異世界クロスロード ゆっくり強く、逞しく

アナザー

第23話 特訓最終日 デスモス(絆

夕飯の時間になり、3人で食事を取る。
本日も似た様な食事だが、それなりに美味い。
夕食に入ってから、セリスがずっと考え事してるけど、どうしたのかな?
そんなセリスが真剣な面持ちで、徐に話し出した。

・今の内に聞いておきたい。
正直に答えてくれ。

俺とマルチは頷く。

・マルチ、お前は本当に正体を表すのか?
マナタスク・マルチ・ダーチェ
として生きるのか?

・うん。
もう迷わない。
私はマルチ、
ライオットとセリスの仲間。
ハーフエルフである事に誇りを持って生きる。

・そうか、
ライオット、お前はどうする?

・俺か?
俺はマルチの騎士としてマルチを守る道を行く。
いつか、
マルチが安全に暮らせる様になるその日まで。

マルチが驚いて俺をみる。
俺は笑顔で答えてあげる。

・全く、呑気なもんだな。
下手すると国が敵になるぜ?

・構わない。
私は、マルチで居たい。
お母様が最後までレイで居たように。

・わかった。
お前の覚悟は伝わった。

・ライオット、
次は、お前の覚悟を見せてもらおうか。
立て。

・ん?

スパッ

・痛っ!

頬から血が流れる。

・セリス、何を!

・黙ってろ、マルチ
ライオット、お前は護るって意味がわかるか?

・意味?

俺は距離を取ってセリスと対峙する。

・いいか?
護るって事は敵を倒すって事だ。
アマちゃんのお前に人が殺せるのか?

痛いところを突いてくるな。
歴戦の戦士ならでは、ってところか。

・さあな、俺はまだ人を殺した事は無い
正直な所わからん。

シュン、、、ズバ

セリスの氷魔法が俺を襲う。
太腿に裂傷を負う

・くっ、

・セリス、辞めて。
お願い辞めて!

・黙れマルチ。
お前もそうだ!
お前がマルチを名乗れば、
ライオットが確実に犠牲となる。
お前はそれでも名乗るのか?

セリスがマルチに問う。
成る程な、理解したよ、、、
セリス、お前は本当に優しいやつだ。

・私は、私は、
私はマルチなの!
マーダーじゃない!

・そうやって、ライオットを殺すのはお前だ。
それでもお前は良いと言うのか?

・私は、、、

マルチが涙を流すが、セリスは止まらない。

・いいか、泣こうが喚こうが、
ライオットは死ぬんだ。
お前がマルチを名乗るのならばなぁ

シュン、、、ズバッ

・ぐぅぉ

左肩に突き刺さる。
そのまま吹っ飛ぶ。
めちゃくちゃ痛え。

・辞めてぇぇぇ

マルチの魔力が高まる。
だが、セリスが魔力で上から押さえ込む、
膨大な魔力でマルチの魔力を包み込む。

・強くなっただと?
アタシに勝てないで、国に勝てると思うなよ!
どうなんだ?
お前はライオットを殺してでも、
そうまでして、マルチを名乗るのか?

・私は!
マナタスク・マルチ・ダーチェなの!
もう、
もう、、
誰にも縛られない!

マルチの目が光る。
髪が逆立ち、魔力が渦巻く。

・なっ、アタシの魔力を吸収しやがった。

・私は、わたしはぁぁぁぁ

尚も魔力が高まっていく。
そして、俺は、、、

・マルチ、大丈夫だ。
俺は死なない。

高まった魔力を飛散させる。
自分の魔力を粒子として大量にマルチの魔力に滑り込ませ、内側から破壊したのだ。

・ら、ライオット。
お前、、、

・セリス、ありがとう。
セリスの優しさは痛い程伝わったよ。

・や、優しさ?

マルチが俺をみる。

・あぁ、優しさだ。
セリスは俺やマルチに嫌われても良いから、
俺たちを助けようとしてくれてたんだよ。
今までのままなら危険はない。
たが、変わるのなら大きな危機が迫ってくる。
だから、生きていく覚悟を試したんだろう?
例え死ぬ事になっても、後悔しないように誓わせたんだろう?

セリスは下を向いて何も言わない。

・良いか、マルチ。
気持ちのいい事だけを言う奴が、本当の仲間とは言えない。
本当の仲間とは、自分を犠牲にしてでも護りたいと願う相手の事だ。
マルチはセリスに取って本当の仲間だ。
だからこそ、自分を犠牲にしてでもマルチの生きる道を切り開いたんだ。
そうだろう?セリス

セリスは下を向いて何も言わない。
涙がこぼれ落ちている。

・セリス、、、セリス。

マルチがセリスに飛びつく。

・ごめんなさい、
ごめんね、セリス。
私はそれでもマルチでいたい。

・わ、わかってる。

・私は、セリスが大好き。
どんな言葉をぶつけられてもセリスが大好き
お願い、セリス。
私を、マルチでいさせて。
お願い、、、

懸命に嘆願するマルチ。
セリスは何も言えない。

・セリス。
俺は、死ぬ気はないぞ。
それに、お前が居れば国くらい吹っ飛ばせそうだ

セリスが俺を見る。
目に確かな怒りを灯して。

・大丈夫、わかってる。
実際には勝てはしないだろう。
だが、偽りの人生よりも、真実の道を歩けばそれで良いんじゃないか、
人はいずれ必ず死ぬんだ。
早いか、遅いか、
殺されるか、野垂れ死ぬか、
時期や死因はわからない。
明日死ぬかも知れない。
1秒後に雷に撃たれて死ぬかもしれない。
誰にも未来はわからないんだ。
だったら、自分の好きに生きる。
それで良いんじゃないか?

・でも、、、
でも、貴方が死んじゃったら。
アタシは、アタシは、、、

・セリスが俺を護るんだろ?
マルチは俺が護る。
ならマルチは誰を護る?

・私は2人を護る!
この命に替えてもっ!

・セリス、お前の気持ちは嬉しい。
本当の仲間だと、俺は思っている。
だから、一緒に行かないか?
まだ、迷ってるんだろ?

セリスが俺を再び見詰める。
ふむ、憎悪は消えてるな。

・俺だけじゃ多分、直ぐに終わる道だろう。
だが、セリスが居れば何処までだって行ける。
だから、俺と、俺たちと一緒に行こう。
俺と来い、セリス。

セリスの目から涙がこぼれ落ち大きく頷く。
ここに、3人の真実のパーティーが出来上がった

・真実の絆認証
称号デスモスを獲得しました。

・ぬぉ!

そんな空気を吹き飛ばすアナウンス。

・何?

・称号?

3人して驚く。
シリアスな空気が見事に吹き飛んだな、、

・な、何かわからないけど、とりあえず。
セリスありがとう。

・うん、ありがとう
セリス

・2人とも、、、
ごめんなさい。

お淑やかセリスが謝る。
とりあえず空気を変えるか。

・しかし、称号ってなんだろな?
デスモスって言ってたけど、、、、
名前的にどうなの?

・調べてみるね。

・アタシも調べてみる。

俺も見てみるか。

レベル12 所持金 3309c
筋力 67 +20(特  +20(加
知力 89 +20(特 +40(加
敏捷性 70 +10(特
・スキル
自動マーカー、マップ、精神自動回復、順応力 
・魔法
癒しの鼓動
風魔法 レベル22
炎魔法 レベル14
水属性 レベル19
・技能
剣術レベル8 補正レベル1  筋力 2 敏捷生 2
杖術レベル1
盾術レベル1
体術レベル17 補正レベル3 筋力 8 俊敏性 12
射撃レベル9  補正レベル1 筋力 2 俊敏性 2
・特殊技能 補正値パッシブ(特
採取レベル12 補正レベル2 筋力 10 知力 10
採掘レベル11 補正レベル2 筋力 10 敏捷性 10
魔装術レベル7 補正値レベル1 知力 10
・加工技能 補正値パッシブ(加
裁縫レベル10 補正レベル2 知力 20
鍛治レベル10 補正レベル2 筋力 20
錬金レベル10 補正レベル2 知力 20

ふむ、風魔法が上がってるな。
後は知力が上がったくらいか?
じゃなくて、称号書いてないじゃん。
わからないんだけど?

・ふむ、仲間の危機で効果が発動するタイプだな

・仲間が危険に陥った時、限界を超える力を得られるだって。

・なんで2人とも解るの?

・だって書いてあるんだもん×2

嘘だぁ〜、俺書いてないし。

・そう言えば、昼に称号増えたんじゃなかった?
聞いてないけど聞いて良い?

・そう言えば言ってなかったな。
一度整理しておくか。
なんたって真実の仲間だからな!

・うん、真実の仲間!

真実の仲間ってフレーズ言いたいだけだろ?
まあ、共有は大事だわな。

・よし、じゃあ風呂入って能力を共有しよう。

・おー×2

最終日の夜、
セリスとマルチは一緒にお風呂に向かった。
姉妹みたいだな。
俺はマップを見ながら夕飯の後片付けをして、2人の次にお風呂に向かった。

風呂上りの後は焚き火を囲んで楽しく団欒。
マルチとセリスの蟠りも消え去り、仲良くテントに入っていった。
とても仲良く、楽しそうに、、、

そして、3人は能力の共有をするのを忘れていた。

最終日の夜が終わる。

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