女神の手違いで殺された俺は、異世界にて機械装甲を纏い美少女達と共に冒険ス!

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7話「破天荒な冒険者達の誕生」

「はい……ヴィクトリアさんのステータスは……」

 一体ヴィクトリアの何が凄いんだ……!?
 受付のお姉さんは一呼吸置いて俺達に向いて口を開いた。

「圧倒的なまでの勝率運を持っています!」
「……はぁ?」
 決してお姉さんはふざけて言ってるいるのではなく、至って真面目な顔で答えていた。
 そして俺の口からは本日二度目の乾いた声が出て行った。

「こ、これだけじゃあ意味が分かりませんよね! えーっと詳しく言いますと! ヴィクトリアさんは生まれ持っての勝率、つまり幸運が高いんです! これらはモンスターとの対決時に有利になったり、ギャンブルでの勝率が上がったりとかなり凄いスキルですよ!」
「えーっ……何その俺とは対照的なステータス……」
 何であんな人を間違えて殺すようなサイコパスが、そんな高ステータスなんだよとは正直思った。
 これも女神の力なのか?

 お姉さんからあらゆる事象に置いて勝率=運が強いと聞かされると、横でプルプルと全身を震えさせているヴィクトリアが何か言ってきた。
「でしょお!? 私は偉大なのです! さあ褒め称えなさい!」
「チッ……そんなもんはどうでも良いんだよ! さっさと職業決めんぞ!」

 ここぞとばかりに調子に乗ろうとするヴィクトリアに先手を打って静止を掛けると、不服そうな顔をしていたが知るか。
 これ以上コイツがチヤホヤされたら何か……嫌になる。

 これは嫉妬という感情なのか……それとも長年ネットの世界に浸っていた陰キャ学生の弊害なのだろうか。
 他人の幸せなんぞ握り潰してくれるわ!

「あーっ……では職業ですね……?」
「そ・う・で・す!」

 お姉さんは俺の勢いに押されているのか引いているか分からないが、顔が引き攣っていた。
 しかーし! ここまで出鼻をくじかれた俺にはもう何も怖いものはない。
 あとは勢いで突き進むのみ! そして早くギルドから出たい。

「ユウキさんの場合ですと……初心者クラスの冒険者、ナイト、レンジャー、ぐらいです」
 お姉さんは職業の詳細が書かれた紙を見せながら教えてくれた。

 うーむ……少ない……たったの三つしかないとは。
 これは意外と悩むぞ……なんせ今後の冒険活動がこれによって有利に進むかどうかも関係してくるからな。
 まあ、早死するとか言われてるからあれだけど。

「うーん……」
 俺は差し出された紙を見ながら悩む。

 冒険者はバランス型か、武器も多種多様に使えて魔法もそれなりに使えると。
 ナイトは攻撃型。素早い剣技で敵を翻弄して倒すと……うん駄目だな。こんなの前衛職選んだら即行で死ぬわ。ただでさえ早死するとか言われてるのに。
 最後にレンジャーだが……これは索敵特化見たいだな。足音を消したり聴覚を鋭くしたりと状況変化にすぐ対応できる。

「よし……決めたぞ。俺の職業は”レンジャー”だ!」
 俺はお姉さんにカッコよく伝えると……特に何も起こらなかった。

「あ……すみません。職業がある程度決まったら左に置いてる機械にプレートをセットして貰って、そこで選んで貰います」
 お姉さんは右手を機械が置いてある方に向けて言った。

「そ、そうですか……」
 やだもう……恥ずかしいだけじゃん! 返して俺のさっきのカッコイイ雰囲気返して!

「さあ、どいて下さいユウキ! 次はこの私が選ぶ番ですよ!」
 ヴィクトリアは何故か妙にやる気を出していて、俺を弾き飛ばしてきた。

 何なんだよ急に? ヴィクトリアも俺と同じ初心者クラスしか選べないだろ?
 だっていくら幸運が高いからと言ってそんな……なあ?

「ヴィ、ヴィクトリアさんは最初から上級者職が選べますよ!」
「なんでだよっ!」
 お姉さんがそう言うと俺は無意識にツッコミを入れていた。

「ヴィクトリアさんは何故かスキルポイントだけ、既にカンストしていまして……オカシイですね……こんなの普通は有り得ない事なんですけど……」

 普通は……有り得ない……?
 ハッ、そりゃそうだろな。だってヴィクトリアは”女神”だしな!
 あっ、そうか……そうだった。コイツと比較してるのが、そもそも駄目だったのか。
 なーんだ簡単ことだったな。ハッハハ! 

 と、そんな事を思っているとヴィクトリアは職選びで難航している様子だった。

「うーん……どれが良いのかまったくわかりませんね……」
「フッ、どうしたヴィクトリア。この俺の知恵が必要かな?」
 悩んでいるヴィクトリアの横から颯爽と俺は声を掛けた。

「何ですかそのキャラウザったいです。……しかし、ここは童貞の力も借りたい所ですね……」
「うっさいわ童貞言うな! 今は関係ないだろ!」
 ヴィクトリアは俺の方を向くと、眉を顰めて嫌そうな顔をしていた。

「あ、間違えました。ゲーマーの力です!」
「どう間違えたらそうなるか分からんが……まあ、任せとけ」

 どれだけ高ステータス持ちでスキルカンスト勢でも、所詮は女神だな。
 ここは数々のゲームで異世界を救ってきたこの俺様に任せな。

 まずは、職業選びだな。
 いきなり上級職が選べるというチート並みの行為。これは甘んじて受け入れよう。
 せめてコイツが強ければ俺のレベル上げや魔王討伐もスムーズに進むに違いないからな。

 俺は悩みに悩んで、ようやく二つまでに絞る事ができた。
 さてさて……後はヒーラーかタンクのどれにするかだな。
 正直な所、俺がアタッカーをやるとなると二つとも欲しいのが本音だ。

 だが……ここは敢えて”タンク”をやってもらうか。
 だってヴィクトリアって馬鹿だしな……ヒーラーなんて柄じゃないぜ。
 足りない役職は後々に募集でもして補えば良いだろう。

「よし決まったぞヴィクトリア! お前の職業はシールドマスターだ!」
「し、しーるどますたー?」
「そうだ! 何も考えずに相手をおちょくってヘイトを集めるだけの簡単な職業だ」

 まあ、大分端折ったけど本質はそんな感じだろう。
 
「あのー。そんな簡単な職業「お気になさらず!」で……」
 俺達の話を聞いていたお姉さんが会話に入り込んできて、要らん事を言いそうだったので牽制した。

「なるほど簡単そうな職業ですね! ならそれでいきます!」
 俺の巧みな話術により、ヴィクトリアは即決していた。

 よーし! これでタンクの役職ゲットだぜ! 
 あー、チョロくて助かった。

「あはは……。では左の機械で決定してください……」
 お姉さんは窶れた顔を見せながら言っていた。

 すまない……! 次に来た時はもっと素早く事を終わらせるから!
 そして俺達は言われた通りに機械にプレートをセットした。
 機械と言っても見た目は日本でもよくあった、お土産の記念メダルに刻印を施すやつみたいな物だ。
 何だか子供頃を思い出してしまうな。
 
「えーっと、レンジャーは……あ、あったこれだな」
 俺はレンジャーと書かれてるボタンを押すと、プレートに何かが押し付けられて返却された。
 こんなあっさりとレンジャーになれるのか? なんも変わった感じはないけど。
 
「ユウキ? しーるどますたーとやらで本当に良いんですね?」

 俺がプレートを眺めていると、ヴィクトリアが再確認してきた。

「あぁ、それで頼む」
「分かりました!」

 ヴィクトリアもシールドマスターと書かれたボタンを押すと、同じく何か押し付けられて返却された。
 恐らくあの押し付ける動作で情報をプレートに入れているのかも知れない。
 てか多分そうだろう。

 こうして俺達はやっと職業選びまで終わり一段落ついた。
 ゲームで例えるならチュートリアルが終わった感じだ。
 
「ここまで終わったなら後は宿屋探しだな」
「そうでした! はやく休みたいのです!」
 俺達はギルドから出ようと後ろを向くと……気づかなったが俺達の周りには先輩冒険者達が囲んでいた。

 えっえ? なに? 何でそんなに見てくるんだよ……?
 まさか、新参者いびりでも始まるのか!?

 俺がそんな事を危惧していると、槍を持った冒険者がこう言ってきた。

「おぉぉおおお! ”不運の塊”と”幸運の塊”という破天荒な冒険者達の誕生だぜ!!」

 それに続き続々と声が上がってきた。

「こりゃあ、凄い事が起こりそうだな!」
「俺は気づいてたぜ! あんな服装見たことないから只者ではないと!」
「あの女性は美しいだけではなく、その日で上級職になるなんて……私、憧れちゃいます!」

 男性女性共に俺達に声を掛けてきてくれた。そしてギルドは一時の間、お祭り騒ぎとなった。
 
「フッ……これが異世界のノリってやつか」
 俺は静かに呟いた。

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