女神の手違いで殺された俺は、異世界にて機械装甲を纏い美少女達と共に冒険ス!

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2話「女神は帰れない」

 
 突然、上空から放り出された時は肝を冷やしたものだが、何とか既の所で装甲を纏えたので助かった。
 あと女神も顔中を自分の涙やら鼻水でグチャグチャだったが、傷一つなく無事で良かった。

 そして今は、気絶しているヴィクトリアを近くの木の陰まで運んで休んでいる所だ。
 装甲は何か知らんけど勝手に解除されて、またブレスレットの形に戻っていた。

 まあ、そのおかげで木のある場所まで歩く事ができたんだけどな。
 もしあのまま装甲が外れなかったらきっと俺は直立不動のまま、この燦々と降り注ぐ陽光のせいで脱水症状になりそのままバッドエンドを迎える可能性も……駄目だ想像したくない。
 そんな聞いた事ない。

「はぁ……てかこれ後でちゃんとまた起動できるのか?」 
 俺は右手に呪いの装備の如く付いている、白色のブレスレットを見ながら呟いた。

 というか何で動かす事ができなかったのだろうか……。
 考えれば考える程、疑問が浮かぶがしょうがない。
 大人しくヴィクトリアが目覚めるのを待つしかなさそうだ。

 と、俺がそんな事を思っていた矢先にヴィクトリアがモゾモゾと動き出した。

「えへへ~。私に賭けで勝てる訳ないでしょう~。負けたらさっさとあり金全部おいて帰りなさい!」

 ヴィクトリアは涎を垂らしながらそんな寝言を言っていた。
 コイツ……一体どんな夢を見ているんだ? というか後半は女神が言っていい台詞なのか?
 まあでも、こんな寝言が言えるって事はもう起こしても大丈夫そうだな。 

「おい起きろよヴィクトリア。お前が起きないと動けないんだけど」
「ぶ、ブラックジャック…………ふふ、良いでしょう。配当は三倍です!」

 俺は肩を揺すって起こそうとするが、ヴィクトリアは全然起きる様子がなかった。
 チッ……なんでお前は起きないうえに夢の中でブラックジャックやってんだよ! 
 しかも配当三倍かよ! BET数が気になる所だぜ! 
 
 じゃなくて!! 女神のくせに危機管理能力なさすぎないか!?
 いっそこのまま放置して盗賊にでも襲わせるか? いや駄目か、まだ転生特典貰ってないし。

「ったく……しょうがないなぁ」

 ここは定番のアレをやってみるか。
そう、美女が眠ったまま起きない時にする行為……それは! である! 
 これは彼の有名なグリム童話の眠れる森の美女が証明している由緒正しき行為!

 だが創作話を由緒正しきと言うのは何か可笑しい気もするな。
 まま、其の辺は気にしたらいけないな! 
 よしやるぞ! 童貞の俺のファーストキッスを受け取るが良いわ!

「ん……んーー」

 俺はゆっくりとヴィクトリアの透明感あるみずみずしい唇へと、自分の唇を近づけていき……
(ハァハァ……!! あ、あと少し!)
 触れ合うギリギリのとこまでいくと――――。



「この変態童貞オタク何してるんですか? とうとう犯罪者の仲間入りですか? いくら私が絶世の美女だとしても流石に怒りますよ。というより怒ってます」

 タイミング悪くヴィクトリアが目を覚ますと、一切の感情がこもってない冷たい声で言ってきた。
 や、やべー……超恥ずかしい! てか目覚めて直ぐによくそんな喋れるな。

 どうしよう………と、とりあえず何か言っとくか? 
 このままお互いに見つめ合ってても仕方ないし……。ま、俺の場合はのが正しいけど。

「お、おはようございまーす……」
「…………童貞はこれだから」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 しばらくしてヴィクトリアから発せられるゴミを見るような視線が収まると、俺は恐る恐る気絶していた間の事を話した。

「助けてくれた事には感謝していますが、その後の行動がねえ~? さすがは思春期の男ですね。これでは胸の件は無かった事にするしかありません」

 ヴィクトリアはニヤニヤと笑みを浮かべて言うと、両手でやれやれっといったポーズを取っていた。

「な……んだと……」

 俺は膝から崩れ落ち、四つん這いになりながら絶望した。
 チクショウ! おっぱいの為に! 態々こんなを助けたというのに……! 
 
  俺の喜びを返せよ!!  

「そんな事よりも! 貴方どうしてくれるんですか!!」

 ヴィクトリアは俺の絶望している様子を無視して話し掛けてきた。

「な、何がだよ」
「何がじゃないですよ! 貴方のせいで私まで異世界に送られてしまったじゃないですか! どうしてくれるんですか!!」
「え、えっ何? どいうこと?」

 俺は困惑した表情をヴィクトリアに向けていると、聞いてもない事を一方的に話し始めてきた。
 その話をまとめるとこんな感じだ。
 あの七色の光を包まれた時に、俺がヴィクトリアの服の一部を掴んでいた事から一緒にこの世界にとばされたらしい。

 そこで俺は、あの場所に自力で帰れないのか? と聞いたらまた睨みながら『無理に決まってるでしょ! アレは元々送る用だけの片道通行なんですから!』と逆ギレされてしまった。

「じゃあヴィクトリアはこれからどうするんだ?」

 俺には魔王を倒したあと日本に帰るか、ハーレムを願ってみたりと明確な目的があるが……。

「責任取って下さいよ……」

 ヴィクトリアは俯きながら小さく呟いた。
 ん? 責任……? 俺に落ち度はないだろう。アレはヴィクトリアが人の話を聞かずにやったことだし。
 あ、そうだそうだ。 その事で思い出したが、まだ転生特典って貰えるのだろうか?
 やはり冒険をスムーズに進めるには必須だろう。

「おい、ヴィクトリアそんな事よりも「あ”ぁ”ぁ”ぁ”あ”あ!」!?」

 何やら奇声を発しながらヴィクトリアは俺に勢い良く掴みかかってきた。
 うぉ!? なんだよ遂に本性を現したか? やはり見た目だけの偽物女神か!? 
 中身は絶対に悪魔か何か入ってるだろ。
 
「私がちゃんと帰れるように責任取ってよぉおお!!! お願いしまずうう!」
「ど、どいうことだよ! とりあえず落ち着いて話せよ! やめろ揺らすな揺らすな! 俺の体を!」

 発狂寸前というより若干発狂していたヴィクトリアが、数分経って少し落ち着くとブツブツと語りだし、まとめるとこんな感じだった。

 俺が魔王を倒すと空か上級の神々が現れて、色々としてくれるらしい。
 多分その時に願い事を聞かれたりするのだろう。
 そしてそのタイミングでヴィクトリアは元いた場所に帰ろうと頼む気でいるらしい。

 そもそも女神なら神秘的な力か何かで、他の女神達と連絡が取れないのだろうか?
 俺は気になり聞くことにした。

「なあ? 他の女神達と連絡ってできないのか?」
「できない事はないんですけど……あーでも、できないかなぁーっと……」

 ヴィクトリアは目を泳がせながらモジモジした姿を見せて返してきた。

「結局どっちなんだよ?」
「実は、女神ネットワークという能力がありまして、そこでいつでも情報が共有できるのですが……何故か誰も話さなくなってんですよね~…………」

 えぇ……。それって例えるなら某アプリのグループで何気なく話したら急に皆喋らなくなるあの現象じゃん! 
 密かに避けられてる人の特徴じゃん!

 それからこれに関しては俺も、あまり人の事言えないんだけどな……。
 実は俺もその経験があるから気持ちは分かるんだ。
 だけど何したら女神同士で避けられる状態になるんだよ。

「何やらかしたんだよ。どうせお前が何かやってそうなったんだろ?」
「ち、違いますよ! ちょっと賭け事して勝ち過ぎちゃったから……きっと怒ってるんですよ! 逆ギレってやつですよ~あははっ」
「ほぉ~? 賭け事ねぇ?」

 それだけの理由なら避けれる事はないだろう。
 勝負の世界はいつだって運と実力だからな。
 だとしたら他にも何か隠してるんじゃないか?

「おい言えよ。真実を」
 俺はヴィクトリアをジッと力強く見つめて問いただした。

「…………ほ、本当はがバレて誰も相手にしてくれなくなりました……すみません」

 ヴィクトリアは俺の熱い視線に諦めたのか弱々しい声で教えてくれた。
 やっぱりお前のせいじゃないか。
 女神同士で賭け事やってイカサマって……何だろう、俺の知っている女神って概念がさっきから音を立てて崩壊してきてるぜ。

「はぁ……分かった分かった。ひとまず状況を整理するとだな。お前は俺が魔王を倒すまで付いてくる気だな?」
「今更何を当たり前の事を言ってるんですか、責任を取って貰うんだから当然です」

 うぜぇえ……だけど女神を仲間にできるのも滅多にないチャンスか。
 しょうがない、これを転生特典として割り切るか。
 もう何か聞くのもめんどくさくなってきたし。

「というかさ……俺は未だに最初の街がどこにあるのかすら分からないんだけど?」
「あぁー! それなら私この辺の土地分かるので案内できますよ!」
「ま、マジでか!?」

 良いぞぉヴィクトリア! やっと有能な所を見せてくれたじゃないかぁ!
 でも何故、土地勘があるのだろうか。

 いや気にしたら駄目だな! きっと女神的な力の一種だろう! 
 うん、そうに違いない! それにこれ以上話してら日も暮れちゃうしな。

 こうして俺達は”やっと”最初”の街を目指して歩き出した。

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