女神の手違いで殺された俺は、異世界にて機械装甲を纏い美少女達と共に冒険ス!

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1話「機械装甲は大地に立つ!!」


「め、目があぁぁああ! 俺の目がぁぁぁああぁあ!」

 七色の光に包まれるとあまりの眩しさに目を細めたが、既に俺の視覚はすら感じ始めていた。
 このままでは目を殺られると思い慌てて両手で目を抑えたが、僅かな隙間からでも光は入ってきた。

 俺は残された最後の手段を使うしかなった。
 そう、目を閉じるという手段を! 
 最初からそうしとけよと言われたらそれまでなのだが、人間慌てると冷静な判断はできないものだ。
 しかもそれが、異世界転生ともなれば尚更だ。だってしたことないし初体験だし! そりゃあテンパるよ!

 そして俺が目を閉じて少し経つと、全身に物凄い風圧を浴びている事に気がついた。

(な、なんだ? 風? 俺はさっきまで変な空間に居たよな? ……ってことは! 本当に異世界に来れたのか俺は!?)

 高鳴る衝動を抑えつつ再び目を開けるとそこは――――。

「うあぁぁぁあああぁぁぁぁ!!」

 な、何でだよ! なんでいきなり俺はしてるんだよ! しかも無題に高い!
 高度四千メートルから飛び降りたぐらいの高さはあるだろこれ! 

「あの女神まじでふざけんなよ! 今度会ったら絶対にしばき回したるからなあぁぁあ!!」

 叫びながら一直線に降下している俺は、もう……涙が溢れて止まらないでいた。
 異世界転生を果たした数分後ぐらいには絶対絶命のこの状況。 
 為すすべもなく地面に叩きつけられるのを待つだけのこの状況。 

 何が異世界転生だよ。何が魔王を倒せだよ。
も うエンディングだぞこんなの! バッドエンドだわ! 

「あぁ……終わったな。……初めまして異世界、そしてさようなら異世界と俺」

 迫り来る地上を見ながら心の中で、もし次に生まれ変われる機会があるのならまた平和な日本が良いです。
 あとおツンデレな妹と包容力がある姉が欲しいです……っと願った。

 ――だが! 俺の横からはあの感情の起伏が激しい女神の声が聞こえてきたのだ。

「あぁぁぁぁあああぁあああ!!! 誰か助けてェェェエエ!!」

 ヴィクトリアは大泣きしながら両手と両足を、バタバタと暴れさせて叫んでいた。
 何でアイツがここに居るからは知らんが、俺はそれを見ると同じ状況に陥ってる”女神ざまぁ!”っと少し満足感を覚えた。

 しかしこの状況だ。コイツは使えるかも知れないな!
 いくら人を勝手に殺したり転生先を上空に設定したりする女神でも、ひょっとしたら何とかできるんじゃないかと、俺は藁にもすがる思いで声を掛けた。

「おい! そこの感情女神! これはどうなってんだよ!」
「あ、貴方は!? ちょうど良かったです! この状況を何とかしてください!」

 はぁ? 何を言ってるんだコイツは。
 俺のどこをどう見たら何とかできるように思えるんだ? お前と一緒にただいま落下中だぞ? というかその台詞はこっちが言いたいんだけど!

「お前は馬鹿なのか!? 俺が何とかできるんだったら、とっくにやっとるわ!!」

 俺はそのまま思った事を口に出して返すと、ヴィクトリアはさっきまでの泣き顔から急に人を小馬鹿にするような顔でこっちを見てきた。

「忘れたんですか~? 貴方にはとやらがあるじゃないですか~!」
「あぁっ!?」

 や、やべえ! 完全にわ、忘れていたぁ!!
 急にこの上空に放り出されたからそんな事、頭の片隅にもなかったぜ!
 なんだよこの女神、意外と頭回るじゃないか!

 ……だがここで一つの問題も出てきたぞ。
 本来なら機械装甲とは一回一回脱いだり着たりする着脱式の兵器。
 俺が殺されて呼ばれた時には装甲はどこにもなかったぞ? おい大丈夫なのか?

「それで? 装甲はどうやって使うんだ?」
「フッ! 私に抜かりはありません! ちゃんと右手のブレスレットに保存してあるので! あとはカッコよく決め台詞を言ったら装備できるようにしてありますよ!」

 ヴィクトリアが何故かドヤ顔を向けて言ってきたのが妙に腹が立つが仕方ない。
 というか保存ってなんだよ! SFアニメかよ!?
 あ、でも変身とかちょっと憧れがあるのでその辺は期待しても良いのだろうか。

 ま、とりあえずやるしかないな! このままでは肉の塊になってしまうしな!

「えーとっ……み、右手のブレスレットに……決め台詞……うーむ」

 右手を確認すると確かに白色のブレスレットが手首に付いていた。
 あとは決め台詞だけなのだが、何かカッコイイのはないだろうか……。

「ちょっと貴方! 何を悠長に考え込んでいるんですか!? 早くしないと二人とも死んじゃいますよぉ! アニオタなんだから中二病的な台詞ぐらい直ぐに思いつくでしょお!」

 さっきまで”フッ”とか”ドヤ顔”とかしてたヴィクトリアは再び青ざめた顔を向けて俺に何か言ってきた。
 恐らく直ぐにでも俺が何か言って装甲を起動させて、助けて貰おうと思っていたのだろう……だが残念! 台詞なんてそんな直ぐ用意できねえよ! 

 というか何でそんなめんどくさい仕様にしたんだよ! 
 念じれば装備できるぐらいの手軽さにしとけよな。

「黙らっしゃい! 俺はアニオタでも中二病じゃないわ! 一緒にすんな! 畜生……カッコイイ台詞があと少しで思いつきそうだったのに!」
「そんなの何でもいいですからぁぁああ! 本当早くお願いしまずぅ! あとでいいですからぁぁああ!!」

 なんですと? 後で胸を触ってもいいとな? 
 おいおい……それは童貞の俺にとって初体験にも匹敵する歓喜だぞ! 
 チッしょうがないなぁ、カッコイイ台詞はまた今度に用意しとくか。

 今は目の前のおっぱいを守る事が優先事項だ!

「んーー。 よし! カラミティCalamity装甲起動せよぉおおお!!」

 俺はとりあえず頭に浮かんだ単語を思いっきり叫びながら腕を掲げてみた。
 何かカッコよさそうじゃん見た目がな。

 すると手首に付いていたブレスレットが白い光を放ち、微粒子状のなにか花粉みたいなのが現れた。
 やがてそれは体にまとわり始め、形を成していくとあっという間に俺は学校で使っていた装甲が身に付いていた。

「うぉおぉおぉお!! なんだこれ! 凄いカッコイイ演出じゃんか!」

 しかし……その喜びも束の間だった。
 俺はさっそくヴィクトリアを掴んで抱えようとしたのだが――――。

「う、動かねぇぇええ!!!」

 装甲は俺の意思をガン無視して頑なに動こうとしなかった。
 か、体中に鉄のブロックを巻きつけられてるみたいだ……。クソ重たい”い”い”い”

「ちょ、ちょっと! 早く助けて欲しいのですが! もう地面見えてきてますよおぉおお!」
「すまん……俺はこれ以上、動く事はできないみたいなんだ……」

 ヴィクトリアは俺が装甲を纏った姿を見ると一目散に切羽詰まった声を掛けてきた。
 だがすまんな。色々と頑張ってみたが動かせるとこは何一つなかったよ……。
 
 呪われた装備なんじゃないのコレ?

 しかしあれだな。ただの鉄の塊を着たことで更に落下速度は早くなったな。
 まあこの装甲あがればどんな高さからでも耐えれるとは思うけど。
 防御力だけは無駄に高いと日本でも言われてたし。

 そんな事よりさっきからアイツが静かだな。どうしたんだ?
 俺は異様に静かになったヴィクトリアの事が気になり視線を上に向けると…………奴は気絶していた。
 しかも女神が絶対にしてはいけないような顔をしてだ。
 美少女が顔中に涙やら鼻水やらでベトベにして極めつけは白目であった。

「……これが残念美女ってやつか」

 と、そんな事を言っていると、いよいよ地面が目の前スレスレまで迫った。
 意外と着地は大丈夫だと思える自分が居るから不思議だ。やっぱり日本製は安心と実績が違うぜ!

「そろそろだな……地面が……来るッ!」

 その言葉と同時に俺は足から地面へと刺さりに行き、衝突の影響で土埃や石ころが一気に舞い上がった。
 ……そしてやはりと言うべきか、俺は無傷であった。
 普通なら絶対に生きていない高さからの落下、まったく日本製万歳だぜ!

 装甲のおかげで人体に対してはそこまでの衝撃はなかった。
 だが……辺りにはクレーターらしき物ができてしまっていた。
 まあ動けなかったし、しょうがないよな。
 すまん! この土地を管理してる人、許してくれ。

 俺はクレーターの真ん中で謝っていると、上からポタポタと雫のような物が落ちてきて頬を掠めていった。
 えっ何? 雨か? さっきまで晴れてたぞ? 

 何気なく俺が上を向くとその雫の正体が早くも分かった。そう。アイツ……ヴィクトリアの涙やら鼻水の体液だ。
 さすがの上級変態者(自称)の俺でもこんなのでは興奮しなかった。
 寧ろ怒りというか怒りだな。それしか湧かない。

「まあ……それでも一応、おっぱいの約束があるし助けとくか」

 俺は上を見ながら両手を広げて受け止める体制を整えた。
 ちょうどヴィクトリアがこのまま落ちきてくれれば、俺はその場から動かずにキャッチできるのだ。

(お、もうすぐだな。カモーン……カモーン……よしきたァ!!)
 それから程なくしてヴィクトリアは俺の両腕に落ちてきて、すっぽりとハマった。
 あの伝説の名場面『親方! そらから女の子が!』を始めて実践でやったのは俺ぐらいなのではなかろうか。

 その後、白目を向いたヴィクトリアが一応無事か確認する為に、俺は舐めますような視線で全身をチェックしといた。
 良かった見た感じどこも怪我はなさそうだ。

 にしても……本当に手間の掛かる女神だな。
 まったく。今すぐにでもおっぱいとお尻を同時に揉みしだいてやりたい気分だぞ。
 いやでも……ちゃんと起きてたらじゃないと、また変態ガーとか童貞ガーとか言われそうだなぁ。

「はぁ……まあでもやっと俺は……異世界の地に足をつけれた訳だな!」

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