異世界クロスロード ゆっくり強く、逞しく

アナザー

第43話 マップの進化

・「、、、、ここは。」
 
俺は目を覚ます。
どうやら何処かの部屋の中らしい。
 
・リーシュ
「ライオットさん!
いつもいつも無茶ばかりして、いったいどれだけ心配させるんですか!」
 
起きて早々にガッツリと怒られる。
リーシュと一緒にマルチもプンプンだ。
暫く2人に怒られていると、部屋にゾロゾロと人が入って来た。
あの時、謁見の間に居たメンバーだ。
何故、俺が起きたことに、、、
あぁ、ミズキさんが教えたのかな?
隠密の仕事は早いな、、、
 
・ライル
「説明してもらおうか?
何故、カイラー卿を殺した?
返答次第では処刑する。」
 
ライルさんが殺気を出す。
それを宥めてくれたのが国王だった。
あの時、ナナさんを止めてくれたのって王様なんだよな、、、
意外な事にさ。
 
・国王
「まずはライオット君の話を聞いてみよう。
私には、彼が考えもなしに行動を起こす人物には見えない。
何か考えがあったはずだ。
話を聞いてからでも遅くはないだろう?」
 
あの状況で何と冷静な事か、、、
これが王の器って奴か?
すげぇな、敵には回したくない
 
・「解りました、、、全てを話しましょう。
俺の能力と一緒にご説明します。」
 
観念するか、、、流石に死にたくないしね
この王様ならバレたとしても悪いようにはしないだろう。
、、、、もう信じるしかないか。
 
・「お願いがあります。
無字の紙か布を用意してくれませんか?」
 
俺がお願いしてみた。
実際に見て貰った方が早いだろう。
 
・ミズキ
「こちらに、、、」
 
早っ!ミズキさんいつの間に、、
 
・国王
「謁見の間でもそうだったが、随分とライオット君に忠実だな。
隠密と言う立場をあれ程わきまえていたお主が、ここまで尽くすとはな、
ライオット君、君とは敵対したくないな、、、。」
 
俺もですよ、、、
どうも国王は頭のキレが良すぎる。
優しい人だけど、それだけに敵に回すと思うと恐ろしいよ。
 
・「では、まず俺の能力を教えます。」
 
マップオープン、展開、投影、、、
白紙の紙に城の内部の地図が浮かび上がる。
あれ?今回は固定を使ってないからペラペラの紙のままだと思ったけど、硬くなったな。
右上に「1F」「2F」「3F」「1B」「2B」とか写ってるんだけど?
今まで無かったよな、、。
まさか、能力自体がLVアップしてるのか?
 
・ライル
「これは、、、、いや、まさか。」
 
・オーランド
「この城の見取り図か?
ありえない、何も書かれていなかったはずだ。」
 
・国王
「、、、、。」
 
みんな一枚の紙を見ている。
俺は考える、、、
最初にやったのはオーク殲滅戦だ。
思い出せ、あれから何回使った?
最初と今、マップの内容に違いはあるか?
建物は写ってたか?範囲は?
初めて使った時、基地に着く前だ。
敵の位置は見えたが動いていなかった。
だが2回目、セリスに見せた時は敵が動いているのが解った。
つまり、使えば使う程能力が更新されていくのか?
まるで、AIが学習しているように、欲しい情報を増やしているみたいだ。
階層だってそうだ。
ダンジョンで使った時は無かった。
だが、俺は階層表示が欲しいと考えていた。
それを汲み取り能力が向上したんじゃないか?
地図を2枚作った時、もっと多くあれば良いなと考えていた。
もしも、俺の仮説が正しいのならば、、、
 
・「ミズキさん、紙か布を出来るだけ用意してくれませんか?」
 
・ミズキ
「はっ!」
 
完璧なマップを作ってやる。
俺は願う、
敵対感知能力を地図を持っている個人用にしたい。
これで、誰が狙われているか分かる様になる。
 俺は願う、
俺の魔力と共に、個別の魔力を流せば頭の中に地図を展開できるようにしたい。
これで、俺の能力と近い形で使えるようになる、ただし俺の魔力がないと使えなくする。
 
俺は願う、
紙や布のような媒体を経由しなくても能力の譲渡が出来るようにしたい。
これで、直接能力譲渡が可能になるはず
 
俺は願う、
表示するための個別のパスワードを設定できるようにしたい。
万が一敵に洗脳されても、自分の意思がなければ開けないようにしたい。
第三者の使用を防ぐんだ。
 
俺は願う、
パーティー内で敵対心の共有、個別の敵対心をそれぞれ確認できるように。
これで話し合わなくても、どれが誰の敵なのか確認できるはずだ。
 
これだけの能力向上だ、
どれだけ地図を作ればいい?
出来るだけやってやる、、、。
 
・ミズキ
「お持ちしました。」
 
わぉ、ガッツリとあるね。
こりゃ、やり甲斐がありそうだ。
 
・国王
「どうするつもりだ?」
 
・「はい、今考えていました。
どうすれば信じてもらえるのか、、
そこで仮説が生まれたので試してみたいのです。
お金はお支払いします、この紙や布を私に売ってください。」
 
王達は悩んでいる。
悩むと言うより、俺が何をするのか解らないから困っている感じかな?
ん~上手く説明できないしな、、、どうしよう?
 
・リーシュ
「オルドラ国国王様、
ライオットさんを信じてもらえませんか?
必ず納得のいく形で答えられると思います。
もしも不祥事があれば、、、
私がこの場で命を絶ちましょう。」
 
・オーランド
「リーシュ、何を言っている?」
 
・ミズキ
「私も、ししょ、、、
ライオット殿に命を掛けましょう」
 
・ライル
「ミズキ?」
 
・マルチ
「ライオットに危険が及ぶなら、全員殺す」
 
マルチさん、一人だけベクトルが違いますよ?
敵対するのは辞めて、、、
 
・セリス
「話はある程度聞いた。
アタシからも頼む。
ライオットを信じてくれ」
 
息を切らしたセリスが現れた。
何故此処に?
セリスの後ろに隠密のポンタさんが現れた。
隠密部隊の連絡方法でミズキさんが呼んだのか?
本当に、隠密って優秀だなぁ~。
 
・サリス
「王様、ライオットさんは私たちの想像をはるかに凌駕します。
頭で考えていても何も判らないわ、、、
何かあったら私が責任を持ちます。
どうか好きにやらせてあげて下さい。」
 
・ミミ
「ママ!ライオットは平気?
怪我したって聞いたけど、誰がやったの?
絶対に許さないんだから!」
 
サリスさんとミミさんまで来てくれた。
凄く頼もしい、、、、でも重圧が凄い。
どうしよう、逃げ出したいんですが、、、
 
・ナナ
「おお?ミミちゃんまでどうしたの?
ちなみにやったのはライルだ。
アタシじゃないからね、
アタシは何もしてないからね」
 
何故か必死なナナさん。
あれ?ミミさん、ママって呼んでた?
ミミさんのお母さんはナナさんなのかな?
まさかの国のお偉いさんだった。
そして、ミミさんがライルさんに殺気を放つ。
うっは、すげぇ殺気だ、、、
こんなに怖いミミさん初めてだ。
 
・ハリス
「ミミさん、落ち付くんだ。
これには理由がある、兄さんも悪気があってやった事じゃない。」
 
ミミさんが考えている。
殺気は消えていない、ライルさんの汗が凄いぞ
やっぱりミミさんってすごい人だったんだな。
 
・ライル
「ミミさん、どうか話を聞いて欲しい。
何と言うか、、、その、すまなかった」
 
・ミミ
「アタシじゃなくライオットに謝って!」
 
叫びに近い怒号がライルさんを襲う
何かかわいそうになって来た、、、
 
・「あの、とりあえず今まで経緯を説明した方が良いのでは無いでしょうか?
私は作業をしたいので、先に紙と布の取引をお願いします」
 
一応、この騒動の発端だったが、如何にも私は知りませんよ?的な空気で接してみる。
だって、怖いんだもの。
 
・国王
「ふむ、、、分かった。
これだけの猛者が君に命を預けるとまで言うんだ、信じるに値する人物なのだろう。
君の好きにするがよい、その布は攻撃を加えてしまった国から、君への謝罪の気持ちとして贈ろうではないか。
では、ミズキよ。
隠密と言う中立の立場で、皆にこれまでの経緯を説明してくれ」
 
・ミズキ
「はっ!」
 
俺、リーシュさん、マルチ以外の人が移動する。
どうやら部屋を変えるみたいだ。
まだ味方と決まったわけじゃないのに、王様はこっちよりで話を進めてくれてるな、有難い事だ。
 
・リーシュ
「これからどうするんですか?
逃げるのならどこまでも付いていきます」
 
・マルチ
「私はどんな時でもライオットの味方。
どこまでも一緒」
 
いや、逃げないですよ。
逃げ切れる自信など微塵もありませんから、、
 
・「さっき地図を作った時にさ、表示が増えていたんだ。
ダンジョンで作った時に、(こうだったら良いなぁ~)って思ってた事がさ」
 
・リーシュ
「つまり、より良い地図になってたって事ですか?」
 
・「その通り、だから俺がこうしたいと願いつつ地図を作りまくったら、理想の地図を作製できるようになるんじゃないか?って思ったんだ。」
 
・リーシュ
「成る程、その為の大量の紙と布なんですね。」
 
俺は頷いた。
マルチはいまいちピンと来てないのかポケーっとしていたが、ハッとして俺の服を掴んで離れない様に近くに寄って来る。
 
・「んじゃ始めようか。
とりあえず成功するか解らないから一枚だけは取っておいて、残りの紙と布をすべて使う。
マルチ、俺が作った地図を片っ端から焼いてくれ、残しておきたくない」
 
・マルチ
「わかった、じゃあ要らない地図は空中に投げて、
焼き消してあげる。」
 
意外とワイルドな一面を見せるマルチ。
速いに越したことはない、じゃあ任せるか。
 
・リーシュ
「じゃあ私は次々と紙を置いていきますね。」
 
まるで、わんこそばシステムだな。
俺は最初の一枚に魔力を注ぐ、
マップオープン、展開、投影、
地図が出来上がる。
すかさずリーシュさんが地図を掴んでぶん投げる。
空中に舞った地図を、マルチが焼き尽くす。
マルチが焼いている間に、次の紙がセットされる。
連携が凄いぞ、俺全く動いてないし。
リーシュさんが俺の顔を見てにっこり微笑む。
可愛いなぁ~、っと呆けていたらマルチに蹴られた。
 
・マルチ
「デレっとしてた、集中して。
なんか、イラっとした。」
 
・リーシュ
「うふふ。」
 
2人の間に火花が見える。
どうしよう、謎の緊張感が、、、
と、とりあえず作業を進めるか。
俺は再び魔力をこめる。
こうなってほしいと言う願いを込めて。
 
造る、投げる、焼く、セットする
造る、投げる、焼く、セットする
造る、投げる、焼く、セットする

ひたすら繰り返す。
どれだけ繰り返しただろう、、、
お陰で3人の息はピッタリだ。
そして、最後の一枚を残し全ての紙を消化する。
気付けば他の部屋に行っていたミズキさんがこちらに戻って来ていて俺たちの作業に見惚れていた。
呼びに来てくれたのかな?
 
・ミズキ
「ほぁぁ、師匠何だか凄い作業でしたね。
こちらの話し合いは無事終わりました。
師匠は終わりましたか?」
 
・「とりあえず、最終確認だけかな、、
ミズキさん、協力してもらっても良いかな?」
 
・ミズキ
「師匠の頼みなら何なりと。」
 
良く解らないけど、ミズキさんがいつの間にか仲間のような存在になってる。
そう考えると「秘技」も無駄じゃなかったかな。
適当に言っただけなんだが、、、、
何か騙しているみたいで心が痛い
 
・「じゃあ、こっちに来てもらって良いかな?」
 
ミズキさんが俺の前にやって来る。
そして跪く、、、
俺はミズキさんの頭に手を掲げ魔力を流し込む
 
・ミズキ
「んんっ!」
 
やけに色っぽい声が漏れる。
リーシュさんとマルチの敵対心が上がった気がする。
ちょっと怖いぉ。
 
・「暫く動かないで」
 
思いつく限りの願いを思い浮かべて作成しまくった成果を反映させる。
集中しろ、まずはマップ展開、投影、
そして、魔力許可認証、暗号化、個別ファイル作成、共有化、PT承認システム、個別指定地図表示、指定送信システム付与、最後に回数指定を付けてっと、、、、どうだ?
 
・「終わりました。」
 
・ミズキ
「何も変化はありませんが?」
 
よし、スタートは上々だ。
 
・「既にミズキさんには俺のマップ能力を渡してあります。
そこに俺の魔力とミズキさんの魔力を合わせる事で使用可能になるわけです。
使用回数は決められてますが、まずは2回使用できるようにしてみますね。」
 
・ミズキ
「むむむぅ~、良く解りませんが。
とりあえず、やり方を教えてください。」
 
・「ではまず、俺の手を握ってください。」
 
ミズキさんと手を繋ぐ。
背中に僅かながらの殺気を浴びつつ、、、
リーシュさんとマルチ、、怖いっス。
 
・「掴んだ方の手で魔力を練ってください。」
 
ミズキさんの魔力を感じれる。
この魔力に俺の魔力を混ぜ込んで、、、
一番確実そうな場所はやっぱりここかな?
体内の魔力の源に打ち込む、、、
 
・ミズキ
「ぁぅぅぅぅ」
 
ミズキさんが仰け反った。
その瞬間、、、
リーシュさんに羽交い絞めにされて、マルチにビンタされた。
 
・マルチ
「ライオットのエッチ!」
 
・リーシュ
「見損ないました!
そんな事するなんて!」
 
2人にすっごい怒られた、、、どういう事?
 
・リーシュ
「ぅぅ、、何も知らないって感じですね。
そうか、この世界の常識は知らないんでしたね。
むぅ、怒るに怒れないじゃないですか!」
 
・マルチ
「そうだった、、、
ライオット、叩いてゴメン」
 
何だか、やってしまった感が凄い。
不味かったのかな?謝らないと、、、
 
・「すみません、ミズキさん
何かやっちゃいけない事をやったっぽいです。
俺、この世界の事知らなくて、、何か不味かったですか?」
 
ミズキさんは驚いてこちらを見る
戸惑いを隠せない様子だ
これはしっかり説明した方が良いと見た
 
・「ミズキさん聞いて下さい。
実は俺この世界の人間じゃないんです。
ある時、見知らぬ女性にこの世界に飛ばされてこの国に来ました。
なので常識を知らないんです、何か失礼なことをしたのなら謝ります。
本当にごめんなさい。」
 
俺は心から謝罪を入れる。
未だに整理できないのか、ミズキさんは何か考え込んでいる。
 
・ミズキ
「異世界の方って、、、事ですか?」
 
・「そうなりますね」
 
・ミズキ
「勇者さま?」
 
・「それは違いますね、ただの一般人です。
突然この世界に飛ばされた、冴えないサラリーマンです。」
 
そう、俺は元々社会人だ。
この世界に来て、姿形こそ16歳位になってはいるが、俺は社会人なんだ。
元の世界の事はまだハッキリとは思い出せない、、
だが女神さんの一部を開放した時に少しだけ思い出したんだ。
いつ頃からか、、、
向こうの世界の記憶は無くなっていた。
だが、少しだけ取り戻せたんだ。
 
・マルチ
「サラリーマン?」
 
・「仕事の職種の名前かな?
一般の人って思ってくれればいいよ」
 
・ミズキ
「事情は分かりました、しかし、、、
知らなかったとはいえ貴方は私に贈ってくれた
そして私は受け入れました。
その事実は無くなりません。」
 
ちょっと顔を赤くしながら話すミズキさん
リーシュさんは顔に手を当てて項垂れている
マルチはプルプルしている、、、どういう事?
 
・「あの、これってどういう事?」
 
・リーシュ
「知らなくていいです!
あと、セリスさんには絶対に聞かない様に。
殺されますよ?」
 
マジか、やべぇ事やっちまったっぽい。
俺は一体何をやらかしてしまったんだ?
怖い、怖いよぉ。
解らないことが一番怖い
出来る事なら時間を戻したいよぉ~
 
・ミズキ
「ふふふ、ライオットと呼ばしてもらうわ。
さぁ、ライオット。
続きを教えて」

ミズキさんの態度が変わった、、、
何か自然な感じで話してる気がする。
背後にいるリーシュさんとマルチの殺気が、、、
部屋の中の温度が3度ほど下がった気がした。
変な汗が噴き出て来るけど、話を勧めなきゃ、、
 
・「え、、えっと、先ほどミズキさんに俺の魔力を入れさせてもらいました。
これで準備完了です。」
 
・ミズキ
「ミズキと呼んでほしい。」
 
謎のお願いが飛んできた。
 
・「わ、わかりました。
ではミズキ、頭の中でも口に出しても良いので、
『マップオープン』と唱えてください」
 
・ミズキ
「その内、敬語も無しでお願いね。
マップオープン」
 
・ミズキがあなたの能力に干渉して来ています。
承認しますか?
 
アナウンスまであるとは思わなかったが、
概ね思った通りだ。
 
・「承認する」
 
・ミズキ
「なっ!これは・・・?
目の前にマップが見える、、何これ凄い。」
 
突然、目の前に出てきたマップに驚いてるんだろうな。
半透明とは言え、慣れてないとビビるよね。
 
・「右上に(1F)とかの表示があると思うので、念じる感じで開いてみてください」
 
・ミズキ
「念じる・・・?
開けって念じればい、、、嘘、なにこれ、表示が変わった」
 
・「今ここは二階ですね。
マップの左上に(現2F)と表示がありますから。
そして(1F)を開いたってことは一階の地図が出ているはずです」
 
・ミズキ
「この動いている白い点は何?
あ、青い点もある。」
 
・「それが俺の行動の答えです。
敵対心をこちらに向けている敵を赤い点で、
仲間を青い点で、
敵対側だが敵意がない場合は黄色で、
特に何も感じていない人は白で、
更に確認できた採取ポイントを緑で表示します
簡単に説明しますと、
赤=敵 黄色=注意すべき敵 
青=味方 白=無関心の人
って覚えて貰えば早いかと。」
 
・ミズキ
「そんな、、、こんな能力があるなんて。
だから私達が何人で尾行していたのか解ったのね。
この能力なら隠密行動なんて意味がないわ。
恐ろしい能力、、、」
 
・「ちょっと検証したいのですが、、、」
 
俺はミズキさんのマップに干渉しようと念じる。
 
・ミズキ
「ライオットの干渉を感知、承認しますか?
って表示されたわ?」
 
・「承認してください。」
 
見えた、そして右上にミズキさんと俺の名がある。
切り替え可能だな。
ミズキさんのマップにするとマルチが白色になる。
確実に俺のマップとは違う。
切り替え成功だ、あとは。
 
・「ミズキ、右上に俺の名前がありませんか?」
 
・ミズキ
「あるね、、、、開けばいい?
あれ、マルチさんの色が青色になった。
ライオットが見ているマップが見えてるってこと?」
 
・「その通りです。
そして見せたくない相手には承認しなれば良い。
これで、誰がどいつに狙われているか共有できます。」
 
言葉がないようだ、、、当然か。
隠密の意味を無くすような能力だ。
潜入行為を完全に封じる事になるしね。
だからこそ、教える相手は慎重に決めなきゃ。
だが、余り深く考えなくても良いか?
本当に信頼できる人以外は回数制限を少なくすりゃ良いし。
しかし、考えてみりゃ恐ろしい能力だな、、、
 
・ミズキ
「貴方は、、、何者なの?」
 
・「ただの冒険者ですよ。」
 
唖然としている、、、
そして笑顔になって俺に語り掛ける
 
・ミズキ
「ふふ、凄い人が私にくれたのね。
知らなかった、なんて言っても、
もう遅いからね。」
 
そう言ってウィンクしてくる。
いったい何の話やら、、
聞いてもリーシュさんに怒られるし、、
帰ったらサリーヌさん辺りに聞こうかな。
 
・「ではマップを消して下さい。
念じれば消えます。
そしたら、もう一度マップを開いて消してください。」
 
・ミズキ
「何だかもったいない気もするけど、
ライオットが言うのなら、、」

少し待ってみると、ミズキから合図が来る。
 
・「では再びマップを開いてください。」
 
・ミズキ
「あれ、、、開けない、何で?」
 
大成功だな、やれば出来るもんだ。
ミズキさんはマップを開こうと何度も試している。
やべ、ちょっと涙目になってますやん。
 
・「俺が2回まで使用可能としていたから、3回目は開けないんです。
これで検証は終了です。
ミズキありがとう。」
 
・ミズキ
「出来ればマップを開けるようにしてほしいかも。
あの能力、一回知ったら辞められないわ。
初めから一回しか使えないって言っておいた方が良いと思う。」
 
・「俺もそう思います。
だから回数制限が出来るか試してみたんです。
ミズキには何か失礼なことをしてしまったみたいだし、ライルさんの攻撃を防いでくれた借りがあるから、無制限で使えるようにしておくよ。
内緒にしておいてね。」
 
・マルチ
「ずるい、、、」
 
・「もちろん信頼できる仲間にはマップ能力を渡すから安心して、マルチ。
じゃあ、王様のところに行く前にリーシュさんとマルチに渡しておくよ。
あ、、でも無理しなくていいからね。
ミズキさんと同じ事しちゃうと思うし、、、」
 
・マルチ
「構わない、むしろやって」
 
・リーシュ
「不束者ですが、宜しくお願いします」
 
・ミズキ
「私は何人でも構いません。
でも、私が一番最初でしたからね。」
 
リーシュさんとマルチ、ミズキがにらみ合う。
もう何が何だか解らん。
もうどうにでもなれだ!
誰か詳しく教えてくれ、、、
 
そして、、
医務室に2人の女性の色っぽい声が響く。
背徳感に襲われながら、ライオットは王の元へと急いだ。

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