女神の手違いで殺された俺は、異世界にて機械装甲を纏い美少女達と共に冒険ス!

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14話「お嬢様は剣が命」

 新しい家で初日の朝を迎えると、俺達はリビングにてヴィクトリアの作った朝食を食べていた。
 メニューはベーコンエッグにトーストとミルクといった定番の朝食だ。
 
 そして俺は満を持して、昨日の夕食時から考えていたクエストで金を儲けたいという事を皆に伝える。

「という事で俺はクエストに行きたいのだが、どうだろうか?」
「別にいいんじゃないですか」
「オレも構わんぞー」

 俺の提案にヴィクトリアとユリアは、口をモゴモゴとさせながら返事を帰してきた。
 しかし残りの一人は何やら浮かない顔でミルクを飲んでいる様子だ。

「パトリシアはどうだ? クエスト行くか?」
「い、行きたいのは山々なんですの……でも……」
「でも?」

 パトリシアは重い雰囲気を漂わながら言葉の端を濁すと自身の腰から刀を引き抜いて、それを皆に見せるかのように刀を横にして差し出してきた。

「見てもらえば分かると思いますの……」

 言われるがままに俺達はパトリシアの差し出してきた刀に視線を向ける。
 すると…………。

「うわぁ、随分と刃こぼれが凄いですね……。何なら亀裂まで入っていて何時折れてもおかしくない状態ですっ!」
「うーむ。オレに修復魔法の適正があれば直してやれたんだがなぁ……」

 ヴィクトリアが説明してくれた通りに、パトリシアが見せてきた刀は刃こぼれや刀身に亀裂まで入っていて何時折れたりしてもおかしくない状況なのだ。

 というかユリアよ。魔法ってそんな便利なモノまであったのか。
 まぁでも確かにユリアは修復とかいう繊細そうな性格を持ち合わせて居なさそうだし、適正なんてあるわけないだろうな。ドSサド賢者だし。

 てかあの剣大好きお嬢様聖騎士が、刀身がこんなになるまで雑に扱う筈がないのだが……。
 これは一体どうしたんだろうか?

「えーっと。この刀はどうしてこうなったんだ?」
 俺はパトリシアに優しく事情を尋ねると、
「恐らくジュディーとの戦いの時に限界を迎えていたんですの……。そして今日の朝、起きてから日課の刀身頬ずりを行おうとしたら…………こんな可哀想な姿にぃぃぃあぁあぁっ!!」
 それだけ言って刀を優しく納刀すると、顔を机にうつ伏して大泣きを初めてしまった。

 俺が質問の聞き方を間違えたのだろうか。
 また一つパーティメンバーの知りたくもない情報を知ってしまった。
 はぁ……。しかしあの戦いでは皆が居たから勝てたのだ。

 故にパトリシアも例外ではない。
 だから俺としては何とかしてあげたい気持ちがあるのだが……一体どうしたらいいのだろう。

 頭を抱えて悩んでいるとユリアが朝食を食べ終わったのか手を合わせてご馳走様を言うと、俺の方を見てきた。
「その様子だとユウキは何とかしてあげたいのだな。ならばとっておきの店を紹介してやろう! この意外と仲間思いの男めっ! こういうのをツンデレと言うのだろう? ヴィクトリアから聞いたぞ!」
「ほ、本当か!? あとツンデレとか言うな! それにパトリシアがうちのアタッカーなんだから心配するのは当然だ!」

 くそぉ……またヴィクトリアの奴かよ。
 てかなんでヴィクトリアはユリアにツンデレの事を教えてんだよ。
 まぁ考えてもしょうがないか、アイツには後でフリーズで凍らせたニーソでも履かしてやる。

 しかし今はそんな事よりも。
「おいパトリシア! ユリアがお店を紹介してくれるみたいだぞ!」

「お店ですの……?」
 俺の声にパトリシアが机から顔を上げると、
「あぁそうだ! その店ではオレの愛用のこの大杖を打ってもらったんだ。魔鉱石とオリハルコンを使ってな。だからパトリシアのその剣もきっと打ち直して貰えると思うぞ!」
 横からユリアが自慢するように店の事を教えてくれた。

 俺が思うに恐らくその店は、この世界の”鍛冶屋”と言われる場所ではないだろうか。
 パトリシアはユリアの言葉を聞くと、この世の終りのような表情をしていた顔が、見る見るうちに精気が戻っていくように明るくなった。

「そうと分かれば善は急げですわ! 早く行きますわよそのお店にッ! ほら、ヴィクトリアも呑気に朝食何か食べていないで早く動きますの!!」
「ん~っ! まだベーコンエッグのエッグの部分がぁぁぁ!」

 パトリシアは椅子から立ち上がると、ヴィクトリアがモグモグと食べていた朝食を中断させて引っ張るように椅子から引きずり退かしていた。
 
 ベーコンエッグのエッグの部分て……。コイツ均等に食べられないタイプなのか?
 俺も小学生の頃は牛丼の肉を先に食べて白米だけが残り、よく笑われていた経験があるから分からないでもないが。
 
 ……まぁ、そんなことは今はいいか。

「すまないがパトリシア。その店に向かう前に寄っておきたい所があるんだが良いか?」

 俺には先に済ませて起きたい用事があるのだ。元々はギルドに行くついでに寄ろうとしていたのだが……難しそうだしな。

 しかしパトリシアはホラー映画の幽霊のように首を勢いよく曲げてこちらを見てくると、
「私としては一刻を争う事態ですのよ! それはこの剣よりも優先すべき事ですの!?」
 なんかもう精気を取り戻し過ぎたのか、鬼気迫る感じがしていて怖い。
 だがそこで臆することなく言うのが俺だ。
「あぁ。優先すべき事だな」

 俺はその優先すべき用事をパトリシアに伝えると「それなら……別に構いませんわよ」と言ってくれたので、取り敢えずは先に用事を済ませられるみたいだ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 あの後は結局ヴィクトリアだけが朝食を半分しか食べられずに家から出ると、俺は片手に土産というか菓子の詰め合わせみたいなのを持ちながら、数ヶ月間お世話になったクラーラさんの宿屋に向かった。もちろんヴィクトリアも横に居る。

 パトリシアとユリアは先に例の店に行ってもらった。
 場所はだいたいユリアに教えてもらったので後で合流予定だ。
 
 宿屋に着くとクラーラさんは相変わらず受付で業務をこなしていて、笑顔を絶やさない女性である。
 俺達は持ってきた手土産を渡して事情を説明すると、クラーラさんは笑顔から微笑みへと表情を変えた。

「なるほどねぇ。あぁ、でも君達が居なくなるとこの宿も寂しくなるなぁ。毎朝聞こえてくるユウキの怒声とヴィクトリアの怒声がなぁ……この宿の名物みたいな所もあったしなぁ」
「うぅぅ……!! クラーラぁぁぁ!」
「おっと、ヴィクトリアよしよし」
 しみじみと語るクラーラさんに、ヴィクトリアは一体何処に感極まったのか泣きながら抱きつくと子供をあやすかのように頭を撫でられている。
 
 というか俺は初めて聞いたのだが、その毎朝の俺達の怒声がこの宿屋の名物になりかけていた事に。絶対に名物なんかにせんぞ。させてたまるかッ!

「まぁ、家を買ったとしてもこの宿屋は第二の家みたいなもんなので、また利用させてもらいますよ」
「ほほう……。それはあの美少女達と痴話喧嘩をした時の避難場所にかい?」
 カッコイイ感じで決めようとしたのに、クラーラさんはニヤニヤした表情で俺を見てくる。
「ち、違うわ! 普通に純然たる理由でだ! …………たぶん」

 しかし考えてもみれば確かに俺は美少女三人と同棲している訳だ。
 つまり、何時かは喧嘩や口論が起こってもおかしくはない。
 クラーラさんの言う通り、ここが避難所になる可能も無きにしも非ずだな。

「うぁぁっ……!!クラーラあぁぁあ!!」

 ヴィクトリアはずっとクラーラさんに抱きついて泣いているが、別に今生の別れでもないのにな。何だろうか、コイツは一人一人の出会いを大切にするタイプなのだろうか。

 俺はそんなヴィクトリアをクラーラさんから引き離すと、パトリシア達が待っている店へと向かう為に、クラーラさんに別れを告げて宿から出ようとすると、
「また泊まりに来てね~! 痴話喧嘩の避難所としてでもいいし、泥沼な三角関係とかになってからでもいいから!」
「なってたまるか!!」
 そんなやり取りをしてから宿屋を後にした。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 宿屋から出ると俺達はユリアから教えてもらった情報を頼りに街中を歩いていると、段々と熱気と共に何か鉄製の物を鎚で打ち付けるような音が聞こえてきた。
 どうやら俺達はちゃんとユリアに教えてもらった通りの場所に着いたらしい。

「なんかこの辺り凄い暑いですね。こんな服を着ていたら服の中が汗で蒸れてしまいますよ」
「こんな服って……それお前の正装じゃないのかよ」

 ヴィクトリアは自分が着ている修復服の胸元を掴むと、パタパタッと空気を取り込むようにして、服の中に篭った熱気を循環させているようだ。
 
 そんなやり取りをしていると、前の方からユリアが走って駆け寄ってきた。
「意外と早く着いたみたいだな。鍛冶屋はあそこだ! さぁ行くぞ!」
 そう言ったユリアは額と首筋に凄い量の汗を流していた。
 
 きっとこれがスケスケの白い服とかだったら、胸元が汗のせいで透けて見えるのだろう。
 チクショウ。今度鍛冶屋に来るときは全員に白い服を着させてからにしよう。
 そう心に誓った俺である。

 ユリアに案内されて鍛冶屋に連れてこられると、そこには大きな竈が置いてあり数多くの鎚が壁に立てかけられていた。
 恐らくこの大きな竈で鉄を熱しったあと鎚で叩いて形を整えるのだろう。
 
 ちなみにこれらは全て外に設置されている。
 奥の方に木製の小屋らしきものがあるがそっちはなんだろうか?
 
 俺は物珍しいものを見て呆けていると、奥からつなぎを着た女性が姿を現した。
「な、なんだと……!?」
 俺の口からは不意にその言葉が飛び出た。

 しかしそれも無理はないだろう。
 だってその女性は上半身を脱いで薄いシャツ一枚で鎚を持っていたのだから。

「おっとお客さんかな? すまないが今月は既に予約がいっぱいでね。また来月に来てもらえるかな?」
 薄着の女性が俺の存在に気が付くと、手に持っていた鎚を下ろして声をかけてくる。
 
 俺は周りに立ち込める熱気と、目の前に居る薄着の女性を見て頭がクラクラしていると、直ぐに返事ができないでいた。

 すると横から、
「違うぞグラナーダ。コイツはユウキと言ってな! オレのパーティメンバーだ!」
「あぁなるほど。ユリアちゃんがよく話していた新しい仲間ね!」
 颯爽とユリアが俺の自己紹介を代弁してくれた。まじで感謝します。

 俺はその間に頭を左右に振って正気を取り戻す。というかこの鍛冶屋の女性はグラナーダさんと言うのか……。
 俺は高鳴る心臓を落ち着かせてグラナーダさんを見ると、髪はキャロットオレンジをしていて、瞳はバートンオレンジをしている。しかもパトリシアに劣らないほどの筋肉質な腕だ。
 
 そして胸はそこそこある感じでユリアよりかは遥かにあるだろだろう。
 にしもてその薄いシャツが黒色ではなく、白い色であれば俺は嬉しかったのだがな。
 
 そんな事を思っているとグラナーダさんが気を利かせてくれたみたいで、人数分の椅子とジュースを持ってきてくれた。
 
 俺達はその椅子座りながらジュースを頂くと、ユリアが先に事情を説明してくれていたらしく話はトントン拍子で進む……とはいかなった。
 
「パトリシアちゃんの剣なぁ。あれは”星屑の鉱石”が必要で、私の工房には在庫がないんだよね」

 グラナーダさんから直せないと告げられると、パトリシアは体をビクッと反応させてグッタリと椅子の背にもたれている。

 なるほどな。
 通りでさっきからコイツは真っ白に燃え尽きたように力のない表情をしているわけだ。

「あーでも、その鉱石があればユリアちゃんの紹介って事で即行で直してあげられるけど……どうする? 採ってくる?」
「えっ? それって俺達にも採ってこられるんですか?」
「もちろんだよ。でもちゃんとギルドで採取クエストを受注しないと不法に鉱石を採取したって事で、騎士達に捕まっちゃうから気をつけてね」

 マジかよ。鉱石って買う物だと思っていたが、自分達でも採れるのか……。
 しかも今ならユリアの紹介ってことで即行で直して貰える特典も付いてくる。
 
 正直パーティメンバーのアタッカー役が不在なのは痛いし、ここは自分達で鉱石を取りに行くしかないな。よし、そうと決まれば早速ギルドにいくか。

「分かりました! ではその星屑の鉱石とやらを採ってきますので、よろしくお願いします!」
「おぉ、それなら構わないよ! じゃあ、頑張って採ってきてね~」
 俺は椅子から立ち上がると、パトリシアの剣修復の約束をグラナーダさんと結んだ。
 
 そのままパトリシアの方に近づくと、
「お前の剣を打ち直す為に鉱石を取りに行くぞ! 真っ白になっていないで起きろっ!」
 項垂れている両方を掴んで揺さぶった。

「ほ、本当に直りますの……? その鉱石とやらがあれば……」
「あぁそうだ!」
 パトリシアは弱々しく顔を向けて聞いてくると、俺は力強く言葉を返す。

「わ、分かりましたわ! このパトリシア、この剣を直す為に今一度立ち上がりますわ!」
 パトリシアは立ち上がると、拳を握り締めて闘士の篭った声で言い放つ。
「おぉその調子だぞ! パトリシア!」
 
 なんかよく分からんが、テンションがいつも通りに戻ったのでよしとしよう。

「さぁヴィクトリア! 呑気にジュース何か飲んでいないで行きますわよ!」
「あぁ~っ!! まだ半分しか飲んでいませんよぉ! だ、だからもうちょっと、もうちょっとだけぇぇぇ!」
 ヴィクトリアは悲しい事に、朝食の時と同じようにパトリシアに引っ張られて連れて行かれたようだ。
 まぁ、今回に関しては同情するがな。
 このジュースはヴィクトリアの好きな飲み物だし、ゆっくりと味わって飲んでいたのだろう。

「ってそんな事を思っている場合ではない! 俺達も行くぞ!」
「あぁ、ついでに魔鉱石が採れればオレとしては嬉しいんだがな」
 俺とユリアはパトリシア達を追いかけるべく、鍛冶屋を後にした。

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