、、俺は王様に呼ばれた。
何か悪い事でもしたかな?
 

『今回のレベル上昇値』
加工技能(補正値は常時発動)
裁縫 10      → 裁縫 26
補正LV5 にアップして知力50に

魔具生産術(以後、魔生と記載)
魔生 new      → 魔生17
補正LV3 になり知力30に

 
 
~登場人物~
・ライオット
やっとレベル上げが出来てハッスル中の主人公
明日も頑張ろうと考えているが、、、
 
・マルチ
精霊界嬢王の娘であり『水の女神』と呼ばれる錬金術師で常にライオットと共に居る事が幸せと感じている。なので片時も離れようとはしない。
最近では明るくなった事もありギルドでは大人気の少女。
 
・サリーヌ
オルドラギルド裁縫担当のおかまちゃん。
見た目はムッキムキだが心は乙女。
ライオットの裁縫の先生でもある。
 
・セリス
ギルド長を任されているヒロインの1人
最近ライオットと絡むことが少ないので悩み中。
気丈に振舞うが、実は初めての恋だったりもする。
どうして良いか解らず、姉に相談するか検討中。

・サリス
セリスの姉でギルド総括。
妹の事はいつも気にかけている。
最近はライオットがミズキとマルチに捕まる事が多く、セリスの為に何か出来る事はないかと考え中。

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